助走はスピードよりもリズムが肝心だ。
 おっと、その前にこの鞄をどうにかしないと・・。みどりはあたりをきょろきょろと見渡して右手に持った鞄をぽーんと壁越しに放り投げた。跳躍ポイントから右に7歩、後ろに15歩。ゆっくりと後ずさりするみどりの肩をかすめるようにして鞄が降ってきた。おかしな天気である。
 
 何気なくやってきた校舎裏。大輔がうろうろしていると目の前を黒い影がよぎっていった。
 大輔はその鞄を拾い上げて空を見上げた。雲1つないいい天気である、少なくとも鞄が降ってくるような天気ではない。
「ふむ、カエサルの物はカエサルに返せとキリストも言っていることだし・・・ほら、海にお帰り・・。」
 大輔はぽーんと壁越しにその鞄を投げ返してやった。
 
 自分の鞄がどんどんと汚れていくのを見てみどりの瞳が怒りに燃えた。鞄を高く高く放り投げると同時に助走を開始し、緩やかな曲線を描いた助走から見事な跳躍。みどりは塀の上から今まさに鞄を投げ返そうとしている少年に声をかけた。
「ちょっと、邪魔しないでよ・・。」
 少年はみどりの姿を見て動きを止めた。聞き分けのよい少年の態度にみどりは満足そうに頷き、道路側に垂れ下がった左足を引っ張り上げる。
「ちょっと、そこ退いてくれない?」
 みどりは何かに魅入られたように動こうとしない少年の視線にやっと気が付いたのだろう。・・・少年は文字通り何かに魅入られていたのだということに・・。
 慌ててスカートの裾をおさえようとしてみどりはバランスを崩した。・・・運のいいことにみどりは怪我1つせずにすんだけれども、誰かの幸運は誰かの不幸であるとだけ伝えておきたい。
 
「人生楽ありゃ苦もあるさ・・・か。」
 遠い目をしてそう呟く大輔の姿にみどりが冷ややかな視線を送っていた。
「それ、多分使い方間違ってる・・。」
 大輔の遠い目の先に何があるのかを考えてみどりは慌てて大輔の頭を両手で鷲掴みにして滅茶苦茶に揺さぶった。
「どうでもいいから早く忘れなさい!」
「それは、無理だ。」
 大輔が力強く断言するのを聞いてみどりはため息をついた。
 気が付くと足下に猫が一匹。おそらく甘えれば餌が貰えると思っているのだろうが、あいにくみどりも大輔もそんな精神状態ではなかった。猫の鳴き声をかき消すように2人の言い合いは続いていた。といっても、みどりの方が体よく大輔にあしらわれているといった感じであったが・・。
「あれ、2人とも知り合いだったんだあ?」
 綾音が猫を抱き上げ、今にもつかみ合いのけんかを始めそうな2人に向かって声をかけた。みどりはこの機会を逃してはなるまいとして綾音の方へと駆けていき泣きついた。
「綾音ちゃーん。このスケベにパンツ見られたあー。」
 みどりの泣声を聞いて、綾音が怪訝そうに大輔を見る。大輔は肩をすくめて塀の方へと視線を向けた。
「塀の上からその子がやってくるなんて普通考えないと思う・・。」
 明敏な綾音には大体どんなことがあったのか想像がついたのだろう。あきれたようにみどりを一瞥して猫ののどを指先でくすぐり始める。みどりは目の下を光らせながら綾音に泣きを入れた。
「私よりあいつを信用するの?」
「みどりちゃん、つばって乾くと臭いからやめといた方がいいわよ・・。」
 にっこりと笑う綾音はどうやらみどりよりも一枚上手のようだった。
 
