吉田精肉店

第二十七話魔王

それは解き放たれた。
地上など下郎の利用するもの・・・。
このクリスは天に君臨すべきなのだ。
俺はアルミューレに利用されている。
それでいい・・。
まだ独り立ちは無理だ。
だが・・・計画はできている・・。
俺が魔王となるための・・・。


「敵の反応があるプテ。」
「こんな上空にか?」
それを聞いていささかアシュタロンは驚いていた。
自分たち航空仕様の機体ならいざ知らず、悪魔にこんな高度の飛行が可能とは思えなか
ったからだ。
そしてそれはもう視認できるところまできていた。
「シクシクシク。」
そいつはわざとらしい泣き真似をしている。
やや大型の悪魔に見える。
「何が悲しいんプテか?」
とめきちが芸のないつっこみをした。
ほかのプテロットたちは黙っている。
「何が悲しいってそれはねえ。生まれて初めてであった人たちがもう俺のこと忘れちゃ
うからさ。」
要するにぶち殺すぞてめーらでいいのか?
「さっさとかかってこいプテ!」
プテロットたちが叫ぶ。
だがそいつは嫌らしい言い方で答えた。
「かかってこいって?馬鹿なこといっちゃだめだよ。それだと”まだ勝負が始まってな
いみたいじゃないかぁ”。」
返事をする暇などなかった。
爆音。
すべてのプテロットは墜落していった。
「おや?まだ堕ちないやつがいるねえ。このクリス以外は地面を這いつくばってればい
いのにさぁ。」
「貴様・・・・自分は貴様を絶対に許さないプテ!!!」
アシュタロンは素になった。
あいつだけは死んでもゆるさん。

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