さて、2003年夏コミケです。
 今度の日程は8月15、16、17日と、3日間の開催が当たり前のようになってきて、スタッフの苦労を思うとなかなかアレですが。
 
 8月某日
 
吉 井:『うー、どうも最近体調が優れないので、今年の夏はのんびりと静養することに決めたですよ…』
 
 と、サークル落ちしたことも手伝ってか、吉井氏がこういうことを言いだした……まあ、自分の体調を把握して無理をしないのは大人です。
 で、こういうことに関してはあまり大人じゃないもう1人の人間はというと……
 
 プルルル……
高 任:「ウイ、こちら高任ですよ」
ラオウ:「そちらは雨かね?」
高 任:「……まあ、完膚無きまで雨が降ってますが?」
ラオウ:「ふむ、そうか……」
高 任:「ま、この3日間は天気悪いようですが、今日雨が降ってると何か問題でもあるのかね?」
ラオウ:「いや、そっちが晴れてるというか雨が降ってないのなら、バイクでそっちに行こうかと考えていたんだけど
高 任:「……ラオウさん、アンタ最近ダメな方向にチャレンジャブルになってないかね?」
ラオウ:「何を言うか!この前はものは試しとばかりに、秋葉原まで行ってみたんだから全然問題無しですよ」
高 任:「アンタ事故る時は派手に事故るから勘弁してくださいよ……って言うか、秋葉原から俺の家までの道が計算に入ってないぞそれ(笑)」
ラオウ:「道とガソリンと根性さえあればどこまでも行けるって…」
 
 などと馬鹿な電話のやりとりの後、結局ラオウさんはバイク案放棄。
 
 で、夕方6時前にラオウさん到着。
ラオウ:「……お、吉井さんは?」
高 任:「ああ、なんか体調が優れないから今年の夏はゆっくりと静養するとかなんとか…」
ラオウ:「ふむ……それは心配だねえ」
高 任:「まあ、今頃はゆっくりとブランデーグラスを傾けながら『ママ4』のDVDでも見ているのではないのかなあ(笑)」
ラオウ:「いや、ブランデーグラスは傾けてないと思うが…」
高 任:「出来が悪かったら、バリーンとか言って、グラスを握りつぶすんですよ(爆笑)」
 
高 任:「……と言うわけで、これがラオウさんの分のカタログじゃよ」
ラオウ:「うむ、ご苦労……っって、この背表紙のキャラは何?」
高 任:「俺に聞かれても知らん」
ラオウ:「じゃあ、これお土産……ちょっとここに来る前に秋葉原寄ってきたから(笑)」
 と、俺に土産を渡すと、さっさと明日のサークルチェックをはじめるラオウさん(笑)……ラオウさんなのだが。
 
キュ、キュゥー、キュッ♪……
 
ラオウ:「……何か言いたそうだな」
高 任:「さっきから、鈴の音のような可愛らしい音をたてているのは、キミの腹の虫かね?
ラオウ:「いや、別にお腹は空いていないのだが……空いてはいないんだけどね」
高 任:「今日は何も用意してないというか、最近いろいろあってほとんど買い物とかできてないので、どこか食べに行くです」
ラオウ:「この雨の中を?」
高 任:「外に出るのがイヤというなら、そうめんでも茹でてあげようか」
ラオウ:「それもちょっとひもじい話だな……」
 
 と、雨の中飯を食いに出かける2人。
 
高 任:「……ここのラーメン屋、つい最近開店したのはいいんだが、いつ見ても客が入ってないのに興味をそそられてねえ(笑)」
ラオウ:「どれどれ…(と、店の中を覗き込む)……むう、このゴールデンタイムに客が1人もいないと言うところが実にチャレンジ魂を揺さぶるではないですか(笑)」
高 任:「では、行きますか!」
ラオウ:「行かれますかっ!……と続けたいのは山々なんだが、今の俺はまともなご飯が食べたいと切実に欲していたりするので
高 任:「……なるほど」
ラオウ:「というわけで、ここのラーメン屋は明日来ることにして(笑)……(まわりを見渡しつつ)……おや、こんな所にファミレスがいつできたん?」
高 任:「去年の春……入ったことないけど(笑)」
ラオウ:「雨も降ってるし、ここでいいや(笑)」
 
