吉田精肉店

第三十七話幻影

「行くぞ、ドリブ、援護してくれ。」
だがドリブはゼヴァスの言うことに気づいていないようだった。
「どうした?」
「無駄だ、俺を怒らせやがって、貴様からなぶり殺してやるッ。
冥土のみやげに教えてやるッ!
ファントムイリュージョンは透明にする能力ではない!!
認識を消す能力だッ!!
つまり!おまえの声は奴らには届かないし姿も音もにおいすら感じ取ることはできない。」
「いいだろう、一対一だ!
それで決着をつける!!」
風が吹いた。
ゼヴァスは振り返ることなく空をかけた。
これが最後だった。
そうこれから先ゼヴァスが生きて地上に足をつけることはない。
これが彼の最終決戦である。

「どちらかが勝ったかで運命を決めるだとうぬぼれるなよ、カタストロフ。
貴様が何を考えているか我輩は知らん!!
だがこれだけはいえる。
そいつをめちゃくちゃにしてやる!!
まずはおまえからだクリス!!」
だがほえた相手は見つからなかった。
ファントムイリュージョン・・・認識破壊か。
ゼヴァスはデビルキラーを下に向かって投げた。
「どうしたあ?俺はそこじゃないぞお、もうすぐもう少ししたら俺がいたって事すら忘れて間抜け
面のまま即死しちまうぜッ。」

空か・・・、風が少し強いかな。
このままこの世界へ逃げてしまえばよかった。
エルンとか悪魔とかロットとか関係ない世界で・・。
力なんていらないずっと空にいれれば。
地獄の眼で石になるものは空にはない。
平和な世界だ。
「空にいたい・・。」
「空に君臨するのはクリス様だあ!!」
見えない13→0(サーティーンゼロ)が迫ってくる。
クリスは正面からは撃たなかった。
ファントムイリュージョンは認識破壊であり事実破壊ではない。
ゼヴァスはみていてだがそれを忘れている。
みていると言うことは石になるということだ。
つまり地獄の透視眼がみえてるものみてないことにする能力ならばファントムイリュージョンはみ
ているものをみえていないことにする能力である。

「空は誰のものでもない・・・。」
ゼヴァスと13→0の弾丸とクリスを無数の弾丸が貫いた。
「なんだ・・・。」
クリスは想定外の攻撃に驚愕した。

「我輩は三つ嘘を言った。」
ゼヴァスは言う。
「一対一、まずそれから嘘だ。」
「なんだと。」
「最初の外した一撃、あれはドリブに空に敵がいると思わせ、実際いるんだが力任せの攻撃をし
てもらうためだ。」
「クソヤロウめ!!」
「二つめは、空にいたいって奴だ。
我輩は逃げん、敵は追ってくるならばたたくまで!!
そして・・・」
ゼヴァスはクリスをつかみ、ささやいた。
「嘘が三つってのも嘘だ。君は暴君って割にはえらいおとなしく話を聞くね。」
「貴様・・。」
「・・・もうやめないか。」
「何を言っている?」
「君の父グレゴンはこんな事を望んでなどいない・・。」


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