トイレはどこだ!下痢が止まらぬ!・疲労こんぱい北京へ明日は帰国だ。

シルクロード旅行記・旅の11日〜12日目

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 旅10日目 とうとう救急病院への続き


トルファン人民医院急診病練

 下痢で苦しむT氏の点滴治療が始まった。 点滴針がずれて血管に入っているため、腕をピクリと動かした程度でも痛みが走るようで、T氏は身動きならず死んだようにベットに横たわっている。
トルファンの急診病棟
 しかし、それにしても恐ろしい場面を見てしまった! 私は自慢じゃないがこの世に苦手なものが2つある。「注射」と「歯の治療」だ! この二つだけは幾つになっても苦手で想像しただけで体が硬直してくるのだ。 先ほどT氏の腕に何度も注射針がブスブスやられ、T氏が「痛い!痛い!」と唸っているとき、傍で見ていて卒倒しそうになった! 自分じゃなくてよかったと心の底から思った!私は人一倍気が弱いのだ。

 若い看護実習生がときおり室内に入ってきて点滴液の残量をチェックしていく。しばらくベット脇に佇みT氏の様子を看ていたが退屈になってきた。
 T氏には申し訳ないが病院内を探検してみようと思い、急診病棟から外に出てみるとトルファン特有の熱い陽射しと熱風が身を包んだ! 
中庭に絨毯を敷き談笑している入院患者
 本病練と急診病練の間に横たわる中庭の芝生では、いたるところで絨毯を敷き、寝ている者や談笑している者がいる。 入院患者が冷房設備のない病室を抜け出して、芝生の木陰で涼んでいるのだ。 
 急診病棟の裏手に廻ってみると看護婦養成学校と寮が建ち並んでおり、童顔の若草色の看護制服を着た実習生が寮を出たり入ったりしている。やっぱり急診病棟の応援に看護実習生がひっぱり出されているようだ。 
  急診病練内に戻り、廊下のベンチで今日一日の出来事を手帳にメモしていると、T氏の病室をときおり覘きにきていた好奇心旺盛な3人の看護実習生が近づいて来た! 私が先ほど病室で片言中国語を使っていたの知り、興味を持ったようで話しかけてきた! 曰く「仕事、それとも観光?」「トルファンにはいつ来た?」「いつまで滞在する?」「何人で来た?」「その中国語どこで覚えた?」など矢継ぎ早に質問してくる。 適当にあしらいながら会話していると、廊下を通りかかった中年の正看護婦が、この実習生をつかまえ「貴方達何してるの!早く仕事をしなさい!」と怒りだした。 実習生があわてて廊下の奥へ賭けて行く!
 
 私もT氏の部屋に戻ろうとT氏がいる隣の病室前までくると、ドアが開いており病室の中が見えた! 何と!室内に3台ある患者用ベットの脇に敷いた絨毯の上に膝を折り、入院患者3人がぶつぶつ唱えながら礼拝をしているではないか! 凄い、入院患者であっても決められた礼拝の時間が来ると、ベットから出て床に膝をつくのだ。イスラム教徒の信仰の深さは私達の想像の域を超えている! 

何と、金縛りにあった!

 T氏が寝ている部屋に戻ると、いつの間にか同室の入院患者は退院しており、T氏一人が寝ている。 点滴液も間もなく2本目が終わろうとしており、看護婦が3本目の交換を終え室を出て行くと、静寂な時間がおとずれた! T氏は落ち着いたのか、軽い寝息を立てだした。
 私もT氏の隣の空きベットに横になり、先ほど廊下でメモしていて中断した「今日の出来事」の続きをメモしていると、いつの間にか眠りに入ってしまった。
 するととんでもない苦しい思いをしてしまった! 何と、金縛りにあってしまったのである。 胸が締め付けられ苦しい!何とか眠りから目覚め金縛りを解こうとするのだが、身体が硬直し身動きができない!夢のなかでもがき、ウンウン唸っていると、隣のベットで寝ているT氏が「佐藤さん!佐藤さん」と呼びかける声が聞こえる! この呼び掛け声で、何とか金縛りから醒めることができた。思わず安堵のため息がでる!T氏がずいぶん唸っていたよ!とビックリしているではないか。
 現役時代にはストレスからなのか、よく金縛りにあったのだが、定年後のフリーター生活に入ってからは、一度もあうことがなくなったのに、何としたことだ! 緊張と疲れからなのか? それにしても、なんで中国の病院で金縛りにあわねばならぬのだ!
 
