吉田精肉店

第二十八話意地


自分は司令官だ。
その名を受けたとき自分は誉れ高かった。
部下を守る。自分はそれを至上命令だと心に誓っていた。
上司の命に逆らってでも・・・。

ある惑星を侵攻中のことであった。
自分はゴット様に初めて逆らった。
その星の住民たちは強力で力押しの作戦は危険であった。
部下を大量に失うことになる。
しかしゴット様は自分を早くこの第1192星系へ侵攻に参加させる必要があった。
悪魔の登場である。
悪魔の登場によりニーズヘグとノーヴィスという二人の副官を失ったゴット様は、自分を必要とし
た。
だが自分は部下のためこの星を去るわけにはいかなかった。
そのために力押しで攻め部下を失う気もなかった。
のろのろとした自分に怒り心頭のゴット様は直接自分のところへこられたのだ。
「貴様・・・、なぜまだ私のところへこないのだ。貴様の力と軍団を持って総攻撃をかければこん
な星などさっさと落とせるはずだ。
なぜそうしないのかね。」
冷静なゴット様が怒っておられる。
それほどの敵が・・・。
「総攻撃は危険です、我が軍の被害も甚大なものになります、今のプテロットたちは疲労してい
てとてもそれに耐えれません。」
それを言い終わらないうちにゴット様はエナジーセイバーで私の腕を切ったのだ。
自分の腕は焼け切れ地面に当たって鈍い音を立てた。
「次は首だ・・・。私のいうことを聞かぬジャンクなど必要ない。」
ゴット様は本気のようだった。
「かまいませぬ。ただ部下たちはどうか・・・。」
「・・・。」
「どうか・・・。」
沈黙・・。
「愚か者め。」
「・・・。」
「貴様は使える・・・。殺しはせんよ、こんな星の侵攻は後回しだ。
貴様のように有能かつ部下に信頼を置かれてるものを置く価値などない。
貴様にもっとふさわしい腕をやろう。
そしてふさわしい地位もだ。
全宇宙の軍団を集中させる必要がある。
”ヘヴン”にな。」


守ったはずの部下たちは今墜ちていった。
怒りが身を支配する。
だが冷静になれ・・。
クリスの繰り出す見えない攻撃。
部下たちは突然爆発して墜落した。
見るに機雷に当たった感じにそっくりだった。
だが空中機雷らしきものは捕捉できない。
見えない機雷でもあるのだろうか?
「さっきから押し黙ってるけど?考え事かい?
青空がこんなに近いと物思う気分になってしまうのかな?」
そらはいつも晴れだ。
青空を見るとうきうきした気分にはなる。
だがこいつの見えない攻撃の方が気になるのだ。
試してみるか・・。一か八かだ。
ゴット様にもらった新しい腕、その先端にある機銃で自分とクリスをつなぐ線を攻撃したのだ。
クリスはよけようともしない。ならば当然クリスに当たるはずの銃弾は、”何か”にぶつかって誘爆
を起こした。
その銃弾が通った道をすかさず前へ進んだ。
クリスの見えない”何か”はもうない。
近づいてくる自分に対してもなにもクリスはしなかった。
いや”しなかったように”見えた。
自分の副椀はクリスが撃ってないようにごまかした右の二番目の砲塔から出た”何か”をはじい
た。機雷の時から怪しいと思っていたがビンゴのようだ。
こいつの能力は見えなくする能力。
自分のすべての腕がクリスをつかんだ。
「やれやれ、ファントム・イリュージョンを破るとはな。」
まだ余裕をぶっこいているクリスにとどめを刺そうとした。
「無(ゼロ)へと還れ、カトンボ!!!!サーティーンゼロ!!!!!」
すべての砲塔が自分を向いた、気づくと自分は墜ちていった。





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