プロローグ、千歳から世界で一番海から遠い都市、新彊ウイグル自治区ウルムチへ

シルクロード旅行記・旅の初日

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プロローグ

 シルクロードを旅するといっても範囲が広く、さまざまなコースがある。多くの旅行会社がツアー募集している「シルクロードの旅」の大半は、中国国内シルクロードコースの東半分で、甘粛省の「西安」を起点として、敦煌、トルファンを巡り新彊ウイグル自治区「ウルムチ」を最終地点として帰ってくる旅程7日〜8日のものである。 
 しかし莫高窟で有名な敦煌を中心としたこの東コース、過去2回の旅では、どの町も観光客で溢れかえり、土産物店が立ち並び、すっかり観光ズレしてしまい、ロマンをかきたてられるようなシルクロード情緒が、消え去ってしまっていた。

 このことから今回の「シルクロードの旅」は、「手付かずの自然が残っている」「砂漠とラクダ」「天山山脈」「列車乗車体験」「玄奘三蔵と仏教遺跡」「少数民族の生活に触れる」「バザール体験」のキーワードを満たし、ロマン溢れるシルクロードが体験できることを前提とした。
 シルクロードに関する情報を集め、「S紀行社」を何度も訪問し、発着空港の変更から始まり、砂漠でラクダに乗りたい、少数民族の生活に触れるため訪れる町々で下街を散策したい、バザールを散策したい等、次々と希望を伝えプランが確定した。 旅程は9月15日〜9月26日までの12日間の旅である。 さっそく仲間に「ロマンを求めて!西域シルクロードの旅」というタイトルで募集案内したところ、最終的に12名が参加の手を上げてくれた。 私を含めると都合13名の旅となった。募集側としては少々寂しいが、旅する側は行動し易く手ごろな人数だ。

 旅に持っていく物の準備作業を始めることにした。 30回以上も中国旅行を経験していながら、私は中国で食べる中華料理は大の苦手でほとんど食べることができない!日本食をたくさん持参していかねば飢え死にしてしまうのである。 食事に関して、私は間違いなく奇人変人の部類だ。 
 いつも旅行ケースの半分は日本のインスタント食品で占められてしまう。 ちなみにケースに詰め込む食品は「カップうどん、そば」「レトルトご飯」「インスタント味噌汁」「魚肉ソーセージ」「さんま蒲焼などの魚缶」等々がぎっしり入り込むのだ。
もちろん、晩酌用の焼酎とウイスキーも1本ずつきちんとケース内に収める。 

旅の初日 千歳からウルムチへ

 前置きが長くなってしまった! 9月15日いよいよ「シルクロードの旅」出発当日の朝が来た!。 旅の初日の旅程は、千歳空港14時発フライトで北京を経由して新彊ウイグル自治区の区都「ウルムチ」までの旅となっている。
 天山山脈の麓に位置する「ウルムチ」が今回の旅「西域シルクロードの旅」の起点になるのだ。        (下のマップ) 西域を走破したエリア地図。青点線を移動した。

千歳空港集合

 12時半千歳空港集合ということで11時に自宅を出て女房が運転する車で新札幌駅に向かった。天候は案の定、昨夜から雨がずっと降り続いている。 私は名うての「雨男」なのである。なにか大きな行事があると必ずといってよいほど雨が降るのだ。我ながら自分自身を呪いたくなる。
 
 国際線カウンター前に13名の参加者が集合した。 今回の旅でお世話をやいていただく添乗員は、世界紀行の細身の美しい女性で年齢は20代後半のN女子だ。 搭乗手続きで旅行ケースを預ける時、規定重量3kgほどオーバーしているのが気になったが、すんなり通ってしまった。「案ずるより産むが易し」でホッとした。 搭乗手続きを終え待合室に入ると座る場所がないぐらい込み合っており、中国語ハングル語がいたる所で賑やかに飛び交っている。 今日の千歳空港午後の国際線は韓国ソウル便と中国上海便、北京便があるのだ。

 千歳から離陸、北京便の機内

 定刻14時発北京行きの中国国際航空(全日空とのコードシェアー便(共同運航))にの乗り込んだ。この便は機材や乗員は全て中国国際航空だが、一人だけ全日空側の日本人女性客室乗務員が乗っている。この日本人乗務員の機内アナウンスがすごい。 中国人かと思うばかりの流暢な中国語を話すではないか。 
 席に着き定刻時間をかなりオーバーしたが離陸の気配が無い、少々いらつきだした頃、50分遅れの14時50分、やっと離陸となった。
 
 しばらくすると飲み物の機内サービスが始まったので早速ビールを注文するが、案の定、冷やしていない常温状態のものを出された。銘柄は燕京(北京)だ。 全日空との共同運航便なのでもしかしたら日本のビールがあるかもしれぬと思い、「日本の冷えたビールが無いか?」と中国人乗務員に聞くと、ニコリともせず無愛想な顔で「没有 メイヨー」の一声が返ってきた。仕方がない、気の抜けたような味のビールで我慢するしかない。
 国際線なのに相変わらず機内サービスは最悪だ! 飲料サービスに引き続き食事も出されたが、コンビニで売っている500円弁当のほうがずっとましである。