  目覚めたところでT氏の点滴液を見るとちょうど終わろうとしている。看護婦を呼びに行き腕から注射針を外してもらうと、二人揃って急診病棟を出た。
ホテル前の葡萄棚がつづく青年路
 タクシーを拾うと、あっと言う間に葡萄棚の下を走りホテルに着いた。時刻は18時を少々過ぎている、病院にいた時間は4時間をオーバーしていたことになる。
 T氏に立て替えていた病院代の領収書を渡した!金額は合計で79元(1185円)になっている。 もちろん健康保険なんて効かない料金だ。
  診察料、検査料、薬品料、全て合わせた医療費総額が日本円換算で1185円なのである、あらためて日本との物価差におどろくばかりだ。
 
 部屋に落ち着いたところで、午後からの観光に出かけた仲間が戻ってきた。ほとんどの仲間が重そうに干しブドウをぶら下げている。午後からの観光は葡萄栽培農家にも訪れることになっており、皆そこで買ってきたようだ。
トルファン名物干しブドウ
なぜか一人干しブドウを買わず、手ぶらで帰ってきたJ氏が部屋に入ってくるや、憮然とした表情で私に言った!「ブドウ栽培農家で売っていた干しブドウはメチャ高くてアホらしいので買ってこなかった!」「バザールで30〜50元程度で売っていたものが、100元〜200元もの高さで売っていた!きっと中国人ガイドとブドウ農家が結託してバックリベート分を上乗せした価格だ!」と言うではないか! さらに「佐藤さん!ありゃひどいよ!やり方が汚い!」と怒っている。
 J氏の話を聞いていて、私はさもありなん!と理解できた。間違いなく市価の3倍ぐらいに吹っかけられた値段だ。旅も間もなく終わろうとしているところで、中国人ガイドに小遣稼ぎをやられてしまったのだ! 私が同行していれば注意して旅仲間には買わせなかったのに、いかんともしがたい。

トルファン最後の夜

 明日はトルファンを離れ北京への移動で、実質的な観光は今日が最後である。そんなことで夕食後は、昨日に引き続き夜の繁華街へ出て、土産が必要な仲間のためにショピングセンターに立ち寄り、その後、屋台気分を味わってもらうことにした。
夜の街へ出るためホテルロビーに集合
 街へ出たい希望者は21時にホテルロビーに集合してもらうことにして、ロビーのソファーに座り皆が揃うのを待っていた。
 
 するとT氏がロービーに降りてきたではないか!びっくりしていると何と!「私も皆さんと一緒に行く!」と唖然とすることを言った! つい先ほどまで救急病院にいた人である。 大丈夫ですか?と聞くと「調子がよくなった!」と言うではないか。そんなに急激に回復するわけがないと思ったが、私にはT氏の気持ちが理解できた。T氏は今日まで何も土産品を買っていないのである、旅の終盤、帰国を前にしてどうしても今夜のうちに、ある程度シルクロード土産を買っておきたいのだ。
 結局、5名の仲間が体調を気遣い参加を辞退し、都合8名の仲間で夜のトルファンの街へくり出すこととなった。
 
 ホテルを出て大街をしばらく歩くと繁華街の十字路に出た。 そこには大きなショッピングセンターの看板が輝き、その前の大きな広場には裸電球を吊るした屋台とテーブルがずらりと並び、大勢の市民が夕食をしてるのが目に入ってきた。
トルファン、夜店の屋台で
 ショッピングセンターが22時閉店ということで、あわてて地下のスーパーマーケットに直行すると、あわただしく買い物を始めた。 私は干しブドウとSSNの飲み仲間のために中国酒の白酒(日本の焼酎)を買うことにした。
 仲間の買い物籠の中には干しブドウをはじめドライフルーツがびっしり入っており、葡萄農家で干しブドウを買わなかったJ氏やT氏も、ここではかなりの数を買い込んでいる。
 
 あわただしく日本への土産物の買い物を済ませると、屋台には寄らず真っ直ぐホテルに帰る3人とスーパーの玄関口で分かれ、私を含めた残りの5人は屋台が立ち並ぶ広場に入っていった。
 ビール、シシカブ、揚げパンを屋台で買ってくると空きテーブルに座った。 いろいろハプニングもあったが、何はともあれ旅も間もなく終わろうとしている。少々寂しい人数だが声高く乾杯すると最後の酒盛りとなった!
 それにしても夜の屋台は賑やかなものだ!時刻は22時を過ぎゾクゾクと市民がテーブル席を埋めていく。あっと言う間に私達の周りの空きテーブルは満席となってしまった。シルクロードの要衝トルファンの夜は更けていく! ちなみに、屋台での飲食代は全部で90元で、5人で割り勘にしたら18元(270円)だった。