 何故遅刻するのか?
 そこに学校があるからだ。
 と私の友人が先生に言い放って4時間ばかり正座させられたというのはフィクションだから気にしないでください。・・・いや、本当に。
 遅刻すれすれだと人はついつい走ってしまう。絶対間に合わない状況ではあまり人は走らないものである。
 ・・・何が言いたいかというと、みどりは今日もゆっくりと学校に向かっていたということなのだ。
 どちらかというと学校に友達に会いに行っているという感覚のみどりには遅刻に対する罪悪感があまりない。間に合うように学校に向かっているのだが、いろんなアクシデントが重なって間に合わないだけなのだ。例えば寝過ごすとか・・・。
 そして今日も雲1つないいい天気の空から鞄が降る事になるのだ。そして校舎裏と言えば喫煙場所と昔から相場が決まっていたりするから困りものである。(最近はそうでもないらしいけど)突然鞄を頭にぶつけられて笑って許せる人間はあまりいないだろうし、彼らは平均より怒りっぽい質だったのが災いした。
「・・・・天野さんの知り合い?楽しそうだね。」
「これのどこが楽しそうに見えるのよ!」
 のほほんと現れ、みどりがいないよりまし位にしか思っていなかった大輔。その場の険悪な雰囲気をあくまで話し合いによって解決しようとするのを笑っていた彼らが、説得を続ける内に最後には非常に協力的な態度でその場から逃げ出していったのを見てみどりが目を丸くする。
「ただのスケベじゃないみたいね・・。」
「・・・こう見えても部員不足でつぶれそうな合気道部からスカウトされるぐらいの実力者なんだ。」
 と自分の拳についた自分のものではない血をハンカチで拭いながら大輔が何でもなかったように答えた。事実息1つ乱れていない。
「・・・ばれると停学だよ?仕返しされるかもしれないし・・。」
「・・・大丈夫。そういう心配はほとんどいらないから。」
 引っ越し先まで追いかけてくるほどの根性があるなら逃げたりはしないものだ。それに今さら停学になっても関係ないし、転校間際で学校側がそんな処分を下すことは考えにくい。それ以前にばれないと思う・・・。というのもけんかしたことをばらせば両方処分され、また大輔が突然3人に殴りかかったなどといっても信用されない上に証拠がない。
 みどりが大輔をじろじろと観察してにこっと笑った。
「ちょっと格好良かったよ・・。」
「結構なものを見せて貰ったからな・・そのお礼だ。」
「・・・さっきの言葉は取り消す。」
 みどりが渋い顔をして舌を出した。
 
「早川君ってどんな人なの?」
 綾音がスプーンを口の中に運んだ。視線だけを動かしてみどりの顔をのぞき込む。
 人気のない昼休みの家庭室にしゃこしゃこと響く軽快な音。
 派手な色だとばれるかもしれないと思って綾音はレモン味のかき氷。みどりは真っ赤なイチゴシロップにカルピス原液のトッピング。氷が溶けてしまっては興ざめなので2人は無言でスプーンを動かし続けた。そして仲良くこめかみのあたりにじんわりとした痛みを感じて手で押さえる。
「どんな人っていわれても・・・。」
 綾音の頬に微かに朱がさした。みどりの鋭い目がそれを見逃すはずはない。
「あ、なんだ、綾音ちゃんそうだったんだ・・・。」
「な・何がそうなの?」
 努めて冷静な声を崩そうとしない綾音から視線を逸らすようにして、みどりはわざと綾音に聞こえるように呟き続ける。
「うーん、知らなかったなあ。そっかー、そうなんだ・・。」
「み・みどりちゃん?何か私達の間に誤解という巨大な割れ目が形成されつつあるような気がするんだけど・・。」
 やけに楽しそうにかき氷のおかわりを作り始めたみどりの姿を見て、綾音はため息をついた。こうなったらもう誰にも止められないとうことがわかっていたからだ。
 ・・・みどりちゃんが変なことをしませんように・・・。
 綾音の脳裏にニーチェ(神はいないという観点で生きる道を模索した哲学者)の顔が浮かんで消えていった。
 
 腐れ縁の幼なじみ、陸上向き、成績優秀、優しい人、格好いい先輩、校則違反常習者、親しい後輩、変わった人。以上がみどりの集めてきたデータである。みどりはこれに一言付け加える。
「スケベ。」
 ・・で、私は何がしたかったんだっけ?・・
 大輔のデータを前に途方に暮れるみどりであった。
 
