吉田精肉店

第二十五話狼狗

ゼヴァスとヘレバルスはまっすぐに二人を見据えていた。
まず口を開いたのはヘレバルスだった。
「何をしている、おまえたちの相手は俺たちだぞ?」
ヘレバルスの迫力に二人は威圧された。
「我輩も殺す気でいくと、おまえたちは聞いたと思ったがね。」
ゼヴァスの意外な発言にザーゴンは背中に冷たいものを感じた。
そのときだった!!無数の悪魔とロットが周囲を囲んだ。
突然のことに驚いてるザーゴンにノーフィスがささやいた。
「さっさと逃げるぞ腰抜け・・・。」
そうかこいつの能力・・。


「理不尽、これが戦争か・・。」」
ノーフィスがつぶやいている。
「弟は殺され、親友と戦わなければいけない。そして殺したいやつと組めだと!?」
「・・・・俺は・・・・。」
「どうした・・・?」
「俺はやつを・・・ゼヴァスを殺せといわれていた・・・。」
「とんでもないくそ野郎だな、近づいたのもそのためか・・・。」
「そうさ、おまえのいうとおりさ。ゼヴァスにいわれたことがある、おまえは命惜しさに大悪魔の飼
い犬になっているとね。」
こいつ・・・。
ノーフィスは今までにザーゴンの立場で考えたことなど無かった。
殺せといわれたものの看病をして殺すチャンスなどいくらでもあったはず。
本気でゼヴァスを心配しているようにしか見えなかった。
「私は将来のために貴様を殺した方がいいのか、ヘレバルスとかいう悪魔はどうしたものか。」
「安心しろ、ヘレバルスはほかの悪魔のように外道ではない。
破滅的な戦いは好んでいない。
俺は外道だがな・・。」
「一つ聞きたい?なぜ死のうとする?」
「?」
「いきたいから自分を押し殺して飼い犬に成り下がっていたのではないのか?」
「もう飽きたのだ、ロットいや・・・ノーフィス。」
「ザーゴン・・・・。」
「さあ・・・。」
「ふざけるな!!!それでノーヴィスが報われるのか?ノーヴィスを殺したのはおまえではな
い!!!この悪魔戦争だ!!!
貴様が飼い犬生活に飽きて命を捨てるならその命、私によこせ!
このふざけた悪魔戦争をぶち殺すために使ってやる!!!」

「さて逃げるのは終わりかな?」
ヘレバルスがいった。
ヘレバルスが構えた。王覇滅殺剣だ。
ノーフィスにめがけてその必殺剣を放った。
あまりのスピードにノーフィスは対応できなかった。
重力を吸う。
ヘレバルスが木刀を使っているのには意味があった。
生命を介在してその重さを吸い取り自分のものにできる能力。
”むどう”とは軽くなった相手をとばすという技であった。
これはその逆。
自ら軽くなり超高速の一撃を繰り返す。
軽量になった彼の体を筋肉は容易に運ぶのだ。
それは決まった。
だが・・・。
違和感。
ノーフィスいや岩にヘレバルスはくっついて離れない。
ザーゴンとノーフィスの能力の連携・・・・。
「ヘレバルス!!」
「どこを見ている・・・。」
背筋がぞくっとした。
「俺を見てなきゃ意味がないんじゃないのか〜?」
「くそ・・・。」
「俺は・・・ハウレス様に貴様を殺せといわれた・・・。」
ゼヴァスはこれを覚悟していた・・・。
ザーゴンを連れてきたときから。
「だが・・・それは飼い犬だった頃の話だ、オオカミとなった俺はハウレスをかみ殺す!!!」

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