吉田精肉店

第二十四話能力


ある意味それは才能であろう。お互いに意見のかみ合わない三人に同じことを思わせたのだか
ら。
気まずい沈黙・・。
最初に口を開いたのは唯一悪魔でないもの、ノーフィスだった。
「こんな、くそったれヤローと組めるかよ。それに敵であるあんたの言うことなんて聞く必要はな
いッ。」
「まぁ、そう思うのも問題ないがねぇ、俺は彼らの元上官だ、彼らのことを思ってだからねえ。」
ヘレバルスはノーフィスの言葉に応えるとゼヴァスを抱いて飛んだ。
「ザーゴン、てぇぬくなよ、”俺たち”はおまえらを殺す気でいくからな。」
「そんな・・・。」
「そうだ。俺だけ能力が割れていないからいっておいてやる、俺の能力は重力吸収と重力増加
だ。」
ヘレバルスは軽々とゼヴァスを持ちながら谷の向こうへ消えていった。

「あんた一体何を考えている?」
ゼヴァスはずっと頭に抱いていた疑問をいった。
谷底に着くとヘレバルスは、ゼヴァスを降ろしいった。
「もう大丈夫なのか?」
「?」
思わぬ発言にゼヴァスは面食らった。
「あのときは調子に乗ってすまなかった、君をそこまで傷つけるとは・・・。」
「・・・・。」
「あの二人・・・・。あの二人は本当にお互いに憎み合っているのか?
この前みたときとは異質なものを感じた・・・。」
「・・・。」
ゼヴァスは未だ沈黙している。
「あのときはね、戦いにおける決着のみが彼ら二人への救済だった。
しかし・・・、傷ついた君をみたとき彼らは変わった。
俺は償う、君にな。君は自ら選択し我を通した。
俺は君を心底尊敬している。ヴィシュヌ様や俺に逆らおうとも自分の正義を最後まで・・・。
そこでだ、君の親愛なる親友たちを救おう。」
「こんなことが救いになると・・・。」
「奴らは一度真剣に話し合うべきだ、これは試練だ。
そして・・・、君がさしのべた最後の蜘蛛の糸!」
「でも・・。」
「俺が信頼できないというのなら君に俺の背中を預ける、いつでも殺すがいい。」
「そんなことが・・・。」
「できる!君の新しい能力はすでに大悪魔クラスだ。」
・・・・新しい能力?

「いってしまった。」
ザーゴンは二人を見ながら独り言のようにつぶやいた。
「離れるぞ。」
「追うぞではないのか?ロット?」
「それは貴様を始末した後でだ、悪魔。」
「・・それはいいアイディアだ。まねさせてもらうよ・・・。」
ノーフィスは吹っ飛ばされた。
「おいおい、すでに俺たちは近親憎悪に陥ってるんだぜ、N極どうし。」
ザーゴンは地面と”反発”してノーフィスに追いついた。
しかし目の前にいる”はず”のノーフィスの声が後ろから聞こえた。
「そういえばてめえのくそくだらねえ能力のことを忘れてたぜ、
だがまさか私の能力のことを忘れたわけではないだろうな?」
「誤情報送信ッ。」
ザーゴンがいうか言い終わらないうちにザーゴンは大岩に向かって吹っ飛ばされた。
「グフッ。」
「ずいぶんとまァお間抜けな声を出してくれたなァ。これでお別れだ、ノーヴィスの怒りを知
れ!」
ノーフィスのブレードが振り下ろされた。
しかしザーゴンに当たったのは石だった。
「地獄の目・・・?」
思わずノーフィスは後ろを振り向いたがそこにその目を持つ親友はおらず夜の闇が広がるだけ
だった。
ふと・・・大岩が割れた。
目の前に二人の悪魔が現れた。
顔を元に戻したノーフィスはつぶやいた。
「クレヤボンス・・・。」
ゼヴァスが答えた。
「その通りこれが、ヘルズクレアボンス(地獄の透視)だ!!」

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