吉田精肉店

第四章黄昏のトーア帝国

サイキ


ネオ・マタ・ヌイ・・・・帝国の首都にして、現存する最古のメトロ。
かつてこの地に聖タカはマトランを率いて植民しマタ・ヌイ帝国を築いたという。
現在は栄華の影を残しながら、塔は錆び、道にはコケが生え人影はない寂れた首都になって
いる。
もはや、都市に残っているのは皇帝とそのつきのものだけである。

帝国!!最強の名をほしいままにした神に愛された千年王国!!
だが、辺境より着たりし怪物”テトラ”!!!
ヴァキのごとく忠実でヴィソラックのように恐ろしく、ボロックのように群れてラクシの強さを持
つ。
王ラヒよりはるかに強力な彼らは各地のエフェクテッドやトーアを殺しながらこの地へやってき
ている。
ネオ・マタ・ヌイの住民たちはこの地から逃げ出したのだ。
そこへ一人のトーアがやってきた。

『陛下!!!お逃げください。この地は危険です。
辺境へ出かけてガ王閣下は行方不明になられたのですよ。
きっとあの怪物の仕業です。』
皇帝は部下の顔を見ながら行った。
『余は逃げぬ。どこへ逃げよというのだ。
余はあのプレーン島でのことはゴレンの陰謀であろうおもうのじゃ。
おそらくプレーン島と余の帝国がぶつかるのを見越してな。
やつを選んだ余がうつけであったわ。
神の意思と聞いてしたのじゃがのお。
余もにぶったわい。
そのせいでレ王国とタ王国はプレーンに行くといっておる。
そして、テトラというあれも余の帝国を弱らせ混沌の次代を再びなそうというのか。
今ここで逃げれば、余の帝国は死に絶える。
そのときはダークネス・ロードの天下じゃろうて。』

そこへ一人のトーアが来た。
皇帝は聞いた。
『おぬしは誰じゃ?』
そいつは答えた。
『神の遣わす最強兵だ。』
そういうと皇帝に近づいた。
皇帝も玉座から立ちその男に抱きついた。
『陛下?』
『あ、おまえまだいたのちょっと向こういってろ!!!』
明らかに様子が変わった皇帝を不審がりながらでていった。
『久しぶりだな、クル。元気だったか?』
『今の名前はサイキだよ、レキをもじってね。マリス。』
『今のおれはもうマリス(悪意)じゃないよ、ペノーヴァレンス(善意)だよ。』
そういうと二人は笑いあった。







エクジコウ



太陽は傾き赤い光が帝都を包んでいる。
じわりじわりと影と闇が迫り世界の行く末を暗示しているようだ。
クルとマリスいやペノンは玉座の裏側にまわっている。
裏から冷たい声がしている。
”どうした皇帝よ?心惑わしたか?このマタ・ヌイとあらそおうというのかな?”
『マタ・ヌイさんよおできるんもんならテトラを止めてみな。』
”私は事前にそれを察知しプロトデルミスを使いトーアを増やしたのだ。
テトラ化はマトランだけだからな。”
『テトラに襲われるのも、トーアですよ、我が神?』
とクルが皮肉気に答えた。
『帝国を使って世界を支配しようとしたが、失敗するとすぐに捨てるか。
相変わらずだなエクジコウ!!!貴様の野望はこれまでだ!!!!』
”愚か者は何年たっても変わらんなあ。ははは。しばらくマタ・ヌイの名を騙っていたが実に不
快であったわ。どいつもこいつも我をあがめるが、それはマタ・ヌイに対してなのだ。我こそが
神だ。我が名は越神皇帝エクジコウ!!!!
マタ・ヌイを越える闇の神マクータの同胞である!!!”
銀の液体があふれ出し何本ものの触手が固形化した。



















銀色の液体が玉座にあふれその上には青白い怪物が・・・・。
『マタ・ヌイに与する愚かな魔王よ、せめて我が一部となって悔いるがよい。』
エクジコウの触手が脈を打ちながら迫ってくる。
クルは跳んでかわし、持っている大剣でその触手を切り裂いた。
妙な触感がする。水のような。
『無駄無駄無駄!!!!!我が肉体はプロトデルミスによって具現化しておる。
つまり!!!!攻撃はすべて無効になるばかりか、貴様らの体は溶け我が一部になるのみ
よ!!!』
プロトデルミスが波打ちペノンたちに覆い被さろうとしている。
『クルううううううう、エウドウは死んだ、おまえもついて行けー。』
エクジコウの言葉にクルは耳を疑った。
『まさか・・・・・?』
その隙を逃がさずエクジコウはクルに狙いを定めた。
『危ないぞ!!!レキ!!!!!!!』
ペノンはレキを蹴り飛ばした。
そしてエクジコウはペノンを包み込み・・・・。
『マリスーーーーーーーーーーーー、レキじゃ無いっていっただろう!!!』
『俺も・・・マリスじゃねえよ。』

