「ね、ねえ君。プレハブの人よね」
「そうだけど……何?」
 自分の目線よりも低い位置で、少年の瞳が恥ずかしげに揺れていた。頬のあたりが赤くなっているせいか、傷跡が目立つ。
「あ、やっぱりぃ…」
「……って、女子校に男子がまぎれこんでんだから当たり前じゃん」
「ん、んー、そりゃそーなんだけどね……」
 映はちょっと勝手が違うなと思いながら指先で頬のあたりをかいた。
「パイロット……なのかな?」
「……まあな」
 少年はふてくされたようにそっぽを向いた。
「……で、何だよ?瀬戸口師匠でも紹介して欲しいのか?」
 映も瀬戸口の名前は知っていた。
 この女子校において親衛隊が結成されているメンバーの1人なのだから。もちろん映はそんなことを望んではいないので、慌てて首を振った。
「あ、そういうんじゃないんだけどね……パイロットにとって、君にとって戦うってどういうことなのかな?」
 少年は複雑そうな表情を浮かべ、映の顔をじっと見つめた。
「整備兵だろ、お前……俺に聞くまでもねえじゃん」
「……うん、みんなそう言うんだけどね……なんか違うと思って。同じ学徒兵として、戦場から離れた場所で戦況を見つめていたりすると耐えられないときが…どうしたの?」
 少年はぎゅっと唇を噛みしめ、床の上に視線を落としたまま恐い表情をしている。
「……戦ってないって言うのかよ」
「え?」
「前線から離れた場所にいる人間は戦ってないって言うのかよ!」
「え、ちょ、ちょっと君…?」
 いらただしげに壁を蹴ると、少年はそのまま走り去っていった。
「……どういうこと?」
 呆然と立ちつくした映を、誰かが突き飛ばした。
「きゃっ」
 振り返ると、これまた小柄な少女が怒りも露わに映を睨んでいる。
「何も知らないくせに……」
「……」
 少女が自分に向ける怒りが理解できず、映はただ沈黙を守って次の言葉を待つしかできない。
「イーだ!」
 思いっきり舌を突き出してから少女は走り去った。その姿がさっき走り去った少年のそれとだぶる。
「……同じプレハブの人、なんだろうなあ」
 全員が整備兵として各部隊の後方支援に回っている映達とは違い、戦闘と補給が1つになっている正式な部隊が女子校を間借りしてから1ヶ月。
 身近な存在ながら、確かに映は何も知らなかった。
「どこかの誰かの未来のためにマーチを歌おう……か」
 映は廊下のガラス越しに空を見つめた。
 今こうしている間にも、どこかの知らない誰かが自分たちを守るために戦っているのか。
「……実感がわかないな」
 自分が整備する戦車に一体どんな人が乗り込むのかさえも映は知らない。ただ、与えられた戦車を精一杯整備して戦場に送り出すだけだった。
「あの人達……私達と違うんだよね」
 仲間を戦場に送り出すために、それとも仲間の無事を少しでも確かなものにするために整備兵は働き、戦闘兵は……だからこそ死ねない。
 多分、少女の言うように自分には知らない事情がたくさんあるのだろう。戦うのは機械ではなく人間なのだから。
 映は自分の左手をじっと見つめる。
 いわゆる九州の第6世代の99%までに埋め込まれている多目的結晶体が鈍い輝きを放っていた。
「強化型クローンの映ちゃん……君は誰かに守られるために産まれてきたのかな?」
 そう呟いてみたが、多目的結晶は何も答えない。
 
