吉田精肉店

第四十一話胎動


ゴットはラグナロクを一瞥するといった。
「君は何をするつもりだね。」
ラグナロクは長い間の無表情をといて笑った。
爆笑した。
不気味な機械的な笑い。
「世界の終わりにあなたと戦えるなんて光栄です。
私たち究極のロットはそのために生まれたのです。」
風が吹く。
眼下にはいくつもの爆撃の後。
その隙間を縫うように散在する黒い点。
一つ一つ、己の欲望、願望、もって戦っている。
「愚かだな・・・。」
ゴッドがつぶやいた。
「誰がです?」
ゴットはラグナロクをまっすぐ見据えた。
「もちろん・・・。」
赤い天体が地平の彼方に沈む。
「おまえだ!!」
その瞬間ラグナロクの銃口が火を噴いた。
ゴットの動きよりそれは速かった。
ロットのもっとも弱い部分。
カメラ・アイをねらった弾丸が近づいているのをゴットの目は見つめていた。
神に恐怖はない。
カメラ・アイから発せられたレーザーは弾丸を焼き尽くしその軌道上にある銃口すら貫通した。
「すこしはできるようだな。」
「私は神の時代を終わらせるもの。」
ラグナロクはつぶやいた。
ゴットは体に違和感を感じた。
体中の銃器が誤作動を起こしている。
「ウイルスか・・・。」
「とどめ!食らえ!超原子弾!!!」
ラグナロクはゴットに向かって打った。
最後の最大の武器。
「ハハハハハハ!神は死んだ!」
煙がはれた。
おかしい・・・。
何か違和感が・・。

「たのしかったかい坊や。」
ゴットがいた。
空にいたはずなのにここは地面。
そうか暴発か。
「勝てるはず・・・なかったのだ。」
「そのとおり。」
「悔しかった・・・、負けたことがじゃない・・・。」
ハウレスに役割をとられたことが・・・、ああ。
「さあ、主賓がお待ちかねだ、もたもたしてるとまたあいつがくるからな。
この戦いの勝敗などどうでもいいが見届けてやれ、ブラックセフィラム・・・。」
ゴット様・・・、私の真の名を・・・。
あなたの勝利をお祈りしています・・・。


日が沈んでいく。
黄昏れるラグナロクのまえに人影が・・・。
「やあ・・・、まけてしまったよ。
すまない・・・、すべて私が悪かった。許してもらうつもりはない・・。」
”憎悪”は黙って聞いていた。
兄弟は静かに見守る。
「レーヴァティンだ。」
ラグナロクはいった。
「閉門の時が来る。」


ゴットは気づいていた。
ハウレスのところにもう一つ強大なオーラが、そしてじぶんのところにも。
「なんのようだね?」
夕日を背にしそれはいった。
「俺はアルミューレ、あんたを喰ってみてえ。」



「アルミューレめ!」
もうこんな奴を相手にしてるヒマはない。
そしてすでに・・・、もうこいつは悪魔ではない。

「ザーゴン!!死にたくなかったら上へ飛べ!!」
アルマゲドンがいった。
地面が揺れる。
地下にあるこの建造物は沈む。
瓦礫の海に。
思わずザーゴンはいうとおりにしてしまった。
ハウレスと心中するつもりか。
階段を飛ぶザーゴンの後ろに稲光が・・。


「最大電力!ダークネス!!!サンダああああ!
アンリミテッドッ!!!」
発光。
ホワイトアウト。

戻ろうとしたザーゴンを巨大な影を追い返した。
なぜかザーゴンにはゼヴァスのイメージが・・。

ドクン・・ドクン・・ドクン。


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