「うーん、僕ってそんなうるさいことは言わないから。まず、背が高くって・・・」
 ・・・おいおい、ちょっと待てよ。(笑)そりゃあんた、『大卒で、身長が170センチ以上で年収が500万以上で親との同居がない・・・』の女性曰く普通の結婚相手の条件ってやつみたいなものだよな。男性でその条件を満たす割合って5%未満なんだよ、それって偏差値で言うところの70オーバーだぞ、わかってるか?・・・と世の中の女性、じゃなかった(笑)、勇美の発言に対して誰かが突っ込むべきなのだが誰も突っ込まないのである。
 まあそんなわけで勇美にもそうそう甘い話は転がってこないのであるが、努力し続ける姿勢は立派である。毎日せっせと来須に近づく女性キャラの悪い噂を流し続けるというのも難儀な作業である。そのついでに、来須に近づく滝川もスカウトに異動させる事も忘れない。
 そんなことばかりしてるから、周囲には仕事もしないで遊んでいるように見えるのだろう。
 ・・・いや、事実遊んでいるのだが。(笑)一ヶ月程後をつけ回してみたが実際仕事してないし。
「新井木さん!真面目に仕事をしてください。」
 ついに堪忍袋の緒が切れたのか、精華の怒声がハンガー内に響き渡る。ぴりぴりと緊張した雰囲気の中で、当事者の勇美は精華の方を怪訝そうに振り向いて口を開いた。
「・・・・・・で?」
「『で?』ってなに言ってるんですか?私たちがちゃんと仕事しないと!」
 と、激高しかけた精華を勇美は手で軽く制した。勇美の表情にはいつもの笑顔はなく、どこか厳しいとも寂しいとも受け取れる不思議な表情をしている。
「・・・ちゃんと修理して、パイロットを死地に赴かせなさい。そう言いたいの?」
 聞いた者を凍り付かせるような口調に、精華もまた俯いて黙り込んだ。
「悪いけどさ、そういうのに耐えられる人でやってよ。僕は、そういうのやだから。」
 そう言い残して勇美はその場から立ち去った。
 
「いやー結構使えるねえ、この台詞。」
 校舎はずれを歩きながら勇美がしてやったりの表情で微笑んでいた。先ほどまでの真剣さはかけらもない。
「あ、お仲間だ。」
 勇美は校舎の影で仕事をさぼっている中村と、わざわざ仕事をさぼってまで新しいお笑いの形を追求している岩田を発見した。
「おーい、フェチとイワッチ。元気してる?」
「・・・その呼び名は勘弁してくれ言うたはずばい。」
 苦虫をまとめて噛みつぶしたような表情で中村が抗議するが、勇美は受け付けない。
「ん?間違ってないでしょ。」
「フフフ・・・、間違ってないから余計困るんです。」
 一応、靴下云々は地下に潜っている非合法の組織である。(笑)
 勇美自身は、直接人を傷つけたりしないだけ軍隊よりはましと思っているのだが。
「あ、そうそう。イワッチがこの前教えてくれた台詞、もうばっちり!」
「ふ、当然です。あれに対抗できるのは『だからどうした?』ぐらいですから。」
 岩田は一分の隙もないポージングを決め、口元から白い歯をのぞかせた。それを否応なしに目の前で見せつけられた中村は悪いものを食ったような顔つきでよそを向く。
「・・・その芸風、趣味が悪か。」
「今、お笑いに求められているのはオールマイティなのです。私の趣味にも合いませんが、これも世界を救うための修行ですねえ。」
「・・・ハイブリッド(雑種)にも程があると思うけど・・・?」
 勇美の突っ込みをさらりと聞き流して、岩田は熱弁を振るい出す。
「フフフ・・・、世界を救うのは力でも愛でもありません。そう、お笑いです!お笑いこそがこの閉塞した世界を救う唯一の手段なのです!」
 勇美はいち早くその場から逃げ出した。
「・・・さて、なーんか面白いこと無いかなあ。」
 周囲をきょろきょろと見回しながら勇美は走り続ける。と、勇美の前を暇そうに歩く姿は・・・
「わーい。」
 がしっ。
 勇美に抱きつかれて来須は多少バランスを崩すが、何事もなかったかのようにそのまま歩いていこうとする。
「ちょ、ちょっと?」
 ずるずると引きずられながら勇美が抗議めいた声を上げても一向に気にする素振りがない。
 まあ、来須ならずとも陳情によって自分の仕事を奪われたりしたら不機嫌にもなろうというものだろう。しかもその陰謀の主を目の前にしたとあっちゃあ・・・。
 そこに割り込むのは当然のごとく滝川。(笑)
「来須先輩!先輩が元の部署に戻れるように陳情しておきました。」
 ただし、それが来須のためかそれとも自分の身の安全のためかは滝川以外に知るすべもなかったのだが。
 
 ・・・校舎はずれに土煙が舞う。
 勇美と向かい合うのは滝川。
 犬猿の仲としておこるべくしておこった喧嘩といえよう。
「・・・綺麗な花には棘があるって知ってる?」
「綺麗な花?」
 滝川は額の上あたりに手をあてて遠くを眺める振りをする。自分を中心とした半径50メートル以内にそんなものは存在しないとでも言いたげな滝川の態度に、勇美は顔を赤くする。
 昼休みが終了するチャイムの音を合図としたかのように二人は同時に動き出す。
「このおじゃま虫!」
「てめえの血は何色だあっ!」
 青い光が交差した瞬間、昼間でありながら二つの流れ星が大空を横切っていく。
 春のうららかな陽光を浴びながら、ブータは二人の体を乗り越えて歩いていく。どうやら今日も平和な一日であることを噛みしめるかのように・・・
 
 
                    完
 
 ・・・何これ?って自分で言ってどうする。(笑)
 いや、確か二ヶ月近く前に書き始めて途中でほったらかしてあったもんだから、どういうオチにするつもりだったのか自分でも思い出せないと言うのがこの話のメインテーマであるところなんだなあ。
 いや、戦争終結までに9人と喧嘩したとか、隣にいる人間の悪口を言い出したとかリプレイとしてのネタはあるけどお笑いとしてのネタは浮かびませんでした。ファンの方ごめんなさい。

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