「……んだよ?」
「この前はごめんね……クッキーなんかお詫びの印に焼いてみたんだけど食べる?」
「え、くれんの!?サンキュー!」
 少年の不機嫌な表情が一転した。
「(や、安上がりな人…)」
 映は多少引きつった笑顔を浮かべ、とりあえずそれを少年に手渡した。少年はそれをいきなり開くと、無造作に1つつまんで口の中に。
「うわ…」
 本人の目の前でいきなり食べますか?と、映の表情に縦線が入る。しかし、少年はそんな映の様子に全く無頓着で、ただ白い歯を見せて笑った。
「うまいな、これ」
「そ、そう?良かった…できれば後で食べて欲しかったけど」
 そう呟いた映に少年は冷めた視線を向け、気を取り直したように大きく笑った。
「いつ死ぬかわからないパイロットに、『後で』は禁句だぜ」
「あ……ごめん」
「いいよ……死ななきゃいいだけの話だから」
 そして少年はクッキーの袋を再び閉じた。
「…食べないの?」
「『後で』食べるよ……死にたくない理由は多い方がいいから」
「何それ…?」
 映がそう呟いた瞬間、校舎内に非常招集のサイレンが鳴り響いた。思わずぎくりと身体を硬直させた映に対して「こういうこと」と言い残し、少年は軽く右手を挙げて走り去っていった。
『……201v1……今すぐ全兵員は作業を放棄して…』
 映の身体から力が抜けた。
 201は映達の担当する戦闘地域ではない。しかし、ここ一ヶ月頻繁に耳にする非常招集の放送だった。
 おそらくはあの少年達にとっての担当範囲。
「それにしても……あの人、幻獣が出てくるのがわかるのかな?」
 そして、映は何かに気が付いたように右手をぎゅっと握りしめた。
「いや、それがわからなきゃ死んじゃうんだ、きっと…」
 自分たちとは無関係の警報をこの一ヶ月で何回耳にしたことか。そして、少なくともあの少年は今まで生き残っている。今の九州地区での戦闘未帰還率を考えると、あの少年は間違いなく数少ない本当のパイロットの1人に違いない。
 
 日が沈んであたりが闇に支配される頃、小隊の輸送車が校舎はずれに帰ってきたのを見て映は駆けだした。
 とはいうものの、物陰から少年の無事な姿を確認しようとしただけだが。
「あの人ちっちゃいから、よくわからない……」
 などと失礼な独り言を呟く映の真後ろから声がかけられた。
「女子校の生徒がこんなところで何してるの?」
「え?」
 慌てて振り返り、そして視線の向きを下方修正。
 この前の小柄な少女がそこに立っていた。
「あ……今日の戦闘、みんな無事だった?」
 少女はじろじろと爪先から頭まで映を観察し、そして不機嫌そうにそっぽを向いた。
「みんなの表情見てわからないの?無事に決まってるでしょ!」
 ああ、この小隊はそういう集団なんだなと、映は少し羨ましく思った。
 どこかの誰かの未来のために……それ自体は素晴らしいことだと思う。しかし、もっと明確な目的意識を持つことができれば人はもっと強くなれるのではないか。
 そして映はふと気が付いた。
 それならこの少女はどうしてこんなにも機嫌が悪そうなのか。
「……君、どうして不機嫌なの?」
「知りたい?その理由ほんとーに知りたい?」
 今にも噛みつかれそうな雰囲気を感じて、映は一歩後退した。そして何かに躓いて倒れそうになったのを誰かに受け止められる。
「危ねえな……って、女子校の姉ちゃんか。こんなとこで何してんだ?」
「ん……お話の途中で警報鳴っちゃったからちょっと気になって……」
 強烈な殺気を感じて、映は慌てて少年から離れて立ち上がった。
「あ、汚れちゃってる。払ってあげるね…」
 そう呟いて映の服をはたき始める少女。
 なぜだか知らないが、力が必要以上に入ってて凄く痛い。
「ちょ、もういい。もういいから……」
「遠慮しなくてもいいのに」
 何故かは知らないが、この少女が自分に敵対心を持っていることに映は気付いた。もちろん理由はわからないのだが。
 映と少女の間に流れる妙な緊張感に気が付かないのか、少年はポケットから取りだしたクッキーの袋を開いてぼりぼり食べ始めた。
「ちょ、ちょっとチキン。そのクッキー…」
「え、この女子校の姉ちゃんが……って何すんだ、お前!」
「僕、クッキーって大好きなの。ごちそうさま…」
 少年からクッキーの袋を奪い取った少女は、そのままダッシュで逃げていく。それを追いかけていく少年の姿を見て、映はぽんと手を叩いた。
「……なるほど」
 