 メニューを開けた瞬間、我々2人の嗜好と店の方向性が極端にかけ離れているのに気付いて頭を抱えたりしたのは内緒……味付けもな。(笑)
 
ラオウ:「……貧しい食事は心を飢えさせる」
高 任:「そんなこと俺に言われても……じゃ気分直しにゲーセンでも。ラオウさんの好きなハウスオブデッド2が1プレイ50円であるですよ(笑)」
ラオウ:「ふむ、銃でも乱射すれば心が豊かになるかもしれんなあ」
 
 いや、ならんだろ。
 
 等というツッコミを呑み込みつつゲーセンへ。
 銃を乱射するラオウさんだったり、ビルをクレイジーに登りまくる高任だったり。(笑)
 
高 任:「……実を言うと、私バイトから帰ってきてから部屋の掃除をしたりしていたモノで、40時間以上眠ってないのです(笑)」
ラオウ:「まあ、俺のことは気にせずに眠ってくれたまえよ」
高 任:「いや、明日の出発時刻を聞かないと目覚ましをセットする事もできないし」
ラオウ:「サークルをチェックしたのだが……昼過ぎにだらりと到着する方向で(笑)」
高 任:「とすると目覚ましは8時……(天気予報を確認しつつ)……麦茶の凍らせ具合は7割程度と言うとこでオッケーかね」 
ラオウ:「いや、この気温だと、7割では溶けないような気がするので5割だろう……もしくは、既にスタンバッているペットボトルを冷蔵庫に入れて解凍しはじめるぐらいがちょうどいいのでは?」
高 任:「じゃあ、そんな方向で……」
 
 などと、コミケ前日の夜は更けていき……いや、ラオウさんは遅くまでがさごそしてたようですが。
 
 8月15日(金)
 やっぱりちょっと寝るのが早すぎたのか、高任ったら、朝の5時ぐらいに起きてしまったり。
 仕方ないので飯を炊いたりみそ汁作ったりしてから、寝ているラオウさんを刺激しないようにロフトの上に上がってテレビをつけたり。
 
女アナ:「……地方では、大雨洪水警報が発令されており」
 
 大雨、アンド低温。
 高任の体感温度は、10月の体育の日風味。(注、部屋の中)
 気温はともかく、ラオウさんと2人でサークル参加したかつての大雨夏コミケより雨足は確実に強い。
 というか、駐車場で待ってるときにラオウさんと2人で傘子地蔵(ゴミ袋を傘状に切り抜いて頭の上にかぶる)になってたりしたイヤな記憶が。
 で、8時。
ラオウ:「なにやら、雨音がすごいことになっている気がするのですが」
高 任:「んー、大雨洪水警報が発令されていたりして(笑)」
ラオウ:「マジですか?」
高 任:「ほら、昔ラオウさんと2人でサークル参加した夏コミ……台風がかすめていったあの時より確実に雨足は強いです」
ラオウ:「んー、まあ今すぐ出かけるワケじゃないからしばらく様子を見ようではないかね……それにしても、今駐車場に並んでいる人間はすっごい事になってるんだろうねえ(笑)」
 
 イヤ、そこは笑うところではないと思うんですがラオウさん。
 やっぱり、吉井さんという緩衝役がいないせいなのか、いつもの対談よりもラオウさんの背後に黒い影がちらついていたり。(笑)
 高任にとっては、いつものラオウさんですが。
 
高 任:「あ、それと……ニューヨークとカナダのトロントあたりで大規模な停電が発生して、ニューヨーク市場の取引がえらいことになってるとか……」
ラオウ:「そういう事は先に言えっ、先に!……(何やらごそごそと操作しつつ)……うわわ、相場が動いちゃってるよ……って、そんな大きな動きでもないか、でもやっぱりちょっとドルは売られ気味だが、さて……」
 
