吉田精肉店

第三十二話絶望

ノーヴィスはザーゴンと一緒にロット軍との説得に足を運んでいた。
だがそれは建前だ。
クリスとロット軍の勢いを借りてヴィシュヌを抹殺し悪魔をヘヴンから放逐するのだ。
自分を動かしているのはもはや理性ではない憎しみだ。
自分たちをまだ利用できると思っているヴィシュヌにほえ面をかかせてやろうとしているのだ。
だがその計画は失敗する。
この男の襲来とともに。
「おい、爬虫類。」
「なんだ屑鉄?」
もはや二人にはおなじみになったアイサツで彼らは会話した。
「つけられている。」
「ロットか?悪魔か?」
「わからない。」
おまえのレーダーは屑鉄か?と返そうとしたとき。
目の前の岩が”破裂”した。
「もうばれてしまったか?」
悪魔?ロット?甲乙つけがたいものがそこにたっていた。
「ベリゼアルって言えば知ってるかな?」
「魔将ッ!」
感心したような顔でベリゼアルが答えた。
「よく知ってるね、ザーゴン君。
君が知らない情報をあげようか。
悪魔に嫌気がさした俺は悪魔を裏切り、グレゴンの機械化ボディでロット軍に入った。
そしてクリス様と出会い共感し、”絶望”のベリゼアルとなったのだ!!」


「下級ってね、実質最下層なんだよ。使い魔にすら馬鹿にされてるね、きっと。
でも今はね、中級とか眼じゃないよ。
カタストロフ様によって苦痛の力を授けられたからね。
ワタクシ、いやボクの腕みてごらん。
擦り傷、切り傷、刺し傷でいっぱいだよ。
痛いよ。
あれ、ゼヴァス様、腕どうしたの?」
ゼヴァスの腕は 擦り傷、切り傷、刺し傷でいっぱいだった。
「いた・・・。」
アモンはにやりと笑った。
「おっとゼヴァス様も眼精疲労かな?
地獄の眼って結構目を酷使するんだね。
あ?わかったでしょ。
ボクのチカラ。
ペイン・ワールド。
この領域に入ったものは体調を共有する。」
ドリブはそれを聞くとアモンのところへ走っていった。
思いっきり腕を振り上げアモンを殴った。
「ロットには効くか!!」
アモンは殴られた衝撃で吹っ飛んでいった。
「勝った!!この話終了。」
だがドリブは血を流して倒れているゼヴァスをみた。
「ゼヴァス君!!いったい誰にやられたんだ?」
あきれたようにゼヴァスは答えた。
「おまえだ・・・。」
「へ?」
ドリブはあまりのひどい答えに驚いた。
「その通り、痛みもダメージもすべてだ。
血も傷もな、だが、おまえはこう考えているだろう?
耐久力は俺の方が上とな?
だがその幻想を打ち砕いてやる。
はああ。」
アモンは自分に傷をつけた。
変則的な遠隔攻撃。
相打ちでもねらうのだろうか?
「やめろ、これ以上続けても。」
「だからなんだというの?
ボクは痛みを思い知らせたいんだ。
痛みこそ原初の破壊。
痛みこそ破壊の力の根源。
その力を持ってして思い知らす。
他人の痛みを知れば傷つけることをためらうだろう?」
「ならなぜ、おまえはその力を戦いを止めるために使わない?」
アモンさらに自分の胸をひっかいた。
「青二才が!!ボクは上級悪魔どもが後悔しながら死んでいく図が見たいんだ。
下級悪魔念願の復讐だ。
教えてやるよ!!
ペイン・ワールド2!!」
傷が増えるたび光を増していった5つのクリスタルが輝きを増した。
アモンが消えた。
気づくとゼヴァスは宙を舞っていた。
ゼヴァスは理解した。やつの自信の源。
やつは傷つくたびに強くなる。


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