「あ、ちょっと君……」
 映の横をすり抜けるようにして走っていく少女。その後ろ姿から『気安く声かけないでよ』というオーラが漂っている。
「待ちなさいってば!」
 小柄な割にとてつもなく足の速い少女を映は追いかけ始めた。誤解されたままというのははっきり言って性に合わない。
 ロビーを抜け、校門を抜け……そして人目のない裏露地に曲がった瞬間、映は少女に足を引っかけられた。
「きゃああっ!」
 勢い余って吹っ飛びそうになる身体を、少女の腕ががちっとつかんで引き戻す。
「……虚弱だね」
 ぽつりと呟く少女は、映と違って息切れ1つしていない。
「わ、悪かったわね!」
 映は少女の手から逃れて立ち上がった。
 少女の態度に対して怒ると言うよりも呆れてしまう。
「で、何の話?」
「え?」
「話があるんでしょう?わざわざ人気のない場所まで連れてきてあげたんだから、さっさと話せば?」
「……え?」
「……ふう。虚弱なだけじゃなくて、頭の回転も悪いのか」
 目の前の少女の雰囲気がこれまでとは別人のように変わっていたので、映はかなり戸惑った。
「えーと……君、誰?」
「素顔で生きてこられるなんて幸せな人生送ってきたんだね。そういう人が、僕達にちょっかいかけないでくれない?」
「あ…えと、君誤解してる。私は別にあの人の事が好きとかそういうんじゃなくて……」
「ハァ……僕達って言うのは、文字通り小隊全員ってこと」
 ため息混じりに冷めきった視線を向けられ、映は口をつぐんだ。それどころか、少女から感じる圧力で足がすくんでしまっていた。
「僕達は普通じゃないの……あなたが火傷するのは勝手だけど、僕達を巻き込まないで」
 少女は吐き捨てる様に言い、そして映から視線を逸らした。
「特に……彼は駄目。死んじゃうから…」
「ど、どうして?」
「どうしてって……そりゃ」
 少女は目を伏せ、ばつが悪そうに呟いた。
「戦場で生き残れるのはね、本質的に臆病な人か選ばれた人だけだから……そして、臆病な人は勇気を振り絞った時に大抵死ぬの」
「……」
 少女はため息をつき、壁に背中を預けて空を見上げた。
「彼……幻獣の射線に身を晒して戦う他のパイロットの姿を見るたびに、臆病な自分を責めるから。彼の援護射撃がなければ、他のパイロットも前線で戦うことができないのに」
「あ……」
 映は少年と初めて会話した時の言葉を思い出して口元を覆った。
「……わかった?いくら悪気がなくても、自分で自分を責めてる人をね、他人が責めちゃいけないの!死んだら終わりなんだから!」
「…ごめんなさい」
 少女に謝るのは筋違いのような気もしたが、反射的に頭を下げていた。
 それにしても…と映は目の前の少女を見つめた。
「……君、思ってたのと随分印象違うね」
「普通じゃないからね、そう言わなかった?……それに、これが僕の素顔ってわけでもないし」
 少女の瞳がくりくりっと元気良く動き出した。
 先ほどまでの知性を感じさせた深みのある光は影も形も消えてしまって、随分と幼い印象を受ける。
「君達……みんな、そうなの?」
「さあ?……他人に素顔をさらすような甘チャンはほとんどいないから。いないってわけでもないけどね」
 そして少女は映の首元を指でツンとつついた。
「おせっかいだけど……君、死相が出てるよ。自分のためにも僕達にはもう近づかない方がいいね」
「え?」
 小悪魔っぽい笑みを浮かべた少女を凝視し、その活発そうな瞳の奥に隠しきれない知性が蠢いているのを感じて身震いする。
「希薄な生命力が強靱なそれに対した時、希に精神の力学作用が起こることがあるんだけど……もう手遅れか」
「な、何の話?」
 身体の震えと共に、奇妙な衝動が映の中で強くなっていく。
 押しつぶされたくない。守られたくない。
 自分はここにいる……
 そんな映から視線を逸らし、少女は無機質な表情を浮かべて呟いた。
「また僕達のせいで死ぬんだ……」
 
