吉田精肉店

第四十二話到着



「ほう、無界にはこんなに骨のある奴が二人もいるのか少し悪魔になりたくなってきたぞ。」
ゴットはカメラ・アイをサーチライトに変えていった。
光に照らされたクリスの顔はアルミューレの邪悪なほほえみを映し出した。
「残念だがあんたのことは忘れられそうにねえ。」
「残念だが前菜はすべて残して下げようか、メインディッシュの到着だ。」
わずかに光の残る地平線の彼方から・・・・来る。
ハウレス!!
さあこの地獄の饗宴のメインステージ。
ついに始まる。

火花が散る。
チャーリー(デクストでいた奴)は思った。
似ているものは同じものっていいますね。
まるでそれは花火だった。

火花を散らしたのはゴットではない。
ハウレスとアルミューレだった。
「どういうつもりだ?」
ハウレスは尋ねた。
「不完全な状態では申し訳がつかないと思わないか?」
アルミューレは答えた。

なるほど。
完全なヴィシュヌ。
ただし・・・。

『主導権は・・・』
「俺だ。」「私だ。」

ほくそ笑むというのはこういう感じなのだろうか。
こんなにもうまくいくなんて。
滅んでいく。
一つの時代が終わる。すべての時代が終わる。
広がっていったおもちゃ箱はきれいに整頓される。
ああ。達成感が感じられる。
少し気が早いかな。
達成感というのは達成する前から少し潜んでいるものだ。
ちょっと矛盾しているが。

瓦礫が崩れる。
破滅を包んでいた殻は割れて中身が露出する。
白かった肌は赤く染まり異形ともいうべき姿に変化していた。
その異形を最初に見たのはザーゴンだった。

「カイン・・・?」
親友が変わってしまった。
いや目の前にいるのは本当にその親友なのか?
「さ・・・れ、急ぐことは・・・ない。アルマゲドンも悲しむ。」
異質な声。嫌な音だった。超音波が聞こえるとしたらこんな感じか。
「誰だ・・・。」
それは一番上にある首らしきものをこちらに向けた。
よく見ると白い生首の集合体がしたにあるではないか。
目を背けたい。
でもからだが動かない。
「七日目の代行者、カタストロフ・・。」
それは答えた。


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