雨の降るプレハブ校舎の屋上で、少年はどこまでも孤独であった。
 何度目になるかわからないため息を吐くと、少年はそっと目を閉じてどうしてこうなってしまったのかを考える。
 それは夕方のこと・・・・
 
 ・・・なんだろう?あの、怪しげな物体は?
 僕は、腰をぐいんぐいんくねらせながら推進力を得ている目の前の物体に目を奪われていた。
「あ、あの・・・?」
 ためらいがちの声をかけると、その物体はこちらを振り返って口を開いた。どうやら人間のようである。
「フフフ・・・そうです、私がこのゲームのラスボスです!さあ、カモンカモン!」
 その迫力に負けてしまったのか、つい反射的に手を出してしまった。今思うと、あれがいけなかったのかもしれない。
 横面を殴られてそいつは最初にやりと笑った。しかし、口元から赤い液体が一筋流れ出す。そしてゆっくりと顔色が変化していくとともに、苦悶の表情を浮かべ始めた。
 いきなり、視界が真っ赤に染まるとともに、そいつはゆっくりと倒れていく。
 ぴくりとも動かない・・・・ということは!
 
 それからはよく覚えていない。
 ただ気がつくと、僕は屋上にいた。
 雨の日に屋上に上がってくる物好きはいない。なんどか呼びかけてみたが、激しい雨の音にかき消されるのか誰も来てくれない。
「くしゅん!・・・だめだ、このままでは風邪を引いてしまう。」
 こつこつこつ・・・
「誰かいるのですか?」
「ああ、ちょうど良かった、お話が・・・」
 彼は僕の姿を見ると、軽く首を振って僕の手に紙切れを押しつけた。
「・・・これを持って生徒会本部に行きなさい。君の願いが聞き届けられるだろう。」
「いや、そうじゃなくて・・・」
 そして、彼はそのまま去っていた・・・。
「・・・とりあえず、ここから降ろしてくれ!」
 その願いはまだ聞き届けられそうにない。
 
 
                     完
 
 このキャラってスポーツ用車椅子を使うと、どこでも移動できるようになるらしい。世の中にはこのキャラでSランククリアした強者もいるらしいです。私はあの5人以外でゲームを始めたことはありませんが、移動制限があるというのは厳しいだろうなあというのは想像に難くない。
 ただ、あれだけクローン・遺伝子技術なんかが発達してるなら、下半身不随なんぞ一発で治療できるんとちゃうの?なんて言う突っ込みはかわいそうだからやめといてあげましょう。(笑)

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