 大輔の目の前にみどりが立っている。大輔は椅子に座っているため、自然とみどりを見上げるような形で見つめ合う。沈黙に耐えかねて大輔がぼそりと呟いた。
「蟹座のA型だ・・。」
「ふむ、蟹座のA型、っと。」
 大輔にしたら渾身のボケだったのだが真面目にメモられては立つ瀬がない。
「で、それが何の関係があるんだ?」
「それが思い出せないから困ってるんだけど・・。」
 途方に暮れたように教室の天井を見上げるみどりの姿に大輔はため息をついた。沈黙は金なりとはよく言うがおそらく何も生み出しそうにない沈黙を破ってみどりがぽん、と手を叩いた。
「思い出した!実は、綾音ちゃんが早川君のことおぉぉっ?」
 ・・・昔こんなアメリカンコメディがあったよな・・
 綾音が力任せに引っ張っていくみどりの姿を眺めながら、大輔はぼんやりとそんなことを考えていた。
 
 家庭室で最近の若い人たちには聞き慣れない音が響いている。そう、たとえて言うなら良く切れる包丁を砥石に向かって一心に研ぎ続ける音とでもいおうか・・。
 時折手を休めては水をうち、また研ぎに入る綾音に向かってみどりがおそるおそる声をかける。
「綾音ちゃん、そういう冗談はやめよっ!ねっ!」
 光線の具合で綾音の顔の上半分が薄暗くよく見えない。しかし、綾音はみどりの呼びかけに対してぴたり、っと手を止めた。
「冗談?・・・」
 綾音はにっこりとした笑いを顔に貼り付けたままみどりの方に振り返った。
「みどりちゃん。今度こういう事したら私、本気で刺すから・・。」
 みどりががくがくと頷く様は首のすわらない子供のようだった。
 
「綾音ちゃんなら大概の男の子は頷くと思うけど・・・。」
「だから、好きとかいうんじゃなくて・・・ちょっといいかな?っていう感じなだけ。」
 学校からの帰り道。ガードレールに腰掛けてあんぱんと牛乳を片手に幸せそうな2人の会話である。
「みどりちゃんは早川君のことどう思う?」
「スケベ。・・・・というのは冗談で、結構いい線いってるんじゃないの?私も今日危ないところを助けてもらったし・・・。」
 綾音の表情を見て、みどりは真面目に答えてやった。今朝の出来事もついでに話してやると、綾音は眉をひそめた。暴力のことに対して嫌悪したのかと思ったのだが、どうやら大輔の身を案じたらしい。
「・・・心配いらないってどういうことかしら?」
「そう言われてみると不思議だね?」
 そんな2人の疑問もあんぱんと牛乳の素敵なハーモニーが全て洗い流していくのであった。
 
 話してみると楽しいし、ノリも良くていい感じ。というのが最近の大輔に対するみどりの評価である。当然遊ぶ機会も増えていた。
「むー、これだけの逸材を一年以上も見いだせなかったとは・・この天野みどり一生の不覚。」
 今日も仲良く3人でかき氷タイムである。大輔が加わるまでは味気ない紙の器に盛りつけていたのだが、今ではかき氷を盛るために作られたような涼しげなガラスの器を使って、しかも鍵の壊れた戸棚にしまっておくという傍若無人振りを発揮していた。 
 ただ、昔からの親友のように仲良くふざけ会うみどりと大輔の姿に綾音は軽い嫉妬を感じていた。
「じゃあ来週は3人で海に行こう。それでいいよね綾音ちゃん?」
 綾音は頷きながらも、ひょっとすると自分がふたりにとっておじゃまなんじゃないかと思い始めていた。
 