 そして2時間後。
 
高 任:「何やら、関東地方全域に大雨洪水警報が発令されちゃったりしちゃったりしてるみたいですが……」
ラオウ:「(窓を開けて)……む、む、むう」
高 任:「今日濡れ鼠になって、風邪など引いてしまうと明日、明後日の作戦に支障が出るのではないでしょうか?(笑)」
ラオウ:「……も、もう少し様子を見たりしないかね?どのみち、今日は見て回るにしても1つ2つのサークルだけなんだよ……まあ、どのみちいろいろとうろつくわけだが」
 
 さらに2時間後。
 雨は少し弱まったかと思うとまた激しさを増したりして、ちょっとした小悪魔っぷりを披露していたり。
 
高 任:「ラオウさん。既に俺の頭の中では、今日は一日だらりと過ごす計画が出来上がりつつあるのですよ(笑)」
ラオウ:「んー、俺もその方がいいような気がしたよ……」
高 任:「というわけでですね……えーと?」
ラオウ:「何?」
高 任:「あ、これこれ。この前買い物に行ったとき、何故かミルメークを発見してしまってですね、つい買ってしまいました(笑)」
ラオウ:「む、むう!……(牛乳と混ぜて一口飲みつつ)……むうっ、まさにミルメーク(笑)」
高 任:「そうか?俺的にはちょっと甘さ控えめのような気がしたが」
ラオウ:「にしても、こういうのって売ってるもんなん?」
高 任:「まあ、売ってたからここにこうしてあるわけで……って、何か雷まで鳴ってきましたぜ(笑)」
ラオウ:「……2年ぐらい前、ここでは大雨だったのにコミケ会場では晴れていたなんて事がなかったか?」
高 任:「じゃ、行けば?とめんけど、俺は行かんぞ(笑)」
 
 ま、いろいろあって夕飯時。
 
ラオウ:「さて、行ってみますか(笑)」
高 任:「うむ、人類の歴史はチャレンジの歴史」
 
 などと、店の人が聞いたら血管ぶち切れそうな会話を交わしつつ、例のラーメン屋に……もちろん、相変わらず店内に客は1人もいなかったり。
 
高 任:「(ここは無難に…)えっと、ラーメン1つ」
ラオウ:「ラーメンと餃子」
店 員:「はい……ラーメン二つ、餃子1つはいります」
 
 ぴぴぴ……と小さなタイマー音。
 どうやら、麺上げの時間をタイマー設定しているようで……って、そちらを見ていたラオウさんの顔色があからさまに変わったので、高任もそちらに視線を。
 
ラオウ:「……」
高 任:「……」
 
 ちなみに、生麺を茹でたことのある人間ならわかると思いますが、麺を馴染ませるための粉云々はともかくとして、デンプン質が滲み出て麺同士をくっつかせるというか、それよりも大事なのは、そのデンプン質混じりのゆで汁をしっかりと切らないとスープの味が変わってしまうと言うか……まあ、巷にこれだけラーメンの情報が溢れかえってるんだから湯切りの重要性をここでぐだぐだ述べる必要など無いでしょうけど。
 
 この店の店主の湯切りの方法。
 釜からあげて、そのままの姿勢で2秒ほど放置。(腕を上下に動かす等の湯切り動作はなし)
 
 ちらりとラオウさんを見ると、失礼にあたるからあまり人前でその手の表情を浮かべないラオウさんには珍しく、『ダメだこりゃ』の表情がくっきりと。
 
店 員:「お待たせしました。前、失礼いたします…」
 
 豚骨スープ(?)に、極細ストレート麺。
 こいつは珍しい組み合わせだなとラオウさんに視線を向ける……と、既にラオウさんの視線があさってに。(笑)
 まあ、コミケ日記なのにラーメン描写をぐだぐだ連ねても仕方がないので簡単に。
 
 麺がゆであがってなくて半生。
 ゆで汁が大量に混ざったせいか、スープの味が良くわからない。
 スープと麺が絶望的なまでに合ってない。
 
 店を出てラオウさんが一言。
ラオウ:「……少なくとも、ラーメン屋で修行した人間じゃないよな」
 口直し……と言うか、気分直しに二人してゲーセンに行き、ラオウさんが何やらやけくそ気味にマシンガンを乱射するのを眺めたり。
 
