吉田精肉店

 第二十九話本物


魔王クリスの成長にはあのアルミューレですら驚かされた。
特に知能の発達には著しいものがあった。誕生直後から無界の言葉を解しアシュタロンと出会
ったのは数十分後であるにもかかわらず、異常なまでの会話能力の発達を見せた。
戦闘能力においても初戦でアシュタロンを圧倒したほか選別として悪魔とロットの強豪と戦い手
下にしていた。
これはアルミューレの下した命令であったが、ここまで強力なメンバーを集めるとは思っていな
かった。
クリスの知能と戦闘能力を持ってしてできたものである。


そんなクリスの前に一人のロットが現れたのだ。
それは黒い装甲を持ち狂気の兵器を備えこの戦いを起こした最悪の傍観者。
ラグナロク。
「そろそろ危ないんじゃないのか、クリス君。」
ラグナロクはあえて主語をいわなかった。
「ロット、君も死にきたのかい?」
クリスは意に介さずいった。
「おっと君は不思議なことをいう。君は今まで悪魔もロットも殺したことなんかないんじゃないのか
な?ハウレスに感づかれないために?」
私はわかっているぞと念を押す。
 「では君と裏切り者の脱走者は俺のしようとしていることに気づいていると?」
アルミューレが答えた。
「そうです、神よ。組みませんか?神の計画をより確実にするため、そして我々も・・・。」「カタスト
ロフの意志か?」
「そうです。そしてアルマゲドンもハウレスよりあなたの方が無界のリーダーにふさわしいと思って
います。」
「世辞はいい。」
「それにクリス、我々は同じ本物のロット、ファイナルモデルの兄弟でしょう。」
「何・・。」
「聞いていなかったのですか。ドクターグレゴンから。」
そしてクリスの後ろにいる黒いマントを羽織った四人に対していう。
「おや、どこで見たような方がちらほら見えますね、あの悪魔の仮面をかぶった方なんか私が憎
くて仕方ないようですな。」
「話をそらすな。ファイナルモデルとは何だ。」
「神の時代を終わらせるものだ。それはすなわち造物主殺し。
それをなしてこそロットはロットたり得るのだよ。
私はねえ、本当にあなたたちが何をしようが考えてようがいい。
カタストロフやアルマゲドンもそうだ。
ただ単に存在する理由を満たしたいんだよ。」
「それは・・・。」
クリスが尋ねた。
「ゴットを倒すことだ。」
「フフフ、おもしろいやつだな、アンノーンゲートを開かせたのもそれが目的か。」
「カタストロフが私の目的を満たすにはそうした方がいいとね。」
「どうして俺を頼るのだ。」
「カタストロフにいわせれば見定めたいらしい。」
「見定める?」
「そう、本物をね。」
「フフン。で勝つのは我々だと、ロットでもハウレスでもなくて。」
「いえ、そういう戦争の結果ではございません、カタストロフはゼヴァスという悪魔をえらく嫌って
おります。あやつはある人物の青い理想を受け継いだ青臭い連中とともに破壊の力を戦争を止
めるために使おうとしています。
一方クリスは純粋な破壊の化身、どちらが勝つのか、それでカタストロフの進む道が決まるので
す。」
「いいだろう。戦力アップは俺にもうれしい相談だ。」
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