香港旅行記
 
ども、ラオウです。私はどこかの誰かさんと違って会社に勤めております。ウチの会社は年末に課内旅行に行くことが多いのですが、昨年までは温泉で飲み明かすことがほとんどでした。
ですが、今年、別の部署に異動になった関係で、いつもと異なり、12月2日〜4日の日程で香港旅行に行くことになりました。私にとって初めての海外旅行です。
 
課内旅行とはいっても、国内旅行組と海外旅行組に分かれての話なので、参加者は全部で11名となり、N本旅行の小規模ツアーを組んで費用は5万4千円。とりあえず2泊3日食事付きなので、高くはないはずです。
 
12月2日(夕刻)成田空港。様々な手続きを経て、飛行機に搭乗。香港まで約4時間の空の旅。あっという間に着きそうです。とはいえ暇なので前の席に取り付けられた液晶モニターで貧弱なトランプゲームをしているとステュワーデスさんが回ってきました。
どうやら機内食を配っている様子です。念のため状況を書いておきますが、私は3人がけの真中の席に座っています。両隣はもちろん会社の同僚{N氏(20代半ば)とS野氏(50代後半)}です。
ステュワーデスさんはとても魅力的な笑顔でこう聞いてきました。
「魚と肉とフライがございますがどれにいたしますか?」
当然ですが英語です。日本語はまったく通用しません。両隣の同僚は人間の癖に貝になったフリをしています。
「肉を」
英語は得意ではないので、余計な言葉は挟まず一言で済ませました。
ステュワーデスさんは首を少し傾けながらもう一度同じ質問をS野氏とN氏に繰り返しました。左に座っているS野氏は躊躇わず私に聞いてきました。やはりこの年代の人間は逞しいです。
「なんて言ってるの?」
「魚料理とステーキとフライものがあるけど何がいいですかって聞いてます。」
S野氏は頷いた後、炎の三連呼を。
 
「フィッシュ! フィッシュ! フィーッシュ!!」
 
すいません全部私が悪いんです。この年代の人間は逞しすぎます(笑)。
ステュワーデスさんはにっこり笑顔のまま魚料理を出してきました。プロです(笑)。
N氏は私と同じく「肉を」と答えましたが、
「今、ちょうどなくなったので、後で持ってきます。」
と申し訳なさそうにスチュワーデスさんが謝っています。英語で。
けどなにやら、N氏の目の焦点が合っていません。どこか遠くに思いを馳せている様で、あいまいに頷いたりしています。余計なお世話かと思いましたが、N氏に
「今ないから後でってよ」
と言うと、N氏は
「いえす、いえす」
と答えていました。
 
ウチの会社、もうダメかも(笑)。
 
食事が済んだころ、例のステュワーデスが回ってきて
「食後のお飲み物は何が良いですか?」
と聞いてきました。両隣には目もくれず、私にしか聞いてきません。そして、通訳する様に目で訴えかけてきています。
 
うわ、切り捨てられてやんの(笑)。
 
現地時間で11時頃、香港に到着しました。本当に暖かく、Tシャツ1枚でいけそうです。さすが亜熱帯地方。半端じゃないです。
現地のガイドさん(ハン氏)の案内でバスに向かい、香港島の宿泊予定のホテルまでマイクロバスで1時間もかからないみたいです。
 
12時過ぎにホテルについたのですが、何人かで外に食事に出かけることになりました。香港の食堂は夜中の2時くらいまでやっているみたいです。日本の常識とは少し違いますね。メニューを見ても分からないので、闇鍋みたいに適当に注文し、食っていました。さすがにどれも美味いですが、食っていて、材料は何を使っているのかとの思いが時たま頭をよぎります。まぁ、美味いものは美味いで済ました方が良い場合が多いのでしょうね。
 
さて、食事が終わりホテルまで帰る途中、セブンイレブンに立ち寄りました。(コンビニが日本と同様あちこちにあるんですよ。)棚に目をやると香港の雑誌の中に何やらアニメ絵のパッケージが紛れ込んでいます。
「求婚365日」
非常にイカレ・・・もとい、イカシたタイトルが私の脳幹細胞を瞬時に破壊しました。どうやら、香港オリジナルのギャルゲーみたいです。98香港ドル(約1500円)かぁ。無意識にパッケージに向かって伸びる手を同僚が不思議そうに見ています。
 