 ざっぱぁーん。
 まだシーズン始めということでそれほど混んでもなく、少々波が高いことを除けば絶好の海水浴日和だと言えなくもない。
 海パンにTシャツをはおって、大輔はみどり達が着替えてくるのを待っていた。
「おっまったせー。」
 0コンマ3秒。大輔の下半身に不可逆変化をおこすだけの格好で2人が現れた。大きめのTシャツとゆるめの海パンがいい仕事をしていたことを明記しておこう。(笑)
「あー・・・天野さん今日は波が高いから気を付けた方がいいよ・・。」
 綾音も頷いたのだが、みどりはそれを無視して海の中に入っていく。仕方ないな・・という風に綾音と大輔は笑いあった。その直後に波に巻き込まれたみどりの情けない声が聞こえてきた。
「綾音ちゃーん、助けてえぇ。」
 綾音は振り向くと同時に大輔の両目に自分の両手をかぶせた。大輔は鋭く何があったのかを理解して、海に背を向けるとTシャツを脱いで綾音に渡した。
「桂木さん、これとバスタオル持っていってあげて。俺は天野さんの水着を探してみるから・・。」
 捜索して約5分。近くにいたおねーさんがひょっとしてこれかな?とちっちゃな布きれを渡してくれたことで何とかなったようである。
「天野さん、はいこれ。」
「・・・ありがとう。」
 Tシャツの中に両手をしまい込んでもぞもぞとしている間、大輔は背中を向けていた。綾音はバスタオルを持ってさりげなく周りの視線を殺し、みどりは顔を赤くして黙ったまま水着を付けていた。
 海水浴といえば海の家。海の家と言えば安っぽい焼きそばと焼きトウモロコシ。というわけで(?)3人は海の家で休憩中であった。
 突然、それまで無口であったみどりがぽつりと大輔に向かって尋ねた。
「早川君・・・私の・・見た?」
 大輔の頭はめまぐるしく計算を始めている。とりあえず残された時間は今口にした焼きそばを飲み込むまでの限られた時間である。
 もし、見てないといっても信用されるだろうか?だからといって見た、といえば全てが台無しになるような気がする。だとすれば、だとすれば・・・。
 大輔はゆっくりと焼きそばを飲み込んで、コホンと軽く咳をした。そしてにっこりと歯を見せながら笑って一言。
「見てないよ。」
「やっぱり見たんだあぁ!」
 ・・・どうやら台無しになる運命だったようである。
 帰りの電車の中で大輔がぽつりと呟く。
「桂木さん、俺の何が悪かったんでしょう?」
「多分運が悪かったんじゃないかな・・。」
 夕焼けの赤が大輔の頬の手形を浮かび上がらせていた。
 
 みどりはあれから大輔と会話をしていなかった。怒っているのではなく恥ずかしいだけなのだが・・・。
「ねえ、みどりちゃん。」
「んっ?」
 幾分まじめな顔の綾音に対してみどりはぼんやりと反応する。
「ひょっとすると、みどりちゃんって早川君のことが好きなんじゃないのかなあ?」
「そういうのって良くわかんない・・。」
 綾音がすっと立ち上がってみどりをみつめながら話した。
「じゃあ、私早川君に告白してもかまわない?」
 みどりのどこを見ているのかわからない瞳の焦点が戻ってきた。
「とうとう告白するの?頑張ってね綾音ちゃん。」
 どこをどう見ても無理してますといった感じのみどりの姿を見て綾音は微笑んだ。その足ですたすたと音楽室から出ていった綾音の姿をみどりは黙って見送った。
 10分ほどして綾音が浮かない顔で帰ってくると、みどりがおそるおそる声をかけた。
 綾音は力無く微笑んで窓の外に視線を泳がせた。
「ふられちゃった・・。他に好きな人がいるんだって・・。」
 かける言葉が見つからずに黙ってしまったみどりに向かって綾音が呟く。
「早川君はみどりちゃんが好きなんだって・・。」
 音楽室にみどりの息をのむ音が響いたように綾音には感じた。一瞬遅れて真っ赤に色づくみどりの顔を見て綾音は机に顔を伏せた。時折肩の辺りを震わせている。
 我に返ったみどりは綾音の様子に気が付いてどうすればいいのかと思っておろおろしている。そうしている間にも綾音の肩の震えは大きくなっていく。そしてついにこらえきれないといった風に綾音は顔を上げて笑い出した。
「はい?」
 状況が良くのみこめずにうろたえるみどりの肩を綾音がぽんぽんと叩いた。
「ごめんごめん。今の全部嘘だから・・。」
 指先で自分の目にたまった涙を拭いながら綾音はそっぽを向いた。
「でも、あの状況で顔を真っ赤にするより先に私に気をつかって欲しかったな・・。」
 数秒後、ふたりの追いかけっこが始まった。
 