「じゃん!」
 映が胸につけた士魂徽章を誇らしげに示して見せると、少女はただ一言「……馬鹿」と呟き、心の底からあきれ果てたというように肩をすくめた。
 そんな少女に向かって映は白い歯を見せて笑いかけた
「あれからずっと考えてたんだけど……君ってさ、優しい人だよね」
「なっ、何馬鹿なこと言ってんのよ!」
 少女の顔が真っ赤になる。
 年相応…と言うよりは見かけ通りの幼い反応。それが見せかけだろうが本当だろうがどうでも良い。
 少女がここにいるのは確か。
 ただにこにこと笑う映を見て、少女はため息をついた。
「……死ぬよ」
「構わない。それは、生きていたという証拠だから……ただ死んでいないということは生きていると同義じゃないから」
「自己満足で死んでまわりに迷惑をかける……最低だね」
「死ぬって決まったわけじゃ……」
「嘘よっ!いつもいつも、みんなそう言って死んでいった!後に残される人の気持ちなんか考えずに!」
 映はふと優しい気持ちになり、小柄の少女の身体を抱きしめた。
「君ってやっぱり優しい人だ……」
 映の中で少女はしばらく暴れていたが、心からの抵抗ではないだろう。映の腕力で充分に抑えつけることができる抵抗が少女の本気であるはずがなかった。
「私…一度は生きて帰る。そうしたら、君も彼の強さを信じてあげなよ…」
 いきなり少女の抵抗が激しくなり、腕の中から逃げ出される。しかし、一瞬だけショートカットの隙間から覗く耳が真っ赤になっているのを確認した。
「くふふ……」
 逃げていく少女の後ろ姿に、なぜだか意地悪な笑みがこぼれる。
 
 120mm砲を備えた士魂号L型に、映をはじめとした新兵が乗り込んだ。映以外は卒業が一年早まった中学生の少女3人。
 映と同じく、何回かシミュレート訓練をしただけで士魂徽章をもらった子供達だが、操作担当の少女が戦車の始動に戸惑うのを見た瞬間、映は初めて不安を覚えた。
 実体化を始めた幻獣に向かって突進していく新型試作器の動きが合図となって戦闘は開始された。
 比較的落ち着いていられたのはそこまでで、戦車の移動と砲撃の連携がバラバラな戦車など幻獣の格好の獲物にすぎなかった。
 映は自分以上に使い物にならない少女の代わりに戦車を動かして逃げまどっていた。
 幻獣の生体レーザーが戦車をかすめるたびに、キャアキャアとうるさい少女達を怒鳴りつける。
「騒ぐだけなら寝てなさい!」
 生きて帰る。
 顔も知らない誰かの未来のために戦うことはできるほどの誇りもないし、優しくなれそうもない。
 もちろん恐い。
 今自分の戦車がいる場所が最前線でもないことが少しずつ理解できてきた。それでもあたりは死の気配に満ちている。
 死ぬことは恐い。
 そして、それは映にとって生きていると実感できる瞬間だった。
 逃げているうちに幻獣の射線が減ってきた。と同時に少しずつ心に余裕がうまれ始めたのか、まわりの状況が頭の中に飛び込んでくる。
 最前線に目を向ける。
 そこには、幻獣の攻撃が極端に集中する2つの機体があった。1つは全ての攻撃を受け止め、そしてそれに倍する被害を幻獣達に与える重々しい装甲を纏った士魂号。
 そしてもう一つは、幻獣達の攻撃を全て紙一重でかわしながらじっと何かの機会を窺っている複座型士魂号。
「……凄い」
 奮えた。
 心の底で鳴り響く警報を無視して、身体が、心が勝手に動き出す。
 その瞬間、映の乗る戦車は照準の狂った幻獣の攻撃の直撃を食らった。目の前が真っ赤に染まっていくのを感じながら、映は少女の言葉を思い出していた。
 