やべ(笑)。
 
軌道修正し隣の週間マガジンの香港版を手にとって、
「こんなのがあるよー(笑)。すごいねー香港。」
とかいって誤魔化しながらも、すべての意識は「求婚365日」に(笑)。
同僚の手前もある上、中文WINはもっていないし、あったところで読めそうもないので、購入を諦めました。しかし、タイトルが・・・このダメっぽさが堪らない(笑)。ネタとしては最高なんだけど。これは後を引きそうだ。
 
翌朝、観光開始です。何故かバスの搭乗メンバーに知らない人が一人混ざっています。ガイドのハン氏の説明によればカメラマンの方で、同行して写真を撮ってくれるそうです。つまりなにか、勝手に写真を取って、最後にそれを我々に売りつけるのか(笑)。
市内で食事をした後、香港で数少ない浜辺(香港島の南側)に行くみたいなんですが、行きのマイクロバスの中でハン氏が
「いいですか。ここではエッチなトランプを売っている人がいます。1個100香港ドルです。声をかけられるハズですが相手にしないほうがいいです。大きな札を渡すとおつりは返ってきません。確実に釣銭は誤魔化してきますし、中身が空っぽのケースを掴まされる場合もあります。それでも買いたい人は買ってください。止めはしませんが、売人はこれで大儲けしてベンツに乗っているということを覚えておいてください。」
 
で、浜辺です。浜辺の一部になんか妙な寺院みたいなのがあって結構な数の観光客がたむろしています。日本人観光客も大勢います。ただ、このお寺、全体的に安っぽさが目立ちすぎてちょっと…浜辺の方も急造成された感じで砂浜が山砂のような気がしますし。(後で聞いたら実際そうみたいです。)あまり面白くないので適当にぶらついていました。
あ、トランプ売りは一人しかいませんでしたが、5回ほど声をかけられました(笑)。
 
お次は、香港島のてっぺんに行って、香港を見渡しました。夜景ならとてもきれいなのでしょうが、今は昼です(笑)。
さて、再びマイクロバスに乗り、次の場所へ向かうバスの中。I橋氏がコンビニで買ったペットボトル飲料を口に含みました。
「ぶぁ!」
I橋氏は緑茶と書かれた緑色のペットボトルをしげしげと見つめています。
「どうしたんですか?」
「いや、甘いんだよ。」
みんなで回し飲みすると確かに甘い。というかアップルティーだ、これは。不思議がっているとハン氏がラベルにリンゴの絵がついているでしょうと指摘する。キャップも赤いでしょうと追い討ちをかける。どうも、キャップが赤いのは甘い飲み物の印みたいです。
「いや、でも緑茶ってかいているし、ペットボトルも緑色だよ?」
I橋氏が反論するが、どうもそういうものらしい。確かに昨夜コンビニで買ったほかの飲み物も必要以上に甘いし。ジュースなんてもともと甘いものですが、なんというか不自然な甘さというか…添加物が非常に気になりますが、読めんし(笑)。UCCコーヒーのアメリカンサイズなんて初めて飲みました、私。
さて、騒ぎながら次の場所へ。
次は観光地ではなくショッピングです。「絹の都」という絹製品のお店です。観光ルートに強制的に組み込まれていて、嫌でも入店しないといけません。ハン氏の説明によると、このマイクロバスの賃貸料のスポンサーの一つだそうで、旅行代金が安い理由の一つなので納得してくださいとのことでした。買う買わないの判断はお任せしますだそうで、まぁ仕方ないですね。
 
で、商品ですが…絹のタオルが5千円。ネクタイ4本で1万円。絹のトランクスが2500円。お支払いは日本円でOK、というか香港ドルより日本円のほうが歓迎されます。宮沢大蔵大臣!喜んでください、アジア円通貨圏構想は着実に身を結んでおりますぞ(笑)。チガウチガウナニカチガウ。
 
結果報告:日本より確実に高いこの店で1名が買い物をしてしまいました。
 
お店をでると、どこかで見たような人が、エッチなトランプを買わないかと聞いてきました(笑)。何故あんたがここにいる? 
誰も相手にせずマイクロバスに乗りこみ次の目的地に向かうと、そのトランプ売りもワゴンに乗って追いかけてきました(笑)。
ガイドのハン氏が我々疑問に答えてくれました。
「日本人観光客の観光ルートは大体きまっているから、時間ごとにその場所に移動しているんです。我々を追いかけてきている訳ではありませんよ。」
誰かがツッコミをいれました。
「ベンツじゃないじゃん(笑)」
「あれは営業用です。ベンツは別の場所にあります(笑)」
 