消えていく意識の中・・・
冷たい声がする・・・・。
”マリス・・・いや・・ペノーヴァレンスよ・・・
貴様はこの程度では無かろう・・・あの我が兄の名を騙る凡愚などに・・・
負けるものか・・・・
少々・・・しゃくだが・・・我は・・・貴様に兄ととも力を・・・・
授けよう・・。
転生の時は近い・・・。もうすぐ終わるのだ・・・・。
黄昏の最終トーア闇のトーア・アブソリュート神の遣わす最強兵よ。
エクジコウを倒し、見るがいい我の目指した転生を・・・・。”


『ははは、これでひとり!!!!!我は貴様らアブソリュートを吸収し、
夜明けの神となるのだ。そのときこそ、星の海へ出でて、
故郷へと帰りマタ・ヌイを倒し復讐を遂げるのだ!!!!』
クルの体は少しずつ溶かされ動きが鈍くなっている。
『さあ、終わりだ!!!貴様らはマタ・ヌイが我を倒すため送られてきた刺客だ。
それを逆に利用してやる!!!!
なんて愉快なんだろうか!!!
がははがっははは・・?うん???なんだあああああああああああ?』
エクジコウの腹がうごめいている。
『?』
ドバアアアアアン

金色のトーアが姿が現れた。

マクータの姿とマタ・ヌイの力を持った神の遣わす最強兵が!!!
エクジコウの体は飛び散り、消滅した。
『では、我は神の玉座へと参る。』

この日皇帝は帝国条約を失効、群島帝国は解体された・・・。


ヘイト


時を前後して・・・・。プレーン島。
二人のマトランが語り合っていた。
『ペノンはどこいったんだろうね。俺の役目は終わった代わりがきたから。
今度は攻める番だ。とか・・。』
とグルタがいった。
『・・・・・・・・。』
『それにしても、カーズさんが言ってたけど、帝国の王たちって僕らの島のトーアなんだね。な
のに攻めるのを防げないなんてだめだね。』
『・・・・・・・』
『ボリオ?』
『ごめんちょっと向こう言っててくれないか?』
『ん・・・ああ。』

『ボリオどうしたのかな?』
『テトラ化のことでしょう。これについては私たちにも責任の一端がある。』
『カーズさん。いったいあなたたちはこの五年間、何をしてきたのですか?』
『それは、アブソリュートの誕生秘話にも迫るの。この世界には4000年前まで、
王ラヒという大型ラヒの支配する世界でマトランなんていなかったの。
この世界は一人の男の避難地だった。エクジコウという名の男。
そしてその男はこの世界にマトランをさらいネオ・マタ・ヌイという世界を作った。
この世界を彼が選んだわけはね・・・。
この世界には三分されたマクータの魂があったの。彼はそれを復活させマタ・ヌイを倒すつもり
だったのね。でもそれは分割された個々の魂が個性を持ちネオ・マクータになったから駄目だ
った。
だからそれぞれと盟約は結べてもネオ・マクータにマタ・ヌイ侵略の意図はなかった。なぜなら
ここに無垢なる世界があるから。
一からマクータの世界を作ったのね。
でも何度もそれに失敗したエクジコウはその態度に憤りを感じた。
だからネオ・マクータと組んでいるふりをしつつ吸収するつもりだった。
だけど今度の帝国は限りなくうまくいっていた。
それはね。彼を倒すためにマタ・ヌイがつくった新しいトーア”アブソリュート”がつくられて
いるのを知りその強さも知った彼はそれを帝国の結束に利用しようとし成功したから。
でもやがて我々は彼の正体に気づいた。
向こうも感づいていたらしいわね。
急に帝国を捨て最終兵器をつかうつもりだわ。
”神の玉座”を・・・・。』

『ああ、この体・・、元には戻れたけど次になったら・・・。
どうしよう。怖い・・。自分が怖い・・・・。
この憎悪こそが恐ろしい・・・。
たくさんの同じ憎しみが・・・。トーアへの憎しみが・・・。
南西のほうに向かっている。』
”どうしたおまえはいかないのか?”
”おじけづいたか?”
”ヴァイス様の言うことが聞けんのか?”
冷たい声が頭にこだまする。
『やめろやめろ・・・。』
『どうした、ボリオ?頭でも痛いのか?』
『ヘイトさん・・・。』
『何か悩みでもあるのか?』
『ヘイトさん、なぜここに?』
『俺はおまえが悩んでいるて聞いたからな。
憎しみにとらわれるなとは言わない。だが、トーアへの憎しみとは曖昧で不確かなものだと思
わないか?
おまえがにくいと思うトーアも・・・馬鹿にしているトーアも・・
尊敬しているトーアもいるだろう。
ひとくくりのレッテル貼りの愚かさを知らないわけではないだろうか?
おまえはいくら変わろうとも俺のおまえに対する態度は変わらない。
テトラの呪いにとらわれようともおまえが望むなら俺はおまえと隠遁しよう。
戦え!!!自分の義務を見つけろ!!!
テトラすら自らのものにしてグルタを守っていくんだ!!!!』



”神の玉座”は月の裏からの神の思念を感じ取り起動を開始した。
プレーン島の中央より球体が姿を現した。
駆動音を出しこのような信号を送った。
『カミノコウリンマデアトスコシ。』
”神の玉座”はプレーン島にあったのだ!!!!!

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