三国志街道を行く



四川省「成都」での目覚め 

行政人口960万人の大都市四川省の省都である成都のホテルで朝を迎えた。6時半にO氏、M氏を誘い3人揃って朝食バイキングに行く、O氏はすでに早朝のホテル周辺を1時間ほどウオーキングしてきたとのこと、札幌でも毎朝1時間のジョギングを欠かさないとのことで、中国でもその生活パターンを堅持すると言うではないか!すごい根性だ!少々均整のとれた体型から程遠くメタボリック症候群を想起させるが0氏なりに目標があるのだろう。
 8時にホテル出発なので7時半にホテルの玄関に出ると、すでに玄関前には昨日の外人専用大型バスが待機していた。 乗降口には添乗員のH女子が作成した座席表が貼ってある、不公平が起きぬようこれから毎日、前方・中央・後方と各自の座席が替わるように配慮している。 49座席の大型バスに21名の乗客なので2座席を1名が使用できるので、快適なバスの旅になりそうだ!

 出発まで少し時間があるのでミネラルウォーターと四川省道路地図を買うために、ホテル近くの日本でいうキヨスクみたいな雑貨店に行き目的の品を購入した、価格は500mlミネラルウォーター1本1.5元(日本円換算27円)四川省地図4元(日本円換算54円)だった、中国に来ていつも思うのだが、ありがたい値段に感動し、あらためて日本円の価値に感謝する。

 8時にバスは成都観光で最も有名な武侯祠(三国志蜀の軍師「諸葛孔明」を祀ったところ)に向けホテルを出発した。今日の成都の天気予報は晴れ気温32度とむし暑い一日だ!
 市内を武侯祠に向け走っているとイトーヨーカ堂の巨大なショッピングセンターが見えてきた、成都市内には2箇所に店舗展開しており繁盛しているとのこと!こんな中国の奥地で日本企業が活躍しているなんて拍手だ!               

諸葛孔明と劉備を祀った武候祠

 武候祠に向かう途中バスの中で全員にH女子より無線イヤホーンを渡される、この旅行社のサービスの一つで、添乗員とガイドが無線レシーバーを持ち、遠く離れた所からでも我々に向けての観光説明や集合案内の声がイヤホーンを通してはっきり聞こえてくるのだ!広い観光場所で行方不明になる心配がないので安心して行動できる便利ものだ、全員がイヤホーンを耳に装着した。

 しかし見かたによっては補聴器にも見える!旅仲間の大半がシニア年代で補聴器が良く似合う人が多い、私は絶対似合わないが!
 まもなく武侯祠の切符売り場前の広場にバスが横付けされた、すでに中国人観光客や物売りが大勢いる、連中みんなが一斉に我々の外人専用大型バスを物珍しくジーと見ている、その前を補聴器を付けた我々耳の不自由な一団が、入り口までゾロゾロ歩いて行く、我々を見て中国人同士の会話が聞こえてくる。「韓国人か?」いや「日本人だ」「耳に何か着けているあれは何だ!」

 こんな会話が聞こえてくる中を大門をくぐり入園すると、中央通路をはさんで両側に回廊があり、劉備玄徳の建国を助けた趙雲・馬超・黄忠・庖統など「文武28名の股肱の臣」の塑像がずらっと並んでいる。
 さらに進んで劉備殿に入り、ど真ん中に巨大な劉備の塑像、左右に関羽と張飛が並んでいる。三国志ファンにはたまらない拝殿だ!たっぷり時間をかけ劉備の墓参りをして次の観光の杜甫草堂へ・・・・・・

 杜甫草堂に向かうバスの中で、始めての中国旅行だという「三国志おたく」の同じ会社の同僚同士の若い3人組が、さっそく武侯祠の中の観光客相手の売店で、関羽の置物を買ってきたのを私に見せて言った! 「佐藤さんこの置物800元の値段が付いていたのを値切って半額の400元で買ったのですが、高いでしょうか?」と聞いてきた。

 私が答え「初めての中国旅行での買い物で値切って半額で買えればマァマァでしょう」「でも観光客相手の売店なら粘れば三分の一になりますよ!」それが相場ですと言うと、はじめ半額で買えたのを自慢げに話していたのが少し表情が曇り、3人が次からの買い物は3分の1になるまで買わないぞ!などと会話している。
 そんな会話をしているうちに間もなく杜甫草堂に着いた。中国で最も有名な1300年前の唐王朝時代の詩聖、杜甫が晩年を過ごした郊外のひっそりとした竹林の中の杜甫草堂の公園内をゆっくり散策観光後、近くのレストランで水分補給を兼ねた温いビールを飲みながら、あまりおいしくない昼食をした。

 昼食後、バスの出発時間まで30分ほどあるのでO氏とM氏は二人揃って、歩いて10分ぐらいのイトーヨーカ堂まで今晩の夕食の酒を買いに行き戻ってきた。日本の焼酎みたいな酒(中国名は白酒、アルコール度数60度480ml瓶)を激安の5元(日本円換算67円)で買ってきて、”今晩はこの酒で盛り上がるぞ”と言っている。二人とも旅が始まったばかりなのでやたらテンションが高い。

庖統の墓に立ち寄り綿陽市へ

 次の観光は高速道を1時間走り、3000年以上昔の謎の揚子江文明といわれる、三星堆遺跡博物館(西安の兵馬俑に匹敵する考古学上の大発見と騒がれた)に行く。館内に陳列されている古代人が作ったとされる、さまざまな不思議な青銅仮面の数々を参観したが、巨大な仮面が何の目的で作られたのか謎とのことであった。それにしても中国4000年の文明の奥深さには圧倒される。
 
 三星堆遺跡博物館見学後、次は孔明に次ぐ軍師といわれ蜀の国平定戦で戦死した「庖統」を祀った「庖統祠と墓」に向かうことになった。
ところがこれがなかなか見つからないのである! 奥深い山中の道を何度もさまよい走り(ガイドも運転手も道を知らない、それほど観光客が行かないマイナーな場所を)、山道を歩いている農民に尋ねること数度、やっとのこと小高い丘の上に庖統祠と墓を発見した。
 
地元の住民も知らないような山奥に、あの「庖統」が眠っているのである!  三国志に登場する場面に思いを馳せ、めったに訪れる人もいない庖統墓に向かって手を合わせることにした。
庖統もはるばるやって来た日本人のお参りを受け、きっとびっくりしていることだろう!
 今日の観光はこれで終わり、バスは高速道を2時間ほど走りると、今日の宿泊地である人口160万の綿陽市に18時過ぎに到着した。
 この街には中国で最大のTVメーカー(東芝と技術提携している)の工場があり、宿泊はそのTVメーカーが経営してる4星ランクの長虹大酒店である。
ところがこのホテルでの夕食の席上、O氏が罰金を請求されてしまったのだ!・・・・ 

その3へつづく