吉田精肉店

第四十四話悲劇




周りには何もない。
地面のような立っている感覚は存在している。
ゴットもいるようだ……。
ならば……問題はない。
出る方法など後で探せばいい。
俺様はアルミューレだからな。
だが一応聞いていこう。
「何のつもりだ?」
それは答えた。
「気にしないでいただきたい、私はあなた方の邪魔をするつもりはない。」
「答えになってないぜ」
「すべてを破壊するのです」
「すべてだと……?」
「もう苦しまなくていいでしょう」
それは淡々と語り出した。
ゴットは押し黙っている。
「すべては神の生み出した幻想だった。苦痛も悲哀も絶望も憎悪もすべて破壊しましょう。
すべてを無に帰してこの悲劇の大団円を迎えるのです」
それに俺らが邪魔だというのか。
「残念ながら苦痛も悲哀も絶望も憎悪も大好きなんでなあ。」
声のする方を探した、余分なことをしやがる邪魔な野郎を消さなければならない。
「ここにはいません、あなた方はここで思う存分戦ったらいいでしょう。おあつらえ向きの戦場で
すよ。せいぜいかわいい部下たちががんばるのを祈ってください」
声は消えた。
「どうするんだ?」
斬撃がアルミューレのほほを切った。
「いい答えだ」

突然現れたそれをノーフィスは見ていた。
「あれはいったい、悪魔なのかあれも」
「ぼくがおそれていた事態が起きてしまった。破壊精神カタストロフが肉を得てしまった」
ニーズヘグが答えた。
「カタストロフ……あのときの?」
あのときゼヴァスが寝込んでいたとき自分をあざ笑ったあの……。
「ラグナロクは語った。自分たちが何に仕えているのかを。
そのときしったのだ真の敵を」



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