吉田精肉店

第四十話宿命

彼は急いでいた。
暗闇のなかを階段をしたにしたへ。
ろうそくの小さな明かりすらない奈落の深淵へ。
彼がついたとき、その決着はついているようにみえた。

ハウレスの剣がカインを貫いている。
ハウレスは自分と同じくらいのがたいのカインを串刺しにしながら持ち上げていた。
「その様子だと、知らなかったようだな。」
ハウレスは剣を振りその勢いでカインを放り投げた。
カインは石造りの壁にぶつかりどさっと痛ましい音を立てた。
「このあほを始末した今、私がここに来た目的は終わった。
これからは私用だけだ。
ザーゴン、もうおまえに興味はない。」
「まってください、やめることはできないのですか?」
「やめるってなにをかね?」
「この戦いをです、ゼヴァスと一緒に説得する気でできました。
カイン、ゼヴァス、グレゴリュフ、ベリゼアル。
皆力を求めて傷ついていった。」
「皆、私に刃向かった愚か者だ。」
ハウレスは言い捨てた。
それにハウレスは諭すようにいった。
「もう私ですら、悪魔どもを止めることはできぬ。
いや実際にはできよう力や恐怖でな。
だがそれすらわからぬ愚か者が君の友人だよ。
奴らのもっとも愚かなところが私を力で屈服させようとしていたことだ。
奴らは自分たちこそルーラーにふさわしいと疑わなかった。
悪魔を自分のルールで支配しようとしていた。
現に私がしてるようね。
禁を犯しアンノーンゲートを開いたの私ではない。
そんなことは私にたのまないでほしいな。

私はゴットとの決着がつければそれでいい。
君が止めたいというのなら止めてみたまえ。
もう私は妨害はしない。
彼との約束の時が来た。」
ゴットが近づいている。
「・・まだ・・、おわっちゃいない。」
カインがつぶやいた。
「ほうまだ息があったのか。」
カインの首飾りの赤い宝石が輝いた。
何かが光っている。
光がハウレスから漏れているものだとザーゴンは気づいた。
そして自分からもハウレスほどではないが光が漏れている。
力が抜けていく。
やがてザーゴンはこの光が”自分の魔力”だと気づいた。
「貴様の・・無限の魔力も・・、我が”ダークネス・サンダー・アンリミテッド”のまえでは電池のよう
なものだ。たとえその剣が永遠に燃え続け万物を切り裂けようとも、我が神成も炎と死を永遠に
ばらまけるのだ。」
カインの傷が癒えていく。
「ゼヴァス、見ていろ、俺はおまえとの競争に勝ったのだ。」




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