旅11日目 明日は帰国だ!トルファンから北京へ

トルファン〜ウルムチへ

 旅11日目の朝も、昨日に引き続きトルファン賓館で目覚めた。 ベットから出たが体調が極めて悪い!けだるく、吐き気までする。おまけに腹具合までおかしくなりだしている! 西域シルクロードの旅も今日で実質的に終わりである。この10日間緊張で張り詰めていた糸が切れたのだろうか?ガタガタときてしまった! 食欲が湧かず朝食を抜くことにしたが、結局ホテル出発まで3回もトイレに通ってしまうことになった。
トルファン〜ウルムチ間の高速道から天山山脈

今日のスケジュールは、これからウルムチへバスで移動しウルムチ空港13時30分発の航空機で北京に飛ぶのである。そして明日、北京空港発一番で札幌へ飛ぶのだ! 7時半バスはホテルを出ると、今回のシルクロードの旅がスタートした新彊ウイグル自治区の省都ウルムチへ向け走り出した。
 
 赤茶けた岩肌がむき出しの天山山脈の渓谷をぬって走る高速道をバスは快適に走る!車窓から見える天山山脈とも今日でお別れだ! 3時間ほどでウルムチ市内の昼食レストランに着いた。少々早いがここで昼食を済ませてウルムチ空港に向かうのだ。席に着くと、毎度お馴染み食べ飽きた定番のコース料理とは別に、土鍋に入ったお粥が出てきた。
 世界紀行社添乗員のN女史が体調を崩しだした私達のために、レストランに特別に頼み用意させてくれたのだ。N女史の心遣いがなんとも嬉しいではないか!感謝だ! ショルダーバックの中から、「味塩」と「ふりかけ」を取り出すと食べることにした。 旨い!朝食抜きの胃袋にやさしくしみわたる。

ウルムチ空港

ウルムチ空港

 昼食を済ませると、12時にはウルムチ空港に着いてしまった。北京空港へは13時半の便に搭乗することになっている。スムーズに搭乗手続きを終えると、私達は真新しくピカピカで、やたら売店が多い搭乗待合室に入った。 すると旅仲間全員が、先を争うようにずらりと並んだ売店で物色を始めだした。皆明日の帰国を前に両替した中国通貨を使い切ってしまうつもりなのだ。 使い残した中国通貨は空港で再び日本円に再両替できなくはないが面倒くさいのである。
土産によく買われる楼蘭ワイン

 仲間の買い物を見ていると、ブドウの産地を旅した記念に、あまり旨いワインではないが皆けっこう化粧箱入りのワインを買っている。
 買い物をする者、私も含めてトイレ行きを繰り返す者、そうしたなか13時半のフライト時間が来たが搭乗アナウンスが入らない。
  すると、定刻を30分ほど過ぎた頃、北京行きは出発が遅れるとアナウンスが待合室に流れた。ところが、ただ遅れるというだけで、なぜ、どの程度遅れるのかの案内がないのである。じりじりして待つが、それっきりウンともスンともアナウンスが流れなくなった。

ウルムチ空港ロビーで

 昨日救急病院から生還したT氏といえば、朝昼食をひかえめにしていたせいか、腹具合が順調に回復しだしてきたようで、腹が減ったと言い出した! それを聞くや私はバックからインスタントカップ麺の「マルチャンの焼きソバ弁当」取り出し、待合室の給湯器で湯を注いで作ると、T氏にプレゼントしてあげることにした。
 出来上がったカップ麺を持ってT氏に近づき「札幌に帰ったら、大吟醸酒をご馳走して!」と言って渡してあげると、普段はインスタントカップ麺など食べぬ人が、満面の笑顔で嬉しそうに食べ出したではないか!旨い、旨いと言っている! これで札幌に帰ったら久しぶりに大吟醸にあるつける!恩は売るものだ!
 