 これが同じ共同運航便でも機材や乗員が日本側だと、機内サービスの内容が格段と違ってくる。 昨年中国南方航空と日本航空との共同運航便で成田から広州に飛んだ時、日本航空の機材と乗員だったのだが、乗務員にビールを注文すると乗務員が「アサヒ、キリン、サッポロがございますが、どれがよろしいですか?」と聞いてきたのである。 しかも何と!出されたビールはプレミアムビールでキッチリと冷えているのである。私は嬉しくなり3回もお代わりしたほどである。 食事だって和風で味もよく満足のいくものだった。
話は戻る! 4時間弱のフライト時間で17時45分北京空港に着いた。 

北京空港

 この北京空港で入国審査を済ませ、20時発の航空機に乗り換え再び飛び立つのである  行き先は中央アジアと国境を接する新彊ウイグル自治区の区都ウルムチだ。
 入国審査のために黒山のようになりゲート前に並ぶのだが、日本人の入国検査はいたって簡単だ。 フリーパスに近い状態でどんどん審査が進む。 それに比べ日本以外の東南アジア系らしき人達は、一様に長時間かけて検査官の審査を受けている。 日本のパスポートの威力の凄さと、日本人としてのありがたさを実感するひとときだ。

北京空港ウルムチ行き搭乗ロビーで全員

 スムーズに審査を終え、ウルムチ行きの搭乗待合ロビーむかって長い通路を歩いていくのだが、通路の両脇にはさまざまな売店が並び、巨大なショッピング街になっている。 搭乗待合ロビーに着いたが、フライト時刻の20時まで1時間以上もあるので、旅仲間全員で記念写真を撮ることにした。 総勢13名のシルクロード探検隊だ。
 ロビーの周りにも、さまざまな売店がびっしりと並んでいる。 搭乗開始アナウンスが入るまで軽食コーナーで、ビールでも飲もうと、店頭の冷凍ケースを覗き込むと青島ビールの小瓶が並んでいるが見えた。 値段を聞くと何と20元(300円)というではないか! メチャ高い値段で、日本との物価差を考えると小瓶1本が1800円にも相当する値段だ。 一瞬注文するかどうか迷ったが、機内での生ぬるいビールが口に残っている!きっちり冷えたビールがどうしても飲みたくて、アホらしく高い料金だが注文することにした。 (ちなみにこのビールはスーパーで買うと1本3元(45円)程度)
 
 椅子に座り退屈そうに通路を行き来する人を眺めながら飲んでいると、ぞくぞく旅仲間が集まって来て次々と青島ビールを注文をしだした。 売店の小姐(女の店員)思わぬ売れ行きにビックリしている。
 ウルムチ行きの搭乗案内に導かれ座席に着くと、中国人乗客の大半が両手に抱えきれぬほどの手荷物を持ってゾクゾクと乗り込んでくる。 座席上の収納棚に入りきらないので乗務員が足元に詰め込もうとあちこちで必死になっているではないか。
 満席の乗客と異常な持込手荷物とで機内はギュウギュウ詰めの超満員である。 まるで旅客便というより貨物便のようだ。 重量オーバーで飛行に支障が出るのではないかとマジに不安になってきた! 

 そんな思いをよそに、定刻20時航空機は離陸を開始した。 こころもち滑走時間が長く感じられヨタヨタと飛び上がるようで、心配性の私は気が気でない。
 本日2回目の機内サービス食が配られだした。 清真と書かれたシールが貼ってあるイスラム食の弁当だ。厳しい戒律のある宗教なので食事もいろいろ制約があるのである。 さすがイスラム教徒が多く住むエリアに飛ぶ航空機だけある。
ふたを開いてみたが羊肉の塊が米飯の上に乗せたしろもので、見たとたん食欲がなくなってしまった。

真夜中のウルムチ到着

 4時間ジャストのフライトで定刻の真夜中24時にウルムチ空港に降り立った。機内アナウンスでは現在の気温17度とのことで予想外の寒さである。 旅行ガイドブックによるとこの時期のウルムチは最高平均気温25度とのことだったので、仲間の大半が半袖姿だ。バスが待機している駐車場まで歩き出したが、小雨まじりの寒気が身を包んだ。 
 めったに雨が降らない砂漠地帯に来てまで雨が降るとは「俺は正真正銘の雨男だ!」本当に我ながら自分を呪いたくなる。
 
 待機していた33名乗りの新型バスに乗り込むと、市内中心部のホテルに向け走り出した。 乗員数は添乗員に現地ガイドを含めても15名なので2座席を一人で占有する贅沢さだ。
 四ツ星クラスのホテルにチェックインして部屋に落ち着いたころは、すでに日付が変わり時刻は午前1時となってしまった。 
 私のツイン部屋のルームメイトはSSNの会員の飲み仲間で親しく友人付き合いしているJ氏で、これから旅の期間中ずっと一緒である。
 千歳を出立して都合8時間かけてのフライトでやっとシルクロードの旅の起点となるウルムチのホテルに着いた。さすがにドッと疲れが出てきたが、まだベットインするわけにはいかぬ!やることが残っている。 

「天山山脈麓の大都会ウルムチ・これが楼蘭美女のミイラか!」へ つづく

中国国内で使った小遣いを記してみます。
(中国通貨1元を日本円換算15円で計算しました)

(本日の出費)
北京空港で青島ビール  1本   20元(300円)