吉田精肉店

第三十五話魔将


泣きわめいていたアモンも幾分か落ち着きを取り戻していた。
「これからどうするの?ぼくのことも含めてさ?」
アモンは聞いた。
「どうしようか?」
その答えにアモンは面食らった。
こいつらは何も考えていないのか?
そもそも的である自分にとどめを刺さないのか?
「馬鹿じゃないの?本当に。何一度失敗してふぬけちゃったの?」
「我輩はな・・。」
ゼヴァスは答えた。
「友を捨て仲間を裏切り、力を求めてここへ来た。
力があれば、エルンとの戦争も終わり、誰も苦しまなくてすむと思っていた。
でも、ここで起きたのは新たな闘争。
でも力さえあれば止められると思っていた・・。
でも違った。」
「違った?」
アモンが聞いた。
「そう違ったのだ。大悪魔の上には邪神がおりその上に君臨するハウレスとアルミューレ、そし
て・・機械神ゴット。
大悪魔にすら勝てなかったのだ我輩は・・。
ヘヴンがくれた新たなパワーを持ってしても!」
ゼヴァスはアモンが泣きわめいていた仕返しとばかり内面をぶちまけた。
「だからこそだ、いかなる力を持ってしても戦いを止めることなどできない。
もうやめたかった。でもカタストロフは許さなかった。
戦いを止める戦いという矛盾を我輩に要求した。
さらなる力をくれたのだ・・。
だが我輩に残された時間は少ない。」
ゼヴァスは目から血を流した。
「アンノーンゲートを閉じる。
そうすれば奴をハウレスを・・・。無界から追放できる。」
「馬鹿な・・。」
「ゼヴァス君、大丈夫かい・・・。」
「ああ、ドリブ、おまえは強い・・。我輩より遙かに・・・。
門を閉じた後のことは任せた。
我輩はカインを探さねばならない・・。
奴ならきっと門を閉じれるはずだ。」
「はろう。」
「だれだ?」
いつのまに近づいたのか一人の悪魔がゼヴァスたちの近くにいたのだった。
「クリス・・様・・。」
「よう、アモン、貴様がどれくらいがんばってくれたのかどうかは知らないが、まあゼヴァスの場所
を教えてくれたのは感謝するぜ。」
アモンは自分の首筋を触った。
発信器だった。
「こんなものが?」
「はじめましてですか?ゼヴァス殿。
俺の名はクリス・・、てめえをぶち殺しに来た。
カタストロフの奴がな、自分で進路きめれねえつーから俺とてめえでやりあえていってんだよ。
どっちが強いかで決めようって事らしいが、明らかに明白だよねえ?」
クリスの自信に満ちあふれてこぼれそうな態度をゼヴァスは黙って聞いていた。
「ふ・・・、いやいや生まれたばかりの俺様が経験豊富な諸先輩方に勝てるわけないっすよ。
聞きましたよ、カイン、いやアルマゲドンはハウレスのところへ行きましたよ。
さあ行って早く門を閉じなさいよ。」
クリスの意外な言葉に困惑していたがゼヴァスは決心すると歩き出した。
「馬鹿め!引っかかりやがった。どっかーん。ファントム・イリュージョンだ。」
しかしクリスの口で言った、どっかーんと爆発音はかぶらなかった。
「さて、君の言うとおり結果は見えているが力比べをしようか?クリス?」


「それが魔将の力か?」
ベリゼアルは倒れていた。
「こっちの力も知らずにふれてくれていて助かったよ、このまま地面にキスしてな。」
「こっちの芸もみてほしいな・・。」
絶望、それは俺に力をくれる。
デッドエンド(行き詰まり)すら死の終わりへと変える。
「そうだねえ、このまま地面這いつくばったまま勝つってのも酔狂だねえ。
二人で絶望を味わおうか?」
ベリゼアルが銃を構えた。
「さあ、どうする逃げるか?かわし続けるか?
どっちでもいいぞ、ほうそうくるか。」
ザーゴンは近づいたとどめを刺すために・・。
「這い蹲るって言ったがありゃあ嘘だ這い蹲るのはてめえだああああああああ。」
ベリゼアルは剣で地面を切り裂いた。するとみるみるうちに亀裂が広がり地面からベリゼアルは
自由になった。
俺に気をとられている隙を突きザーゴンを蹴り倒した。
「ちょっとまだついて石ころがおもてえが、ちょうどいいハンデだろ、いやもう関係ないか?」
ザーゴンは踏みつけられていた。
「さてさて”絶望”のお味はっと。」



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