「そういえば、マッキーは知ってる?なんとあの原さんと中村がつき合いだしたんだって!」
「そ、そうらしいですね。」
整備の合間のたわいないおしゃべりの一こまである。
「でもさ、でもさ・・・こう言ったらなんだけど、原さんて趣味悪いよね。」
「そうでしょうか?」
田辺は首を傾げてそう答えた。
田辺の知る原さんは、自分とは比べものにならないぐらいに優秀な人である(と、田辺は思っている)。その彼女が選んだ人ならばきっと・・・
それと、今の田辺には正直その手の会話がつらい。
暗い表情をした田辺を見て新井木はやっと自分の迂闊な発言に気がついた。そしてその場を取り繕うように言葉を口に出す。
「あ・・・その、遠坂のことは残念だったね。好きだったんでしょ・・・」
さらに墓穴である。
「あ、とにかく今は中村。あいつってば実は・・・」
「あ、あの・・・」
新井木の表情から中村に対しての悪口が語られるのを察して、田辺はそれを制した。
「他人を・・・悪く言うのはいけないと思います。」
そして田辺はその場を離れた。
というのは、自分の首が折れてしまいそうなほどおさげががんがん引っ張られていたからだ。
本当の危険を察知する能力だけは田辺の右に出る者はいない。
1人になってしまった新井木は、なおもぶつぶつと呟き続ける。
「第一、中村って最低だよね。靴下、靴下って・・・あんな奴は風紀委にばらして死刑にでもしなきゃいけないよ・・・」
小柄な新井木の身体が一瞬持ち上がるかのように激しく突き上げられた。
「死刑、ね。・・・誰かを殺すのなら殺される覚悟も出来ているはずよね・・・。」
素子のその声は既に新井木の耳には届いていない。
「悪口だけなら許してあげたのに・・・」
原さんセカンドマーチ第3話・完
寄り道・・・というかフェイント。
といいつつ、実は前回がブラフなのか?
真相は未だ闇の中。(笑)
ちなみにゲームの中でも新井木は『中村は死刑!』とかのたまってます。
さあ、今回の話で勘のいい人はオチが見えましたね!(笑)
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