吉田精肉店

 第三十三話悲哀

”アモン、おまえだけは生きるんだ。”
”大悪魔も俺たちのせいかを認めてくるはずだ、お褒めの言葉をおまえだけで生きてもらってく
れ。”
”ふん、役立たずのゴミどもめ、変わりなぞいくらでもいる。どうした俺が憎いのか・・?カス以下
のゴミ?”


ゆるさん、ぜったいにゆるさん。
力だ、復讐のためにはそれがいる。
ヘヴン、ボクの可能性がそこにあるならば命なぞ不要だ。

「ゼヴァス・・・、教えてやろう、ペインワールド2とは苦痛の破壊、脳内麻薬が痛みを消し、すべ
てのダメージを回復が上回る。
だがそれは共有されること無きことだ。
周りにいるものはいつもどおりくつうをたのしめるのさ。」
「おまえの苦痛は理解した。」
アモンは馬鹿にしたように言った。
「理解〜〜〜?
そんなものはいらないよ。弁解、慰め、同情 、反省。
そんなものでボクたちの苦痛は癒えるの?
必要なのは君たちの苦痛にもだえる悲鳴さ!!!
さあいい声で鳴いてよ。
ボクがかわいそうだって言うならさあ。」
「かわいそう?
おまえはただ単に自分のエゴを通そうとしているだけじゃないか、そんなやつの肩を持つ必要
がどこにある?」
ゼヴァスは声を荒げていった。
「ねえ、君本当に立場わかってる?」
ペインワールド怒りという感情すらも共有するのか?
「痛みだと、痛みを知っている?
そんなことがよく言えたな、そんな復讐をしたとしても憎悪の連鎖を作るだけだぞ。
関係ないものにもそれは及ぶんだぞ?」
「知らないよ、そんなこと。きれい事ではやっていけないことはよ〜くわかっているからね。自分
が気がすむようにやるさ。
どうやって死にたい、やっぱりショック死とかがいいかな?」
「やってみろ。」
アモンはポケットから五寸釘を出すと自分の足に打ち付けた。
血がしたたり落ち地面に池を作った。
手に垂れた血をしたでなめるとアモンは恍惚の表情を浮かべた。
「何本ほしい?」
そういってゼヴァスの方をみたアモンは仰天した。
ゼヴァスの足が石になっていたからだ。
「何をしやがる。」
「何もかも、わがまま坊やの思い通りにならないということだ。
おまえの言ってることはただの自分勝手だし、やがてそれで自滅するだろう。
だが知ったこっちゃ無いって訳じゃないから少しは優しいだろう。」
ゼヴァスは完全に石になった。
ドリブはそれを見計らうとアモンに近づいた。
ドリブがブレードを出し切りかかろうとしたとき、アモンが急に泣き出した。
「痛い・・・痛いよ。」
アモンの魔力が切れたのだ。
石化を解いたゼヴァスが近づいた。
「まだやるか?」
「でも・・みんなはみんなは奴らに使い捨てられて・・・。」
「いつか戦いは終わる・・・、それを引きずっていては新たな戦いを呼ぶだけだ。
真の苦痛の破壊とは苦痛を乗り越えることだと思うぞ。」
「ぜう゛ぁす・・・。」
アモンは泣き崩れた。


クリスは宙に浮かび、天上のものであることを誇示していた。
ほかには一人の覆面をかぶっているものがいるだけだった。
「”憎悪”よ、”苦痛”と”絶望”、”悲哀”の様子はどうだ。」
クリスが言った。
「はい、アモンの側にゼヴァスがいるようで、ベリゼアルたちがいるほうにはノーフィスが。私はノ
ーフィスの側に行こうと思います。」
「四天王三人か、まあよかろう、俺はゼヴァスとやらに破壊というものが何かおしえてやりにいく
よ。
それにしてもノーフィス側にあいつが行くとはおもしろいな。」



ベリゼアルはザーゴンとノーフィスに囲まれていた。
「二対一だ、勝てる自信はあるかい?」
「仲のいいことで、その仲の良さを彼にも見せてやりなよ。」
黒いマントを羽織った男が近づいてくる。
その男が放った言葉はノーフィスに衝撃を与えた。
「兄さん、久しぶりだね。」
「・・まさか・・・ノーヴィス?」
ノーヴィスは答えた。
「そう、クリス四天王、”悲哀”のノーヴィス。」



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