 私といえば、逆に益々体調が悪くなる一方で、硬い椅子に座っているのがだんだん辛くなってきた。身体を横にする場所がないか探すと、待合室隅の壁際のベンチが空いている。搭乗開始アナウンスの案内が流れるまでそこで横になっていることとした。 こんな私をしっかりカメラが写しているではないか。
ひたすらベンチで横になり出発を待つ私

 出発定刻時間が1時間、2時間と、どんどん過ぎていく! ひたすらベンチで寝ていると、やっと搭乗開始案内が流れ出した。時計をみると何とすでに3時間遅れの4時半になっているではないか!
 げんなりした気分でベンチから起き上がり機内に入ると、相変わらず、中国人乗客がこれでもかというぐらい持ち込む手荷物で機内は貨物室状態だ。
 超満員の乗客を乗せ3時間遅れの16時半、やっと北京空港にむけ滑走路を滑りだした。 中国は広い順調に飛行を続けること3時間半、北京空港の滑走路の明かりが見え始めた。

大変だ!酒の瓶が割れた

北京空港の荷物受け取りターンテーブル
 巨大な北京空港の長い通路を歩き、機内預けした旅行ケースを取るべくターンテーブルの場所まで来た。 ターンテーブルから各自それぞれ旅行ケースを取り上げると、ケース確認のためロビーの隅に全員が集合した。
 すると!誰かが「変な臭いがする」と言うや、あたり一面に強い香りが漂いだした! 皆が鼻をひくひくさせ「この臭いは何だ!」と言う。 何と!一塊に集められた私達の旅行ケースの場所から、床に液体が流れ出しているではないか! その液体が独特なアルコール性刺激臭をあたりに漂わせているのである。 
中国酒のさまざまな白酒

 すると!何と!「佐藤さんのトランクから液体が流れだしている!」と言うではないか! 私が慌てて旅行ケースを動かすと、間違いなくケースの底部分から液体が流れだしている。
 それを見て思い出した!昨夜、トルファンのスーパーで、日本に帰国後、飲み仲間と一緒に飲もうと買った「中国酒、白酒(焼酎)瓶」が旅行ケースに入っているのだ。 セーターに包んで大事にしまいこんだのに、空港職員の乱暴な扱いで割れてしまったのだ。 
 
 ここで旅行ケースを開き中身を整理し直していたら、ただでさえ3時間遅れのフライトで、苛立っている仲間に迷惑がかかる。原因が分かっているので私はホテルにチェックインしてから、ケースの中身を整理することにした。
 各自旅行ケースを押しながらバスが待機している駐車場へむけ歩き出した。 ガラガラ押していく私の旅行ケースからは酒がポタリ、ポタリと滲み出し空港の床を濡らしていく。 この中国酒アルコール度数が54度もあるシロモノで、独特な甘みと松脂の臭いがする強烈な酒なのだ。 帰国後、この割れた中国酒の強烈な臭いがトランク内衣類のほとんどに付着してしまい、クリーニングに出しても臭いを取ることができず、結局何枚かは捨てることになってしまった。
 
 北京市内レストランで21時から始まる遅い夕食となった! 今回の旅、皆で囲む最後の夕食である。本来なら宴会気分で臨むところなのだが、誰もが疲れた顔で無口になっており、テーブルの上に置かれたサービスビールにもほとんど手を付けようとしない。
 誰もが出された夕食をほとんど口に運ぶことなく早々に夕食は終わり、市内中心部のホテルにチェックインしたのはちょうど22時だった。
 明日は午前8時北京空港発千歳行き直行便で帰国である。4時には起床せねばならぬ! 体調は最悪で全身から力が抜けていく!数え切れぬほどの中国旅行経験でこんなこと初めてだ!歩くのもやっとの気分で部屋に入るやスーツケースを開き、割れた中国酒を処分し、強烈な臭いを放つ濡れた衣類をビニール袋に小分けするや、シャワーを浴びることもなくベットに横になった。
 

旅12日目 旅の終わり北京から千歳へ 

北京空港にて

 爆睡していると、まだ夜中の午前4時に枕元のモーニングコールが鳴った!あわただしく出発準備を済ませ、集合時間の5時20分に薄暗いロビーに降りて行くと、すでに大勢の韓国人団体客がロビーにたむろしている。私達がエレベーターを降り近づいていくと、ギョっとした表情をしているではないか!
 しかし韓国も豊かになった!ここ2〜3年前からは中国を訪れる外国人観光客では日本を抜いて韓国がトップだ。シルクロードは別にして中国の主要観光地はどこに行っても韓国人だらけだ。
北京市内の高速道

 ガイドから渡してもらった朝食弁当を片手に私達はバスに乗り込んだ。
 オリンピック景気であちこち高層ビルの建築工事が進む北京市内を抜け、高速道に入り30分ほど走った午前6時、北京空港に着いた。 まだ早朝なのに、すでに空港ロビーは人だかりで黒山のようだ。 旅行ケースをレントゲンに通すと、搭乗手続きカウンターがあるロビーに進んだ。

中国人女と日本人男が大喧嘩

 搭乗手続きは各自個人チャックインすることになっており、私達は旅行ケースを脇に置き、パスポートと航空券を準備して、全日空カウンター前に整然と2列縦隊に並んだ。
 すでに先着グループがおり私達は、かなり後列に並ぶことになった。隣のカウンターは日本航空の成田行き便の搭乗手続きが始まっており、そこもかなりの人数が並んでいる。
 自分の番がくるのを待っていると、何と!突然あの聞き慣れた日本語の「バカヤロー」という怒鳴り声がロビーに響きわたった。 ギョッとしていると、立て続けに「なんだこの野郎!ちゃんと並べ!」と日本語で怒鳴る声が流れてくるではないか!
 