 で、この後高任は眠いので夜の10時頃には早々に眠りにつきました。
 ラオウさんは、朝の6時起きの予定だというのに、3時過ぎまでうだうだやっていたようですが。
 
 8月16日(土)
 
高 任:「……雨ですな」
ラオウ:「雨だね」
高 任:「……何やら、(ぴー)地方で集中豪雨により列車の運行がどうのこうの言ってますが?
ラオウ:「いや、高任さん。男には雨が降ろうがなんだろうがやらねばいけないことがあるんですよ(笑)」
高 任:「いや、俺としては吉井さんがここにいたら、ラオウさんをほっといて仮面ライダー555の劇場版観戦ツアーになだれ込もうと思っていたわけで(笑)」
ラオウ:「……また人の知らん所でそういう根回しを(笑)」
高 任:「……」
ラオウ:「どうしました?」
高 任:「いや……心なしか、喉が痛かったり頭が重かったり。風邪でもひいたかな?
ラオウ:「ぐだぐだ言うな、さあ、行くぞ(笑)
 
 なんか、列車のダイヤが乱れてたりしてちょいと苦労しましたが、雨の中なんとか8時25分頃に会場に到着。
 
高 任:「……ところで、今日は俺基本的にやることないから、どっか並んであげましょか?」
ラオウ:「……」
高 任:「なんですか、その鳩が豆鉄砲食らったような表情は?」
ラオウ:「いや、高任さん……何か俺に隠し事があるとか、頼み事があるとかするの?
高 任:「まあ、1年に1回ぐらいは無償で誰かのために何かをしてあげようという心境になったりすることもありますって……ただ、デフォルトで購入するとこで頼むな」
ラオウ:「じゃあ、K(笑)」
 
高 任:「こ、この叩きつけるような雨の中で俺に3時間並べと?」
 
ラオウ:「いや、昔誰かが『行列はコミケの醍醐味だ…』とか言ってたし」
 
高 任:「んー……そういえば、最近サークル参加でスペース地蔵と化してたり、一般参加で本を買うにしても大手は完全無視してたから並んでないな」
ラオウ:「たまには並んでみてはどうかね」
高 任:「ん、まあ…よかろう」
 
 とか話していると、並んでいた(開場前の行列)列が動き出し、速やかに会場内へと……。
 
高 任:「今何時?」
ラオウ:「……10時14分
高 任:「うわ、俺一般参加でこんな時間に入ったの初めてですよ」
ラオウ:「いや、俺も10時20分過ぎが最高だから……雨のせいかな?」
高 任:「あ、でもこの時間なら3時間は並ばなくてもすむかな……」
ラオウ:「……んっと、例の場所で1時。会えないときは3時で」
高 任:「ウイ」
 
 と、二手に分かれ、まずは次の申込用紙を購入して……外周のKに。
 
 1時15分……例の場所。
ラオウ:「やべやべ。ちょっと遅れちゃったよ……って、高任さんいないな。高任さんのことだから15分か20分ぐらいは確実に待つはずだが……まさか、まだ列に並んでいたりとか(笑)」
 