昼食後、超有名なタイガーバームです。んー、イイカンジにさびれておりますなぁ(笑)。どうも、今年いっぱいで閉園するみたいで、見納めとしては良い時期にきたとかハン氏がほざいていますが、一度タイガーバームに行ったことのある人に感想を聞くと意味ありげに苦笑いする理由が良く分かったような気がします(笑)。
 
マイクロバスに乗って次の場所へ。お次は宝石店のようです。んー、4年ほど前に同じく課内旅行で行った石和温泉の帰りに寄った宝石の秘宝館を思い出しました。まったく同じ雰囲気です。紫水晶のでっかい置物があるところまで一緒です(笑)。お値段はン十万からン百万円とちょっと手が出る金額ではありません。そもそも野郎には結婚とかクリスマスのとき以外には縁のない場所です。
 
結果報告:誰も買いませんでした。
 
次は買い物ツアーではなく、九龍城跡地の公園です。区画整理できれいになくなっているのですねぇ。ハン氏の説明によると、建物自体の老朽劣化と香港返還の際にいろいろあったそうで、経緯を説明してくれたのですが詳しいことはもう忘れました。
建物というと香港の集合住宅はすごいことになっていて、ハン氏曰く
「建物の上に建物が建つ」
のだそうです。香港では昔、規制か何かで8階建て以上はなかったのですが、余所からやってきた人間が勝手にその屋根の上にさらに家を建ててしまうのだそうです。さらに気合がはいると、その増築の上にさらに増築。で、九龍城跡から遠くの住宅を見ると確かに8階から上の壁面の色が違う…。逞しいというか無茶というか。
香港の事情についてさらに語りますが、香港の建築工事の足場は竹で組まれています。日本では鉄パイプで組まれていますが、香港ではその常識が全く通用しません。何十階建ての高層ビルでも建築中の建物は竹で覆われているのでちょっと異様な風景が高層ビル街に出現しています。当たり前ですが作業員の転落事故は日常茶飯事で、給料は警官と並び、かなり良いみたいです。給料とリスクがきれいに正比例しており、ある意味理想的です(チガウゾ)。
さて公園内を歩いていると、朝から一度もトイレに行っていないので、少し催してきました。で、跡地にある公衆トイレに入りました。
トイレにきっちりとした定義があるのか私は知りませんが、おかしな事に白い便器が見当たりません。目の前にあるのはステンレスの壁で、何故かその壁面を水がちょろちょろ流れています。ちょっと語彙が貧弱なので適当な言葉を思いつけませんが、塀に向かって小便する酔っ払いの気持ちが少しは分かったような気がします。一緒に入ったK川課長は反対側の端に離れて用を足しています。ですが、しきりも何もないので横から丸見えです。
「課長、これはある意味合理的ですね。(何故か嬉しそうな声で)」
「…そうだね。」
さすが香港!(意味不明)
 
さぁ大分テンションがあがってきました。九龍城跡を離れ、続いて漢方薬のお店です。店に入る前に去年の台湾旅行の嫌な思い出を同僚のK能氏が私に語ってくれました。なんか1室に閉じ込められ、まずい液体を飲まされた上、舞台で筋肉質のマッチョ男が妖しく踊り狂うのを見物させられたみたいです。
 
ちょっといやかも(笑)。でも少し興味が湧いた自分がもっとイヤ(笑)。
 
建物に入ると、あの独特の匂いが充満していて鼻をイヤな感じに刺激してくれます。予備知識?を仕入れてしまったので奥の階段を上っていくときは身構えましたけど、小部屋に案内されても筋肉兄ちゃんは出てきません。代わりにチャイナドレスを着たお姉さんが5人ほど入ってきました。腰の横のスリットがえらく上のほうまできています。
 
分かっとるわー! さすが香港。商売の基本をばっちり押さえてる!(笑)
で、白衣を着た兄ちゃんが漢方薬の説明を一つ一つしていきます。説明が終わったら今度は例のお姉さんたちが、我々の前の小さな腰掛に座り、足をしきりに組替えながら
「どうですかー(笑顔)」
と聞いてきます(笑)。さらに追い討ちをかけるように
「これなんか、日本人に一番人気があります。男性が元気になりまーす。8千円でーす。」
「ジュウブン、ゲンキデース。ダカライリマセーン」
我ながら子供みたいな受け答えです(笑)。さて周囲はどうなっているのか見渡すと、
 
