三国志街道を行く




漢中の怪しく危険なホテル

 漢中市では唯一最高級の三ツ星ホテル「金江大酒店」で6日目の朝をトラブルと共に目覚めた。
 昨夕、このホテルに到着する直前にバスの中で添乗員のH女子が、また我々に注意を呼びかけたのである!いわく「前日まで宿泊した広元市のホテル同様、今晩から2泊するこのホテルも夜中にマッサージ嬢から何度も電話がかかって来ます」!「かなりしつこいです」!
 「ホテルに到着したらホテルのフロント責任者に私達の部屋に絶対マッサージ嬢からの電話をつながないようにお願いしますが、あまり当てにできないので電話が鳴っても無視して出ないようにして下さい!」。
 例の性的サービスを含んだ按摩嬢に対する注意の呼びかけを聞きながらホテルにチェックインしたのだが、H女子が話した以上に怪しく危険なホテルだった!

 各自がルームキーを受け取り部屋に行こうとエレベーターの前に行くと、4〜5名の若い女性達が(どう見てもホテルの従業員に見えない)待機していて、私達のスーツケースを部屋まで運んでやると言いながら、何と!一緒にエレベーターに乗り込もうとするのだ!
 自分で運ぶから必要ないと言っても、しゃにむにエレベーターに乗り込むと、男性旅仲間のあとを着け部屋の前まで一緒に着いて来るではないか!そして何と!部屋番号をメモって帰っていくのである!何の為に部屋番号を調べるのか??
 部屋に入り広元市のホテル同様に、今回も電話が通じぬよう壁から電話線を引き抜こうとしたが、なかなか抜けないのであきらめた。夕食後部屋に戻ったが今晩は安眠できぬかも知れぬと思いつつ不安な思いで眠りについた。
 夜中に3回ほど入れ代わり立ち代り部屋のドアがノックされた、チェックイン時に私の部屋の前まで来てルームナンバーを調べていったのは夜中に訪ねてくる為だったのだ!ドアの覗き窓から外を見ると、案の定若い女がドア前に立っている。
 私も老いたりとはいえ、まだ煩悩の火が残っている!しかも一人部屋である!ほんのわずか(大きくではない!)ドアを開けたい思いに気持ちがぐらついたが、日本で留守番している愛する女房の顔を思い出し、強い意志で無視していたら静かになった。

大変だ部屋のトイレが溢れ出した

 ウトウトしながら寝入っていると!突然、明け方にまたドアがノックされる音に目覚めた!時計を見ると午前6時ジャストだ!この時間帯に按摩嬢が来るのもおかしいと思いつつジッとしていると、ノックの音と共にかすかに「佐藤さん!佐藤さん!」と私の名前を呼ぶのが聞こえる!按摩嬢ではないようである!
 飛び起きてドアの覗き窓から外を見ると、何と!廊下に仲間のM氏がたたずんでいるではないか!?ドアを開けてM氏を部屋に入れると、私の部屋で少しの時間休ませてほしいと言い出した。
 私がどうしたのと聞くと、M氏「朝早く起き、トイレに入ろうとバスルームのドアを開くと、便器の大便が詰まって流れず、バスルームの床にあふれかえっている!のを発見した」「とても臭くて部屋にいれないので佐藤さんの部屋に逃げてきた、どうしょう?」と話し出した。

 私が同室のO氏はどうしてるのと聞くと、M氏は「彼は高いびきでまだ寝ている、犯人は彼だと思う、夜中にトイレを使用したときに、つまったのだと思う」と言うではないか!
 先日の広元市のホテルも、今日のホテルも、水を節約しているのか?それとも水圧が低いためか?水洗トイレの流れが悪く、何度も排水レバーをひねってやっと紙が流れる始末なので心配していたのだが、とうとう詰まってしまったのだ。
 私が修理を依頼するためフロントに電話をするのだが何度やってもつながらない!しかたがないので添乗員のH女子の部屋に電話するのだが、おかしいことに、これもつながらない。 やむをえず彼女の部屋に訪ねて行きドアを何度もノックしたら、H女子が寝ぼけ顔でドアを開けた。 今日の出発は遅めの9時なのでまだ寝ていたらしい、事情を話しフロントへの排水を依頼してO氏の待つ部屋に戻った。

 フロントやH女子の部屋への電話がつながらない原因がわかった!昨晩のホテルチェックイン時に、H女子が私達が夜中に按摩嬢からの電話攻勢にさらされるのをさけるために、ホテルフロントに電話をつながないように交渉した結果、電話交換台が私達全室の電話回線を遮断していたのだ。
 ホテルのいろんな人間が入れ替わり立ち替わり様子を見に来て、「状況はよく解ったすぐ排水する」と言って部屋出て行くのだが、なかなか修理に来ない!
 2時間近く待って、50センチほどの棒の先にゴムの碗型のようなものがついた、トイレ道具を持った男がやって来てゴボゴボ4〜5回便器の中をかき回していたら、いとも簡単に汚水が流れ出した。そんなトラブルでバタバタしているうちに、今日の出発時間がやって来た!

漢王朝建国の祖「劉邦」の史跡

 
 今日はほとんど漢中市内にある史跡めぐりが中心で、紀元前200年頃 中国初代統一王朝の始皇帝がうち立てた「秦帝国」を滅ぼして「漢王朝」を開いた、司馬遼太郎の歴史小説「項羽と劉邦」で有名な劉邦関係の史跡めぐりである。
 
 最初は漢中王「劉邦」の宮殿があった「古漢台」(現在は漢中市博物館)を時間をかけ見て、次はそこから住宅街の路地裏を歩いて、劉邦が軍隊の馬に水を飲ませるために造った「飲馬池」まで行ったが、池は生活排水が流れ込み濁った汚いものだった。
 引き続き、劉邦が建国の功労者「韓信」を大将軍に任じた場所の「拝将台」を見に行ったがここは公園になっており、ここでは木陰で麻雀をやっている人達でいっぱいだった。

 四川省、狭西省と田舎町を旅してきたが、街のいたるところで麻雀をしている人達を見てきた、街角でも、広場でも、公園でも、どこでも昼の日中からやっている。
極めつけは、お客が来るのにかまわず商店の店先で、堂々と麻雀している人達をとても多く見かけたことだ! 仕事そっちのけで商店街の老若男女が、日本の倍ぐらいの大きさの牌で「ドラ無し、フリテン有り」のルールで、店先の歩道に卓を広げ牌を投げ捨てるようにしながら、私達がのぞき込んでも平気でわいわい、がやがや、とやっているのだ!
 とても一党独裁の共産国家とは思えない、不思議な国だ!  

その10へつづく