 どこで喚いているのだと目を凝らすと、隣の日本航空カウンターの最前列で、中年日本人の男が、中国人の女に向かい、つかみかかりそうな勢いで怒鳴っているではないか!  30代とおぼしき中国人女、手に何冊かパスポートを手に持っているのでツアーガイドのようだ。どうも並んでいた日本人男の前に、この女が割り込んできたのが、ことの発端のようだ。
 ところが何と!この中国人女も負けていない! 片言日本語と中国語ごちゃ混ぜで、男に向かって必死にくってかかるではないか! するとそれが益々、日本人男の怒りをそそぎ、ロビー中に響きわたる大声で「うるさい!何だ!」またしても「バカヤロー!」と、怒鳴るではないか! 凄い剣幕で、あとの言葉は支離滅裂で何を言っているのかわからないほどだ。
 
 中国では最近まで順番を待って並ぶという習慣がなかったのである。生きていくのがやっと、という時代が長く続いたため、悠長に列を作って順番待ちなどしていたら飯にありつくことができなかったのだ。これが習慣になってしまいマナーなど存在しなっかたのである。バスに乗るにも、汽車に乗るのも我勝ちに殺到するのが当たり前なのである、列に割り込むなど日常茶飯事なのだ。 最近でこそ政府も本腰をあげ、オリンピック開催を契機に国民にマナーを教え込もうと必死になっているが、なかなか徹底されていないのが実情なのである。
 
 その悪しき習慣がこの中国人女に出てしまったのだ! 日本人男性に怒鳴られても平然と食ってかかるから性質が悪い! 日本空港のカウンター職員が、あまりの剣幕に止めるのも忘れて呆然としているではないか!
 しかしこの日本人の男、中国では使ってはならない日本語を使っている! 中国において「満州」とか「バカヤロー」等の日本語は禁句なのを知らないのか! 日本軍による中国侵略時代を想起させる屈辱の日本語として、中国人では忌み嫌われているのだ。
 
 そんな中国人女と日本人男のバトル見ているうちに私の搭乗手続きの番がやってきた! 手続きを終え国際線ロビーに進んでいくと、ずらりと免税売店が並んでいる。 多くの観光客が帰国前に使い残した中国元を使い切ってしまおうとしており、どこの売店も日本人だらけだ。 最上得意客の日本人を相手にするため片言日本語を話す売店職員も多い。
 それにしても中国の国際線ロビー売店で売っている商品は高い!異常な値段の高さだ! 旅の期間中、毎日購入していた1本1・5元(23円)のミネラルウォーターが何と!23元(345円)もしている!これじゃ日本より高いでないか! あまりにも暴利だ。
 日本へ持ち帰っても一銭にもならない中国元を処分する客を見越して、とんでもない値段をつけている。にもかかわらず結構買っていく日本人が多い。

 旅の終わり エピローグ

 定刻時間の午前8時、私達が乗ったチャイナエアーライインは北京空港を飛び立った。順調にいけば3時間50分で千歳空港に着くはずである。
 12日間にわたる「西域シルクロードの旅」も終わりとなった!いろんなハプニングにも見舞われたが、シルクロードならではの、のどかな旅情を満喫できた。数々の遺跡、砂丘、ポプラ並木にロバ車、バザール、どれをとっても印象深いものだった。
 札幌に着いたら1週間ほどは自宅に篭もりっぱなしで、日本食をたっぷり食べ、体力の回復を図らなければならぬ!
 その後は今回の旅で撮影した2000枚近くの写真画像をじっくり整理し、メモ帳を広げながらホームページに「西域シルクロードを行く」のタイトルで旅行記を書くのだ!                              

                西域シルクロードを行く!最終回  終わり

中国国内で使った小遣いを記してみます。
(中国通貨1元を日本円換算15円で計算しました)

         (本日の出費)
ミネラルウォーター  2本   4元 (60円)

  小    計        6元 (60円)


今回の旅で使った小遣い合計 396元 (5940円)