揚子江を渡り赤壁古戦場へ
中国に来て15日目の朝を迎えた、旅も終わりに近づき明日は日本へ帰る日だ!実質的な観光は今日が最後である。
旅のクライマックスをかざる観光は、三国志物語最大の激戦地である「赤壁古戦場」の見学だ。 あいにくの天気で中国入りして初めての雨模様の中を、8時にバスは「赤壁古戦場」経由で揚子江中流域最大の商業都市である武漢にむけ出発した。 完成したばかりの高速道を3時間ほど走ると、揚子江のほとりの「烏林の船着き場」にバスは停車した。はるか対岸には「赤壁」がある。
雨模様揚子江の波
船着き場といっても桟橋も待合所も何もない、ただの川淵である。岸辺にたたずみ、黄色く濁った大河揚子江を眺めていると、対岸方向から一隻のオンボロ小舟が近づいてくる!やがて私達の目の前に船が横着けされた。
浮いているのが不思議なぐらいの錆だらけの小船である!22名がぎゅうぎゅう詰めで私達は乗り込まされると、対岸の赤壁にむけて雨と風で波立つ揚子江を渡りだした。
15名ぐらいが定員の小船に、ガイド達を含め私達22名が乗り込んだため、喫水線が上がり、波がもう少しで船内に入り込みそうになる! エンジンが悲鳴を上げ止まりそうになる!不安な気持ちで船内で息をひそめていると、何とか対岸に渡り着いた。
この船に22名が乗り揚子江を渡った。恐ろしかった!
赤壁側の船着き場には10軒ほどのあばら屋があり。 小屋の中からの好奇の視線を浴びつつ、赤壁古戦場にむけ丘陵を登って行くと、呉国の水軍提督「周喩」の巨大な石像が見えてきた。
さらに進み、川岸に向かって長い急な石段を下ると、大きな崖に突き当たった、崖には大きな赤い字で「赤壁」と彫ってある。 ここが三国志物語で一番有名な「赤壁」の戦いの場所であった! 皆んなが争ってカメラのシャッターを切る。私はすでに過去に何度かここに来ておりそれほど感動はしなかったが、皆んなが「ここが赤壁かぁ〜」と感嘆の声を上げている。
これが赤壁古戦場
やがて昼食時間となり、再び降りて来た階段を上り、しばらく歩くと、5軒ほどの観光客相手の売店が並んでいる。 その中に「三国美食亭」と書かれた名前だけは立派な小さな食堂があり、そこでの昼食となった。 夫婦と娘でやってる小さな食堂で私達が席に着くと満杯になった、厨房が丸見えで夫婦が必死になって調理をしている。
出来上がった料理を、娘が緊張した表情で私達の席に配って歩く、おそらくこれだけの外国人を相手にするのは初めてなのだろう!しかし残念ながら味は最悪で私達の口には合わなかった。
タバコはコミニケーションの道具
昼食を終え再び揚子江を渡り、対岸の船着き場に戻りバスに乗り込み、200キロほど先の「武漢の街」へむけて走り出した。
しばらく田舎道を走り高速道へ入ろうとするのだが、運ちゃんインターチェンジの場所が分からない!やむをえず歩いている住民に道を聞くべく、バスを停めた!
「中国式、道の尋ね方」はルールがある、今まで何度も見てきたが全ての運ちゃんに共通している。
この時も,まず運ちゃん胸からタバコの箱を出し、その中から1本抜き出し相手に「よぅこの街の人かい?まぁ一服吸ってくれ!」とタバコを差し出すのだ。それからおもむろに切り出すのだ「ところで道を教えてほしいのだが・・・・」満足のいく答えが返ってくるともう1本渡すのである。
ただし、知らないのに面子を張って適当なことを言う人が多いので、注意が必要である。今まで何度も口からでまかせを言われバスは迷走しているのだ。中国においてタバコはコミニケーションの重要な道具で必需品なのだ!
揚子江中流域最大の町「武漢」
やがて武漢の中心部に近づくと、奇妙なラッシュアワーにバスは巻き込まれてしまった! 夕方の6時過ぎ中学校の授業が終了し、帰宅する子供を迎えに行く親の自転車・マイカー・タクシーで学校近くの交差点は、身動きが出来ない状態になっている。
校門前では、わが子を探して黒山の人だかり、その数が半端でない!日本では見られない異様な光景だ!中国ではなぜか小学〜中学までの子供に対し、両親あるいは祖父母が、朝夕の見送り・出迎えを学校の校門までするのである。特定の子供に対してではない!全ての親がするのである、なぜだ?・・・・・・
そんな街の中をバスはノロノロ走る。さすが揚子江中流域最大の商業都市で人口580万を数える都会だ!明るく着飾った商店やレストラン街がどこまでも続いている。街の中心部の小奇麗なレストラン前でバスは停まった。
夕食は明日の帰国を前にしてのお別れパーティである。揚子江で獲れたさまざまな魚の名物シーフード料理と、久々にギュッと冷えたビールで盛り上がった。
中国最後の夜武漢の街へ
夕食を終えホテルにチェックイン後、私の介護人のM・O両氏が、中国に来てからまだ一切の土産物を買ってないと言うことで、明日の帰国を前に、ホテルからしばらく歩いた所の繁華街へ土産物を買いに出かけた。
両氏は入国時に1万円を両替しただけで、今日まで15日間不足せず、遊ぶ事ができた!今日まで使った金といえば按摩代と昼夜の飲食代ぐらいのもので、1万円でこと足りたのである。
私のアドバイスで、みやげ物は観光地売店で買わず、旅の最終日に一般市民が利用するデパートで買うと言う事で、今日まで何も買わず我慢してきたのだ!
私といえば、前回の中国旅行時に余った中国元を日本に持ち帰っており、ふたたび700元ほど(9300円)を日本から持って中国入りしており、15日間使ってまだ200元ほど残っていた。
女房からは中国のみやげ物は一切買ってこないで!ときつく言われて日本を出てきたので、余った200元をどうしようか迷っていた。
何しろ今までの旅行で買って帰った中国土産は、家族・友人・同僚から極めて評判が悪く、ほとんど捨てられているのである。そんなことで3人揃って中国最後の夜を武漢の繁華街へくり出した。