吉田精肉店

第十六話復讐

ザーゴンは星を見ていた。
こんなに醜い自分にも夜空は美しい姿を見せる。
それが惨めさをいっそう深くするのである。
「どうしたんだい、ザーゴン君?」
ヘレバルスが声をかけてくれた。
「ゼヴァスやカインみたいに俺も無界から出て行けば俺は苦しまなくてすんだのでしょうか?」
「それはわからない、君が出て行けば俺は一人残されてしまうわけだろう。それに君もハウレス
様の敵になってしまうよ。」
「ですよね。」
ザーゴンはため息を吐いた。
白くなった吐息は美しくザーゴンをいっそう深い闇におとした。


「見えてきたプテよ。」
プテロットのとめきちが知らせてくれた。
「まあ、我輩はわかっているがね。」
ドリブはお気楽で見ていられない。
ノーフィスはどうというと何かおかしかった。
「おいどうしたのだ?」
「プログラムエラー、質問には答えかねます。」
人工知能は集中しているようで、応答を自動に任せているようだ。
向こうを見ると誰かが手を振っているようだ。

「お〜い。こっちだよ〜。」
ヘレバルスは手を振っていた。
「さっきからどうしたのです。」
ザーゴンはたずねた。
「ゼヴァスが着たんだ。」
「何ですって!?」
ついに覚悟を決めなくてはならないのか・・・・。
でもなんでこの人こんなにお気楽なんだ。
本当に大悪魔か?
「ゼヴァスちゃん、おっ久しぶり〜。」
いまだ親友であるかのようにヘレバルスはいった。
「お久しぶりです、ヘレバルス様、・・・・ザーゴン。
ヴィシュヌ様に会わせて頂けないでしょうか?」
えらく丁寧だな・・以前では考えられない・・・。
「ごめん、ゼヴァスちゃん、それには答えられない?かわりに遊んでいくか?」
ひどい違和感を感じた。
その機械生物・・。
以前と似た殺気。
「・・・・殺す。」
ノーフィスの剣がザーゴンに振りかざされた。
これで死ねる・・・。
だがノーフィスは弾き飛ばされた。
「何をするのだ!!ノーフィス?」
ゼヴァス・・・、君という奴は。
ノーフィスは立ち上がりながら答えた。
「復讐だ・・・。ノーヴィスの復讐だ!!!
弟はこいつに殺された。ブラックボックスで確認した!!!
こいつだけは・・・こいつだけは・・・・。
殺す!!!!!」
いいだろうこれが神の定めた運命ならば受け入れよう。
さようならゼヴァス・・・・。

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