あぁ! 何か買っているし! しかも一杯(笑)。脆い、脆すぎるわ!ウチの会社(笑)。
 
一部からから、「高いから少しまからんか」との声に、白衣のお兄さん答えて曰く
「それで治るのであれば高いも安いもないでしょう」
もっともではありますが、それは典型的な詐欺師のお言葉です(笑)。つまり買ってはいけないという事で、さらに付け加えるなら冬虫夏草について「冬は虫、夏は植物」とバカ全開な説明をしている人を信用しない方が無難です。
でも、そこはオトナのワ・タ・シ。隣で8万円分くらい漢方薬を買いこんでしまった同僚のI柳さんに向かっては
「いやーいいですねぇ。きっと効きますよ。もーバッチリ。」
と周囲の雰囲気を敏感に察し、テンションを下げないように気を使いました(笑)。
 
結果報告:惨敗?
 
さて、そろそろ陽も傾きかけ、いよいよ免税店で散財コースです。その前にガイドのハン氏が「ニセモノ」の話をしてくれました。どうやら、今日ホテルの1室で、闇市があるみたいです。
「興味のない方はロビーで待っていてください。でもニセモノを知ることも立派な社会勉強の一つです。では、参りましょう」
 
もちろん行きます。こんな面白そうなイベント見逃すなんて・・・もとい、社会勉強ですから、これからの人生に大いに役立ちます、多分。エレベータの前に我々を待機させ、ハン氏は一人でドアの前に立って何かやり取りをしています。交渉が終わった様です。ではいよいよ入室です。
部屋はツインで、ベットの上に、商品がぎっしり並べられています。浴室に在庫を収納しているようです。先客もいますが全て日本人みたいです。売人も日本語で説明していますし。バッグ、財布、時計等全てブランドものの「ニセモノ」だらけです。お値段は本物の数分の一程度で財布だと6千円くらいです。…そういえば、今私の持っている財布はもう3年も使っています。見た目もボロボロで実はポケットにいれておくと五百円玉すらこぼれ出てくる代物(笑)。…ふーん、6千円かぁ…いやそれだけ。それだけだよ(笑)。
 
ホテルでの妖しい買い物の後、今度こそ免税店に。SOGOとか三越を上回る大きさのデパートで、売り場にはブランド物が所狭しと陳列されています。同僚は、家族・知人からいろいろとお土産を頼まれているらしく、フロアに散っていきました。とりあえず、2時間後に集合することになり、それまでは自由行動です。
 
当然ですが、私はブランド物に興味はありませんし、知人に頼まれた買い物もありません。つまり私はここにいてはいけないのです(笑)。ということで何の躊躇いもなく外に出て大通りを北に向かって歩き出しました。適当に裏路地の商店街なんかを練り歩いていると香港の庶民生活が浮かび上がってきます。こういうのが大好きなんです。
 
そう言えばハン氏が最初の夜に注意をしてくれてました。日本人かそうでないかは見ればすぐに分かるそうで、日本語で親切に話し掛けてくる人には特に注意する事。また日本人のパスポートは10万円位で取引されるので、下手に持ち歩かないこと。非常に重要なアドバイスだと思います。でも誰も話し掛けてきません。パスポートもしっかり持ち歩いているのに、ちょっと残念。(マテ)
 
夕方の5時くらいから屋台が並び始めました。まだ準備中のところが多くても、見ているだけでとても面白いのですが、そろそろ集合時間なので元の場所に帰らなくてはいけません。帰りましょう。
 
免税店を離れ、夕食に。中級のレストランみたいなところに入りました。さて何時の間に現像が終わったのか、カメラマンさんが撮った写真を各人用に袋に分けて持ってきました。
写真1枚千円だそうです。大体、一人7〜8枚写っておりましたが、私は逃げ回っていたので、3枚しか撮られていません。さて、この肖像権を侵害した写真を買うか買わないかですが、やはり私も日本人です。無下に断るのに少し抵抗を感じたのと、全員の集合写真がわりと良い出来だったので1枚買ってあげました。とはいえ同僚達はほとんど全て買っていたようですが…。
 