 同時刻、サークルKスペース。
売り子:「ありがとうございます…」
高 任:「……コミケの醍醐味たっぷりですよ」
 
 きっちり2時間40分ほど逝かして貰いました。
 
 で、1時30分頃、例の場所。
ラオウ:「お、高任さん……何か買ってた?」
高 任:「いや、きっちりついさっきまで行列に並ばせていただいたでございますよ(笑)」
ラオウ:「マジかっ!」
高 任:「暇つぶしに持ってきた『アジアの専〇帝国(約300ページ)』を完全読破して時間がさらに余ったですよ……まあ資料としては面白かったんで、いろいろとネタが拾えましたわ」
ラオウ:「あの時間でそんだけ行列ができますか……もう、手間暇と内容のバランスが崩れつつあるし、買うのやめようかな
高 任「並んでる間に観察した行列の進み具合と列の人口密度、そんでサークル売り場の手前に並んでいた時の観察から推測するに、あのサークルって売り場四列なのに平均すると5分で30人から40人しかさばけてないです
ラオウ:「5分で40人って事は……おい(笑)」
高 任:「まあ、発行誌が多いのは確かですが……手際が悪いのは確かですな。お品書き回してるんだから見本誌も回すとか、4列のうち1列をデフォルト購入の客にあてるだけでも随分さばけ方が違うと思うが」
ラオウ:「……何やら、ひどく静かに怒ってません?(笑)」
高 任:「まあ、これからどうします?」
ラオウ:「いや、外周回って(主にえっちな)同人誌を漁ろうかと思うんだけど、この天候のせいか、人の動きが妙だろ?だったら、終了1時間前の空白期間に外周をぐるりと回るのが正しい戦略かと
高 任:「そっすね……このまま帰るとか言われたら、いくら俺でもちょっとテーブルひっくり返したいですし(笑)」
ラオウ:「星一徹なみにですか?」
高 任:「いや、どちらかというと小道〇子さんのちゃぶ台返し風(笑)」
ラオウ:「よ、よくわからんが……とにかくどこか飯でも……」
 
 会場内の店がどこもかしこも行列だらけだったので、一旦会場の外に出てレストラン街に。
 で……見せしめのため、店名記載。
 ワンザ有明ベイモール(だったかな?)にある、『ラーメン酒房夢二亭』に入ったのが、2時5分頃。
 
 2時8分。
 注文を聞かれたので、それぞれタンメンとチャーシュー麺を注文。
 
 2時14分。
 やっと水が出てくる。
 
 2時30分。
 この間、高任達よりも後からは行った客のオーダーがどんどん消化され、どうも忘れられてるっぽい。
 なので、ウエイトレスさんに『この席ちょっとおかしいですよ』というサインを送るため、腕組みしつつ壁を見つめていると、ウエイトレスさんがこちらの席に視線を向け、ちょっとおろおろしだす……が、接客業務としてはノーリアクション。
 
 2時40分。
 満席だった店内は空席が目立ちはじめ、後から来た客のオーダーはすいすいと消化されていたりするのだが、未だに高任達の席にはノーリアクション。
 隣の席に座る客が、我々に向かって気の毒そうな視線を送ってきたりするので、ますます気分がやさぐれたり。
 
高 任:「……ラオウさん、なんか前科3犯ぐらいの表情になってきてて恐いですよ?」
ラオウ:「ん、高任さんの、強盗殺人のあげく、家に火をつけて証拠隠滅を計った凶悪犯罪者っぽい表情にはかなわないと思うが」
 
 ウエイトレス、他の客の注文を受けたり、運んだりするたびにチラチラとこちらに視線を向けるのだが、何か声をかけてくるでもなし。
 普通、接客の立場としては何らかのアクションを起こさねばならないはずだが?
 
 2時50分。
高 任:「……出ますか」
ラオウ:「そだね」
 と、立ち上がった高任とラオウさんに対し、店員さんの『ありがとうございました』の声がむかつくったらありゃしない。
 まあ、ただでゆっくりと休ませてもらって、水まで貰えたのだから文句を言う筋合いは……
 
店 員:「あの、お会計は…?」
 
 いや、高任は温厚な人間ですのでそのまま静かに店を出ていきましたとも……だから、ラオウさんがそのイカレタ店員に向かって何と言い返したかは知りません……。(笑)
 
ラオウ:「……ところで、高任さん」
高 任:「何?」
ラオウ:「何か同人誌を買わないと、何のためにここに来たのかわからなくなってアイデンティティが崩壊したりしないかね?(笑)
高 任:「うむ、まさにその通りだよ(笑)」
 
