「いいか、おめーら。おめーらが結婚していいのは俺が結婚してからだ。」
 ぴょこ。
 新井木が小さな体を一杯に伸ばすようにして手を挙げている。
「何だ新井木?」
「・・・先生は僕たちに結婚しちゃいけないって言ってるんですか?」
 ズダダダダダダダダダダッ!
 フルオート、毎分200発のサブマシンガンの掃射が終わってからぐるりと教室を見渡した。
 ・・・ちっ、当てようと思ったときに限ってはずれやがる。
 銃声を聞きつけたのか、坂上先生が教室の入り口から中をのぞき込んでため息をつく。
「・・・本田先生、生徒の替わりはききますが、備品の替わりはないんですよ。」
 あまりにも人権を無視した言いように、机の下に隠れた生徒達からためらいがちなブーイングの声があがる。が、坂上先生が新しい薬莢を俺に渡すとぴたりと収まった。
 静かになった教室内をぐるりと見回してから、何事もなかったように呼びかけた。
「おーっし、授業始めるぞ。いつまでも机の下で震えてんじゃねえ!」
 
「おーい、石津。ちょっとおじゃまするぞ。」
「・・・邪魔するなら出てって・・・。」
 石津の反論を聞こえない振りして、整備員詰め所の中央におかれたギターを右手でぶらさげながらうそぶく。
「やっぱりメタルは本物聞かなきゃくそだよ、くそ。」
 アンプの性能ぎりぎりまで出力を上げてから、俺独自のピック二枚使いのサウンドがあふれ出したときには石津の姿は消えていた。
「・・・やつの心にはこのソウルが響かないのかな?」
 (注・かなり違う。というか本田の服装はパンクだと思う。)
「・・・俺なりにあいつらとコミュニケーションをはかってるつもりなんだけど、どうも俺ってあいつらに嫌われているような気がするんだよな・・・。」
 職員室で芳野と坂上先生にうち明けてみると、芳野はともかくとして普段滅多なことでは感情をあらわにしない坂上先生までもが目の上に縦線入れてあきれかえっていた。
「わざと嫌われているんじゃなかったんですか?」
 と、この失礼な発言は芳野。
「親しくすればするほどつらいですからね。・・・この職業は。」
 そう呟いたのは坂上先生・・・・ひょっとして俺って馬鹿にされてる?
 そう悟った瞬間、俺の右腕は行動を開始していた。
 ガシャアッ!ジャギイィッ!
「・・・坂上先生。いつもショットガンなんて持ち歩いてるんですか?」
「・・・気のせいだといいんですが、あなたの銃は普段セーフティ(安全装置)をかけてないんですか?」
 お互いに動かせるのは口だけという状況、坂上先生はこめかみに、俺は胸元に銃口を突きつけられて口元を軽くつり上げた。
 お互いタイミングを計るようにして同時に銃口を下げる。
 それと同時に、気を失った芳野がゆっくりと椅子ごと後ろに倒れていった。
 
「・・・本田先生は生徒達の邪魔をしすぎてるんです。」
 後頭部を濡れタオルで冷やしながら芳野が口をとがらせた。
「なんで?何を話してるのかな、と思って割り込んだりするのってだめなのか?」
「だめです!」
 ・・・そうだったの?
「だいたい先生は所かまわずこの前だって・・・」
 芳野の声が聞き取れないぐらいか細くなったので、俺は問いただしてみた。
「この前って?」
「・・その、私と(ぴー)君がいい雰囲気の時にイノシシみたいにやってきて・・・」
 俺はそのときのことを思い出して『おおっ。』と手をうった。
「いや、あれはただ単に俺の周りで幸せそうなやつが許せなかっただけで・・・」
「なお悪いです!」
 ばん、とテーブルに両手をつきながら立ち上がった芳野の後頭部から濡れタオルがずり落ち、床の上にぼたっと落ちた。
 が、俺も負けてはいない。
「だいたい、なんで『真剣な雰囲気』が『エッチな雰囲気』に様変わりしてたんだよ?」
 俺の行くところすべては真剣な雰囲気である。・・・石津の暗い雰囲気にはちと負けるけど。・・・気まずい雰囲気にもな。
 微かに頬のあたりを染めると、芳野は俺から視線を逸らすようにうつむいた。
「・・・本田先生は体力があるからわからないと思いますわ・・・うふっ。」
 ぷち。
 瞬時に体の中からわき出た感情にすべてをゆだねきった俺が、真っ赤になった銃口のマシンガンを抱えて我に返ったのはちょうど2分後のことである。
 
 この小隊が編成されてから一ヶ月が過ぎた。
 俺は校舎はずれでいつものように何気なく生徒の一人を眺めていた。
 そいつは俺の視線に気がつくと、顔を赤くして俺の視界から走り去った。
「・・・何だ?」
 顔が赤い・・・こんな光景をどこかで見たことがある。確か『エッチな雰囲気』の時にみんなあんな感じで・・・
「これかあっ!」
 (注・全く違う)
「うははは、あの馬鹿手当たり次第に女に手出して(そのたびに俺が雰囲気ぶちこわしたけど)ついに俺に目を付けたって訳かあっ!」
 俺も先生という立場があるだけに、気軽に応えてやるわけにはいかないが話ぐらいは聞いてやろう。
 そう思って俺はやつの後を追った。
「ん?・・・てめえ、なんか俺に言いたいことがあるんだろう?」
「・・・つも、いつも。」
「あん?」
「いつもいつも邪魔しやがって、あんたは俺の敵だ!」
 うなりを上げて襲いかかってきた右拳がぴたりと止まった。
「あ、う・・」
 俺はそいつの鼻先を銃口でもてあそびながら尋ねる。
「そうか、俺はおまえの敵か?じゃ、おまえは俺の何だ?ああんっ?」
 黙ったまま何も言わないそいつに続きを促すように宣言した。
「・・・3秒やる。1・2・」
「す、すいませ・・」
「遅い!」
 ドン!
 くるりと白目を見せて失神したそいつを足でこづきながら俺は自分の額に向けて引き金を引く。
「・・・ばーか。おまえは俺のかわいい生徒に決まってるだろ。単なる空砲にびびりやがって・・・明日から特別補習してやる。」
 
 
                    完
 
 ああっ、これじゃあただのめだま親父の警官だ。(笑)もしくは連載当初の両さんだよ。
 なんでこんなファンキーな話になってしまったんだろう?
 しかし、友情度に開きのあるキャラに会話割り込みを受けると友情度や愛情度に変化があるような気がするのですが、気のせいでしょうか?
『お、おのれー!』(笑)
 個人的にはブータのグラフィックが好きです。少なくともこのシーンは。
 しかし、本田先生との『エッチな会話』って・・・あんまりしゃれになってないです。 どうしても見られないという人は、何回か呪いをかけるなどして本田先生を疲労させてみましょう。(基本的にどのキャラもそうです。両方がそれなりに疲労した状態で発生するような気がします。)
 ちなみに私がプレイしたとき、本田先生ってば体力が2000以上あってなかなか大変でしたけど。(笑) 

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