さて食事です。まあ、美味いことは美味いのですがツアー料金からして大した物は出てきません。そこでオプションです。ハン氏の話によると、上海ガニが1匹8千円で食えるそうです。しかも今が旬だそうです。
実は私、カニにそれほど興味はありません。カニ味噌も食ったことはないですし、カニカマで十分だと感じている小市民なんです(笑)。それにいい加減、円計算される商品に嫌気が差してきていましたし。この手のツアーが不評を買うのは案外この辺が理由なのでしょうね。初期費用を抑え旅行中にボッタクる構図が見えすぎるためでしょう。
何人かは注文しましたが、アレが8千円とは、いやはや。
 
食後、クリスマス用に美しく彩られたビルのイルミネーションを見物した後、ホテルに帰る事になるのですが、私も含め同僚達はこの後、夜店見物をしたかったので、ホテルに帰らずに途中で下ろして欲しい旨をハン氏に伝えました。
ところが、ハン氏は良い顔をしません。荷物をホテルに戻さないと歩きにくいでしょうと説明し、とりあえずホテルに帰りましょうと。おそらく、ブランド品の荷物を持った観光客が夜店をうろつくのは危険だと判断したのでしょう。一旦帰って荷物を置いたら夜店までお送りしますよとのことなので、ホテルに帰ることに。
 
その帰り道のマイクロバスの中、ハン氏がキーホルダーを配り始めました。
「これはバスの運転手のアルバイトです。昨日は夜中から、今日は1日運転してくれましたし、この後、夜店までみなさんを乗せていきます。また明日は早朝から空港まで運転します。買わなきゃいけないというわけではありませんが、出来たら買ってくれませんか。1組千円です」
といって6個1組の金ぴかの安メッキされた(原価百円以下だと思われる)キーホルダーを全員に配りました。
あぁ、なるほど、この商売をしなきゃならないからホテルまで一旦もどるわけか。しかも先に配ってしまうところが味噌です。情に訴え、しかも手渡されたものを「いらない」と突き返せる人は少数派でしょう。案の定、周りの同僚は「世話になったしな」とか「これから夜店までのタクシー代」とか自分を納得させるための嘘をつき始めました。見当違いな情に自ら騙され始めています。ハン氏の見事な誘導に一人感動していると、前の席の方からキーホルダー代を払い始めました。日本人の国民性に深く思いを馳せながら、私はキーホルダーをハン氏に返しました(笑)。私が返すと財布を引っ張り出していた後り2名も「やっぱりいらない」と返しました。
 
あぁ、日本人(笑)。
 
再出発。夜店の前に下ろしてもらいました。ハン氏は、注意して行動するようにアドバイスして去っていきました。さて、同僚達は夜店見物が目的ですが私は別に行きたいところがあったので、単独行動です。行先は「信和中心」。大きな声では言えない商品が売られているところです。てってけ歩いていって、20分ほどで到着。大体2〜4畳くらいの小店舗の集合体みたいなものをイメージしてください。夜も遅いので半分以上の店舗が閉店しているようですが、開いている店をくるくるうろつき始めました。1階部分は普通のお店なのでまずは地下に。そして上階へ。
 
3階、CD関係のお店で
「あ、ラブひなDVDはっけ〜ん」
お値段は40香港ドル(約600円)。ぺしっと床に叩き付けたくなりましたが、私は人間がわりとイイカンジに出来あがっているのでそんなことはしません(笑)。だってこれにフィギュアはついてないし(オイ)。
ちなみに日本で買うと限定フィギュア付きで7500円也。
本屋さんもあります。日本の雑誌があふれていてパソコンパラダイスとかも売られています。もちろん日本語。CD屋もありますね。商品は全て日本のアニソン。あとはエロビデオCDとかが大量に売られていますが、実はこれは中身とカバーが別もんの超が付く粗悪品なので、手を出してはいけません。なぜ、知っているかは秘密です(笑)。経験は人を強くします(オイ)。
 
「信和中心」うわさに違わぬヲタクビルのようです。来て良かったぁ(笑)。
 
さて、日本が世界に誇る18禁ゲーも売られているのですが、棚には何故か同人ソフトみたいな袋に入った「AIR」とかが売られています。他にもいくつかあるのですが、どうやってか中文版になっていたりするものもあります。この辺、ちょっと謎過ぎてコメントは控えます(笑)。
別の棚に目をやると、「求婚365日」を発見。思わず手が伸びかけました。何故なら抑止力の同僚達がいないから(笑)。でも理性が働き、購入中止。強いぞ私の理性。
 