 ポツッ、ポツッ……
 馴染みのある匂いを放つ滴が落ちる音が聞こえた。
 しかし、それ以外の感覚は全くなく、ふわふわと頼りない浮遊感に身を任せる。
「……馬鹿」
 優しい声を聞いた気がして、映は懸命に瞼を開けようとした。が、思ったようにちゃんとは開かない。
 それでも、薄ぼんやりとした景色が見えてくる。
 自分の身体を抱えているのが女性用ウォードレスと言うことに気が付いたところで、映はそれ以上目を開けていることができなくなって再び目を閉じた。
「…お願……ワッチ……この子を助……」
「フフフ……高くつきますよ…………ですか?」
 気を失う瞬間、そんな会話を耳にしたような気がした。
 
「おはよー」
「あ、映……」
 女子校の友人は少し困ったような笑みを浮かべ、そして俯いた。
「……生きてて良かったよね。馬鹿だよ、戦車兵に志願したりするから……」
「あはは。整備兵に後戻りだけどね…」
 映は明るく笑い、垂れた制服の左袖を右手でつかんでひらひらと振って見せた。自分では覚えてなかったが、混乱の中で幻獣を一機撃墜していたらしい。
 映にとって最初で最後の戦闘は……多分に幸運に恵まれていたと言ってもいいだろう。
 少なくとも、生きて戻れた……
 友人は静かに立ち上がると映の頭を撫でた。
「購買行こっか……あたしのおごり」
「きゃほー、ラッキー!」
 手を叩こうとして、それができないことに気付く。
「映……」
「ん、気にしないで。それより、購買に行くんでしょ?」
「あ、う、うん…」
 友人の背中を押すように教室を飛び出して、ロビーへと向かった。
「ショートケーキはあるかな…」
「相変わらずだね、映」
「まーねー……?」
 自分の側を走っていく少女を映は慌てて捕まえた。
 小柄な、活発そうな瞳をした少女が怪訝そうに映を振り返る。
「何?」
「ごめん、何か知ってる人だったような気がして…」
 少女の視線が映の左袖に注がれた。
「あ、これ?この前の戦闘でしくじっちゃって……ま、向いてなかったみたい」
「ふーん……ま、生きてて良かったじゃない。もう戦闘はこりごりでしょ…」
 少女はやけに大人びた優しい笑みを浮かべた。
「まーね…この腕じゃ、整備兵以外できそうもないし…」
 映がにこっと笑うと、少女は何故かつらそうに顔を背けた。
「あたし、悠木映……友達になろ」
 少女はぎくりとしたように身体を一瞬硬直させ、そしてじっと映の左肩のあたりを見つめて首を振った。
「僕……君と友達にはなれない」
「どうして?」
「酷いコトしたから……」
 そして少女はその場から逃げ出すように走り去った。
「何あの子?失礼なやつぅ…」
 映は肩を怒らせた友人に向かって静かに首を振った。そして、少女が走り去った方角を眺めたままぽつりと呟く。
「違うよ……あの子、本当は凄く優しい娘なの……」
「知り合い?」
「……多分ね」
「……?」
 納得のいかない表情を見せている友人に構わず、映は右手でそっと目元を拭った。
 
 
                      完
 
 
高 任:「……吉井さん、映の話書いてもいい?」
吉 井:「いいけど……何故断る必要が?」
高 任:「書きたい話があるから書いちゃ駄目と言ったじゃないですか!」
吉 井:「そーだっけ?」
 等と、どうやら吉井さんに老化現象の始まったらしいと思いながらへのへのーと書いてたら『蒼天の星』と似たような話になりそうだったので慌てて方向転換。(笑)
 もう、自分が昔どんな話を書いたか覚えていないあたり、高任にも老化現象が現れているようですな。
 
 ちなみに、高任の頭の中では『滝川×新井木』のカップルは岩田と萌のカップルと同じくらいほとんど固定設定なのでよろしく。(苦笑)

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