 で、(主に)えっち本を買いあさるラオウさんと同じようなコースを巡りつつ、ちょいと目をあらぬ方に転じてがんぱれの同人誌を購入して心の平穏を獲得したり。
 
ラオウ:「……(財布の中を覗きつつ)……ふむ、少し実弾が足りないような気が」
高 任:「先生、普通それだけあれば十分だと思います」
ラオウ:「いや、明日の買い物だけならともかく、帰りに秋葉原でちょっと買い物を……とか考えているモノで」
高 任:「ああ、そういう事ですか……えーと、確か新木場駅の中にキャッシュディスペンサーがあったような記憶が」
ラオウ:「ほう、今日の高任さんはなかなか役に立つな(笑)」
 
 で、家に帰って……
高 任:「さて、今日の夕飯は……」
ラオウ:「貴様がつくれ」
高 任:「は?」
ラオウ:「いや、この数日というか、ここに来てからの外食はなんというか……だから、貴様が作れ(笑)」
高 任:「……冷蔵庫の中にある食材でざっと思いつくのは、カレーとかひじきご飯とかそうめんとか……」
ラオウ:「そうめんでいいです」
高 任:「……いいんですか」
ラオウ:「いいです」
高 任:「まあ、そりゃ作るのは楽ですけど…」
 
 と、この日の2人は枕を涙で濡らしつつ、明日は今日よりもちょいと早めに家を出ようと確認してから早々に眠りにつきましたです。
 
 8月17日(日)
 15日、16日と降り続いた雨は一旦小康状態へ……でも、空模様はいつ雨が降ってもおかしくない感じ。
ラオウ:「……天気予報では日中晴れるとか言ってるけど、傘はいるよな」
高 任:「……」
ラオウ:「どうしました?」
高 任:「いや、気のせいだと思いたいんですが、昨日よりも喉がめちゃめちゃ痛くて、頭がめっちゃ重いんですが、やっぱり風邪なんでしょうか?
ラオウ:「風邪って事は、今日はコミケに行かなきゃね」
高 任:「他人事と思って…(笑)」
 
ラオウ:「違う違う。風邪を治すためには、まず暖かくして汗を一杯かくことだろ……ほらコミケに行く事、すなわち風邪の治療(爆笑)」
 
高 任:「先生。『安静にする』という第一条件がイスカンダルの彼方までぶっ飛んでいるような気がするのですが(笑)」
 
ラオウ:「じゃあ、休むの?」
高 任:「そりゃ行きますけど……喉が痛くて頭が重いだけだから問題ないし」
 
 と、早めに家を出たのはよいのですが……昨日の集中豪雨でダイヤが乱れた影響なのか、会場へと向かう電車のダイヤがメッタメタ。(笑)
 
ラオウ:「……昨日より早く出たのに、会場に着くのが昨日より遅いよ」
高 任:「へたすると、東京まわりの方が早かったですね…」
ラオウ:「……入場時間が10分遅れると、面白い同人ゲームは根こそぎなくなっちゃうんだが…」
高 任:「いや、まあ…そりゃそうですが、まだラオウさんはいいですよ……俺なんか、『チョコキス♪』の同人誌を探すなどという絶望的な課題を背負ってるんですから」
 
ラオウ:「それは、探すだけ無……」
 
高 任:「何か言ったか?」
ラオウ:「何か聞こえましたか?」
高 任:「もう秋が近いからね……虫の声だろ」
ラオウ:「……(ぶつぶっと)自分で『絶望的な課題』とか言ってなかったかなあ」
高 任:「うるさい、黙れ」
 
 ちなみに、この日の会場到着は8時40分頃で、会場内へと入れたのが10時28分。
 去年は夏冬ともサークル参加で、他の日は原稿描いてたり、バイトしてたりで実に1年ぶりの一般参加なのでなんとも言えませんが、列を座らせずに人口密度を高め、列移動のタイムロスを防ぐことで、短期間大量輸送を実現させたモノかと思われます。
 たとえば、晴海から今のビッグサイトに移ってきたときは、7時30分に会場に到着して、会場内に入れたのが11時なんて事が普通でしたから。
 まあ、駐車場がなくなったりして、限られたスペースに大量の人間を収納しなきゃいけないから列を座らせるわけにもいかないのか?
 