お店をクルージングしているうちに時間も経ち、全ての店舗が閉店しそうです。残念ですが退散して、夜店のほうに繰り出しましょう。
来た道を引き返し、夜店にやって来ました。
夕方と違い、盛況です。屋台と人がすし詰め状態で、満足に動き回れないくらいです。
売っているものはTシャツから、小物、飯屋もあるし、PSのコ(ぴー)CD売ってるのもあります。見て回っているだけであっとゆう間に時間が経っていきます。そのとき、
 
「・・・・・・・・・(広東語らしい)」
変な小男が話し掛けてきました。
 
これかぁ!(笑)
 
待ってました。でも残念なことにお付き合いするわけにはいかない。ここは心を鬼にして
「ノー!(笑)」
間髪入れず言い返しました。すると
「where do you from?」
無視して足早に去りましたが、しばらくしてから、まてよと思いました。
日本人は一目で分かると言っていませんでしたか、ハン氏。確かに時々見かけた日本人観光客はそれっぽくて私にも区別がつきます。周囲と明らかに雰囲気違うから、外国だとそれが目立つためです。ならさっきはなぜ、日本語ではなく広東語、そして英語で? ノーと言ったからか、それもなんか違う気がする。
いや、まて。よくよく考えると昼間は、大通りで日本人観光客らしき人をを見かけたけど、夜になってからは見かけていない。金髪外人の二人連れとか、強そうな黒人連中はたくさん見かけましたが。今、現地時刻で夜の11時過ぎ。この時刻に見知らぬ異国で一人歩きする日本人はもしかしていないのか?
…いないような気がする(笑)。考えても仕方がない、そろそろ潮時でもあるし帰ることにしましょう。地下鉄の駅の場所はチェック済みなのでまっすぐ駅へ。
 
ハン氏から、香港の地下鉄は日本と違い、行先を押してからお金を入れると説明されています。しかも、おつりは出ないとも。だから、今までの買い物でしっかり小銭は用意しています。準備万端、いざ切符売り場へ。
タッチパネル方式だったので目的の駅を押して、料金を入れようとすると、画面に20香港ドル札を入れるように表示されています。あれ、お釣りは出ないハズだよねと思いつつ、20香港ドル札を入れる私がそこにいます(笑)。とりあえず、試さないとね。
 
ピ。テレカにそっくりの磁気カードみたいなのが出てきました。これが香港の切符みたいです。そして、ジャララとお釣りが…。こら、嘘つき(笑)
 
地下鉄に乗って、香港島の宿泊ホテルの最寄駅に着きました。気づいたのですが、エスカレータの速度が日本より1,2割ほど早い。こんなに早いと危ないような気がしますが、慣れの問題かもしれません。ちなみにエスカレータで歩く人は左側、つまり関西方式です。
うむ、商売のやり方からして香港には関西風味がよく似合う(根拠なし)。
ホテルに帰り、翌朝6時に空港へ出発。冷静に考えると、とんでもない強行軍ですが、他のツアーもこんな感じなのでしょうか。
 
日本に帰ってきたのは、午後2時くらいになりました。さぁ今回の旅行における最難関の税関です。全然自覚はないのですが、もしかすると日本国内に持ちこんではいけないものがたまたま私のバッグの中に入っているかもしれません(笑)。
どうも聞いた話によると、順番待ちをしている状態からある程度チェックしているようなので、ここはやはり挙動不審者を演出しないといけないのでしょうか? イワッチ萌えのラオウとして岩田の動きを完全トレースしなければいけない様な気がしますが、それをやると、荷物検査どころか尿検査を受けさせられるかもしれないので自粛しました(笑)。
まぁ、とりあえず無事通り抜け、夕方自宅へ帰りつきました。
 
 
以上、ラオウによる初の海外旅行レポートを終了いたします。読んでいただきありがとうございます。これを読むと分かるでしょうが、あちらでは相当えげつない商売がまかり通っています。読んで不快になる部分はばっさり切り捨てようかとも考えましたが、こんな体裁ですけど旅行手引き書としての側面を否定しきれないので、あえて書きました。ご了承ください。また、付け加えておきますと、私が香港で取った行動はかなり危険が伴う恐れのあるものです。下手に真似をしてうまくツボにはまった場合、相当シビアなシチュエーションを体験できるかもしれませんが、その時はご自分の才覚で事態を乗り切ってください(笑)。
高任氏にお土産を渡しながらこの旅行のことを話したら私の行動は日本人離れしているとコメントされました(苦笑)。
 
2000年12月 某日 ラオウ 記

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