層雲峡火まつり太鼓にまつわる伝説 |
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フクロウ神事とは、アイヌ語で「コタンコロカムイオブニレ」アイヌの
神を送る行事として、今から数百年位前までイヨマンテの中で、最も格式
の高かったと言われるコタンコロ、モシリコロカムイと呼ばれるシマフク
ロウを天に送る儀式がありました。明治の世代以降はほとんどその行事は
行われておらず、狩猟で得た動物の霊を神に送るときに使われ、その儀式
は、数日に渡って行われたと記録に残りますが、この層雲峡峡谷火まつり
では、その本まつりと言われる部分を、再現、公開するもので、日本では
実に珍しい行事の一つです。
昔、アイヌの天の神は、地上の人々に毛皮や肉を与えて生活の糧にして
やろうと、熊やフクロウ、狐、狸などの動物を贈り物としてつかわしまし
た。地上では、この有難い贈り物に感謝し、その魂だけは一旦神にお返し
して、再び、神の思し召しでこの地上に舞い戻って来て欲しいという願い
を込めた。大自然の中で生き続けるアイヌの人々ならではの、自然に対す
る感謝と喜びを表現する儀式が「フクロウ神事」です。
イヨマンテは熊の霊を神に送る儀式としては、あまりにも有名なもので
すが、本来イヨマンテとは、必ずしも熊に限らず色々な動物の霊を送るこ
とを意味し、従ってこのオブニレとイヨマンテとは、同じ儀式を表現する
ものなのです。但し、厳密には、イヨマンテは幼い時から飼育していた動
物の霊を送る場合を意味し、フクロウ神事の言うオブニレとは、獲物とし
て捕らえた動物の霊を送る場合にのみ、用いられたものとつたえられてお
ります。
儀式の流れ
コタンコロカムイ(シマフクロウ)が会場に
入ってくる。
シマフクロウをタクサと呼ばれる清めの棒で
前後左右に追って地上でのけがれを払い落とす。
長老達の献酒・礼拝・祈り、シマフクロウと
人々との別れを惜しむかのような踊り、そして
3本の花矢が放たれ息絶えたフクロウの解体が
行われる。
祭壇には、たくさんの魚や首飾りなどが飾られエシカ達が酒を捧げて
礼拝し続け、こんな送りの言葉を口ずさむ。
「我がいとしのコタンコロカムイの子よ、私達に限りない恵みを与えてく
れたあなたとも別れの時です。美しきこの祭りの庭で、あなたの最後の踊
りは本当に立派でした。
今、新しく神となりご機嫌良く父母の神々の身元に、沢山のお酒とお
土産を持ってお帰りください。」
こんなことをやさしく語りかけながら、竹で作ったヒゲベラを使い、酒
を滴らせながら別れを惜しみ、連夜にわたって礼拝をし続けるものだそう
です。
2005年7月30日
第44回 層雲峡峡谷火まつり ナレーションより抜粋
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