ラオウ:「じゃあ、3時に例の場所で……」
高 任:「うわあ、ラオウさんったらやる気パンパンだなあ…(笑)」
 
 人の波に呑み込まれていくラオウさんを後目に、高任はとりあえずときメモ、TLSスペースに……こう、いかにも寂れている雰囲気がなんとも。
 とりあえず、良さげなときメモGS(笑)の同人誌を購入。
 で、いわゆるギャルゲー(コンシューマー)ジャンルを一通り練り歩いてから、評論とか情報関係のジャンルのスペースを爆撃。
 こういう場所に時々、抱腹絶倒モノの評論同人誌が埋もれていたりするから侮れない……というわけで、ちょろちょろと楽しげなモノを物色。
 後は、フェチ系というか……そういう中の、眼鏡娘のあたりを多少念入りに(笑)物色しつつ、うだうだと。
高 任:「さて……とりあえず、東館は舐めるように…」
 
 万が一の見逃しを防ぐため、1列2往復の感覚で会場のあっちからこっちをいったりきたり……
 
高 任:「プリズムコート発見じゃよっ!」
 
 などと、目的からちょっとはずれた同人誌を見つつ……男性向け18禁や、創作(少女)なども見つつ……ついでに、体調を崩したのか担架で運ばれる女性を見たりしつつ、4時間後。
 雨のそぼ降る例の場所でちょっとたそがれている高任がいたり。
 
高 任:「おや、ラオウさん…どうしました?」
ラオウ:「……疲れた」
高 任:「は?」
ラオウ:「いや、最近あまり歩かない生活をしていたせいか……なんというか、体力的にぐったりしてていつもより回れてないような
高 任:「おやおや、FAを獲得済みの、コミケ古参兵のラオウさんともあろう方が(笑)」
ラオウ:「……で、そっちは全部回ったの?『チョコキス♪』の同人誌は?」
高 任:「え、えっと……全部は回ってない……と思う」
ラオウ:「じゃあ、まだ一時間と少しあるし今から……」
高 任:「ラオウさんラオウさん…」
ラオウ:「何だよ?」
 
高 任:「全部回ったらひょっとして『チョコキス♪』の同人誌があったかもしれないのにね……という可能性が、これからの俺の人生を支えてくれるんですよっ!(爆笑)」
 
ラオウ:「いや、そんな可能性で支えられる人生に何か未練があるのか?(笑)」
 
高 任:「……というわけで、俺は全部回ってないんです。ええ、回ってませんとも!仮に回ったとしても、絶対に見落としがあったんです!」
 
ラオウ:「他人だけじゃなく、自分をごまかす技術に最近磨きがかかってきたな(笑)」
 
高 任:「瞬発的に自分をごまかすのは簡単なんです!でも、自分をずっとごまかし続けるのは大変なんですよっ!」
 
ラオウ:「じゃあ、現実から目を背けなければいいだけの話では…」
高 任:「現実から目を背けずに自分をごまかすというのが、さらに高度なスキルなんです(笑)」
ラオウ:「まあ、君がそれでいいと言うならいいんだろう……というわけで、帰りますか?」
高 任:「んー、そっすね…」
 