「・・・ひょっとしてさあ、私と綾音ちゃんってライバルなのかな?」
 夏季限定のキウイシェイクセットを堪能しつつみどりが呟く。それに対して綾音の瞳はどこか遠くを見つめているようで何とも頼りない感じである。
「ライバルっていえば聞こえはいいけど・・両方負ける可能性があるものねえ・・。」
 ごもっともな意見である。しかも綾音の場合、自分の分の悪さを薄々感じているだけに冷凍マグロのような目つきにもなろうというものである。
 2人の黙々とシェイクをすする音が響く。どうやら、2人とも嫌な光景を想像してしまったらしい。
「まあ、まだ先は長いし・・。ぬけがけは無しということで・・。」
「その言葉よく聞くけど、ぬけがけじゃないアプローチってどんなのがあるのかしら?」
 それは、作者も是非聞いてみたいものである・・。
 
 先など長くはなかった・・。
 でもこのことで1つだけわかったことがある。やっぱり自分は彼のことが好きなんだなあということ。
 みどりは街灯に背中を預けて空を見上げてみると、ゆっくりと西の空が赤く染まり始めていた。
 いつもはみどりの興味を引きつけてやまない駅前通も今日はなんだかくすんで見えた。それでもみどりは落ち着き無く視線を左右へと投げる。大した理由はない。ただ、そこらに彼がいるような気がしただけで・・・。
 みどりは不意に風を感じて、無意識にそちらに顔を向けた。霞む視界に浮かぶ人影。みどりは慌てて指先で涙を拭う。こんな情けない顔は見られたくない。
 それなのに、彼は泣きたくなるようなことをいうのだ。
 みどりは大輔に抱きつくことで自分の泣き顔を隠すことにした。
「・・・ちゃんと待ってるからね。・・・遅刻しちゃ嫌だよ・・。」
 
「・・・日が沈むまで高台の上で待ってたんだけどねえ・・。」
 みどりの目の前で綾音が恨めしそうにぼそぼそと呟いている。それでいて綾音の表情は明るい。予感があったからかもしれない。大輔は自分よりもみどりと話すときの方が楽しそうであったのだから。
 遠慮がちなみどりの手を引くようにして、綾音は今ふたりきりでここにいる。今回のことでみどりという素晴らしい親友を失いたくはなかったのだ。もし、逆の立場であったとしたらみどりがきっとそうしたであろうから・・・。
 言葉は必要ではなく、綾音はにっこりと笑うだけでよかった。それだけで以前と同じような関係が戻ってくるのを感じて2人はほっとした表情を見せた。
「早川君の手紙に綾音ちゃんのことも書いてあったよ。・・・住所教えてあげる。」
「みどりちゃん、余裕だね?」
「そんなんじゃないってば・・。」
 綾音の言葉にみどりが首を振った。
 正直、今も不安でたまらない。でも自分には綾音ちゃんが側にいる。大輔がもし同じ思いを抱いていたとすれば綾音の存在がまた彼を救ってくれるのではないかと思ったからだ。
「遠く離れているとやっぱり不安?」
 自分の心を見透かしたような綾音の発言にみどりは首を縦に振る。
「でも、この気持ちは綾音ちゃんが教えてくれたものだから・・。ずっと大事にする。」
 綾音は肩をすくめながら苦笑した。
 もうすぐ夏休みがやってくる。
 ・・今年の夏休みは少し物足りないかもしれないな・・。
 みどりは南の空の入道雲を眺めながらそう思った。
 
 
 

 『こんばんにゃー・・・』の印象がとても強いせいか綾音とみどりを親友の設定にしてしまうことが多いです。そのせいでラストの雰囲気が・・・みたいになってますが気にしないように。
 さて天野さんのキャラ。なんていうか、声が可愛い。と自分では思ってるんですが、それが第一印象だとするとそれはそれでつらいキャラだななんて考えてしまいます。
 遅刻して塀をよじ登るということは、校門が閉まる・もしくは誰かが見張っているんですかねえ?私が高校生だった頃は、生徒会の一員として校門のところで並んだことがあるぐらいでよくわからんです。中学の時は先生が入り口のところで睨んでたけど裏山の崖を越えてきても遅刻は遅刻だし、いったい何のメリットがあるんでしょう?
 確かかなりの人気キャラですよね?そのせいで頭に伊勢エビのっけられたりしてヒロインからお笑いどころまでまんべんなく同人誌には登場していました。私個人としては真ん中ぐらいでしょうか?
 ちなみに、最初の助走はある走り高跳びの選手の助走距離です。

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