 ちなみに、朝は降ってなかったのに10時過ぎから雨。
 第64回コミックマーケットは、3日間とも雨続きという、結構珍しいケースでした。
 
 で、高任宅で3日間(実質は2日ですが)お疲れさま……などと、スーパーで買った寿司をぱくつきつつ今年の夏も無事に終わりましたななどと。
高 任:「……にしても、このテーブルの上の寿司やら巻物やらを買うときにですね、『うわあ、こんなに買っても大手のえっちな同人誌だと3冊分かよ…』などと思っちゃった自分が激しくイヤですよ(爆笑)」
ラオウ:「コミケってのは、金銭感覚狂うからね……って、アンタほとんど買ってないだろが?」
高 任:「……2日で9冊と言うところですか。ときメモというかギャルゲー全盛期の頃の5分の1以下だな……がんぱれは初日だったし」
ラオウ:「(昨日買った同人誌の上に、本日購入の同人誌を積み重ねつつ)……んー、やっぱりちょっと少ないな。段ボール箱1つ(サイズは秘密)と言うところか
高 任:「仲間と組んで買いあさるならまだしも、一匹狼で2日間段ボール1箱ってのはなかなかの漢(をとこ)だと思うですよ(笑)」
ラオウ:「……どうでもいいが、今回もコミケ日記というかコミケレポートを書いたりするのかね?」
高 任:「うむ、ラオウさんの勇姿を書いて書いて書きまくったらぁ(笑)」
ラオウ:「……な、なんかやだな、それ」
高 任:「何か問題でも?」
ラオウ:「何の問題もないところが余計にいやと言うか何というか(笑)」
高 任:「大体これまでに散々『エンドレスファイター』とか『孤高の一匹狼』とか書きまくってるのに、今更何の体裁を整えたいのかね?(笑)」
ラオウ:「……というか、行列に並んで携帯だかトランシーバーだかで連絡取り合ってる人間を見るといつも思うんだが、エロだろうとギャグだろうとシリアスだろうと、そんな簡単に己の感性を他人に委ねていいのかなあ、とか。……この作家なら、このサークルなら間違いないと思えるのなんてごく少数だし」
高 任:「いや、素晴らしいですな」
ラオウ:「と言うわけでな、デフォルト購入以外で誰かに頼むなど、俺には考えられないのです
高 任:「まあ、人それぞれだろうけど……根本的に、俺もそうだけどラオウさんも1人でいろいろとねり歩くのが好きなわけだから。そういうのが嫌いな人間は、人混みの中を全サークル爆撃していくのって苦痛以外の何ものでもないのでは?」
ラオウ:「ま、それ言われると反論できないけど……」
 
 で、飯を食い終わって……
 
高 任:「ラオウさん、牛になるぞ……」
ラオウ:「いや、俺はとてもとても疲れているのだ……故に、眠いのです」
高 任:「じゃあ、俺もうしばらくしたら夜勤バイトだから」
ラオウ:「……タフですね、あなた(笑)」
高 任:「会社勤めの頃よりは楽です」
ラオウ:「キミの会社勤めの経験は極端すぎっ(笑)」
高 任:「と言うわけで、バイトの時間までコミケ日記を書くためにキーボードをパタパタ叩きたいのですが、大丈夫?」
ラオウ:「……んー、疲れてるから大丈夫…」
高 任:「ウイ」
 
 ……いや、別にオチはないです。(笑)
 
 と言うわけで、2003年夏コミケの瀕死連合……と言っても吉井さん不参加なんで、高任とラオウさんの2人がこういうコトしましたぜって感じの。(笑)
 個人的には、コミケ期間中にこれだけ睡眠がとれたのは初めての経験かなあと思ったり。
 雨に関しては……まあ、降るモンは仕方ないですよね。
 
 ただ、今回は久しぶりに行列に並んだりしたわけで、普段見えてなかったコミケの景色をいろいろ見ることができて結構楽しかったですね。(笑)
 雨の中外周サークルの列に並んでる人間で、『こんな所に行列つくってどうするんだよ!ちゃんと行列を誘導しろよっ!』などと、ただの文句言いを目撃したり……コミケスタッフを召使いか何かと勘違いしてるやからが結構いるなと。
 結構と言っても、ごく一部ですが。
 『ラーメン酒房夢二亭』における我々は、れっきとした客でしたが……コミケにはそういう意味でのお客という存在は無いのにね。
 第一、客だからと言って何でも要求できるのかという話もありますし。
 価値観の違う人間が一杯集まっているのだから多少の不愉快な出来事は起こるはずで……でも、各人の心がけでそれ以上に楽しかったと思えるイベントにはできると思うのですよ。
 
 まあ、何はともあれサークル参加だろうが一般参加だろうが、コミケに参加した方……および、ぐだぐだと長く続くコミケ日記を読み終えたみなさま、今こうして、夜勤明けで帰ってきてこれを仕上げている高任の隣ですやすやと眠り続けるラオウさん……みんなひっくるめて、お疲れさまでした。
 ええ、高任もこれからバイトの時間まで寝ますです……
 
 2003年8月18日(月)         高任斎

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