吉田精肉店

第七話
大脱出

目覚めてみるとベットの上だった。別に拘束はされてはいない。自由にお帰りくださいといった
感じだった。
だがやはり見張りはいた。氷のアブソリュート、へヴンだ。奴もかなりの能力をもっているに違
いない。部屋中を凍らせるとか・・。お話ぐらいはしてくれるのだろうか?
『あのう、へヴンさん?』
『気がついたようだね、なんだい?』
『あなたの御仲間のヘイトが行ってたあいつって誰か心当たりがありますか?』
『御仲間はよしてくれよ。わたしは中立だ。』
『ならなんでヘイトを?』
『私の敵、闇の大王の末裔を完全に葬り去るため。』
『ダークネス(闇の)・ロード(大王)・・ですか?』
『そのとおり、奴が本当に死んだはずならばこの世界分離は終わるはずなのだ。わたしは今度
こそ奴を倒し、このプレーン島を元に戻すのだ。そのためには下手にヘイトをダークに近づけ
てはいけない。奴とダークは組んでいる。そのことをヘイトが知ってしまったら・・。話を戻そう
か。あいつとは多分、水のアブソリュート・カーズだ。』
意外な名前が出てきた、ダークネス・ロードだとしかもダークと組んでいる。あの腹黒さを考え
ればありえない話でもないが、まさか・・。そして・・プレーン島?島とは何だ?ここは無限平原、
地平の向こうまで続く砂漠に囲まれた六つの村じゃなかったのか?
『わたしたちは、奴の送り出す敵と戦いながら、恐るべき事実を知った。かつて世界には恐る
べき闇の力をもった闇の大王がいたこと
そしてわたしたちの祖先はわれらの神の教えし三つの美徳を持ってその脅威を克服した。だ
が闇の思念は消えず、闇の大王の化身とも言うべき闇の怪物が再び世を覆い尽くした。奴ら
の教えこそ美徳に反する悪徳。そのひとつを司るものがある時わたしたちの島を襲った。その
ものこそがダークネス・ロード、今の戦いを裏で引き起こした悪魔だ。奴はみづからの闇のマス
クの能力で世界からこの島を分離した。独り占めするためだ。闇はわれらと違い団結を知らな
い奴ら自身で争ってくれたから祖先は何とかすることができた。だが闇の力は強力だ。一人の
ほうが良い。ゆえに最初はそれを受け入れた。われらにはアブソリュートという英雄がいたか
ら・・。ほかの島を見捨てて。わたしはそれが許せない・・。神の教えを忘れた愚かな民、それ
がわれらの祖先。だからわたしはエクソダス(大脱出)と称しこの島から出て闇を根絶やしにす
る。それがわたしの宿命だ。そんなわたしの心も知らず運命は進み、ついに最終決戦。そのと
きだ、無敵とも謳われたアブソリュートに欠員が出たのだ。奴の攻撃から、ヘイトを守りカーズ
は死んでしまった。カーズを慕っていた二人、ダークとヘイトは悲しみにくれた。彼女をなくして
みて本当にわたしたちは彼女に依存していたとわかった、アブソリュートはばらばらになった。
所詮わたしたちも敵と同じ団結もできない愚かな生き物。・・・・そしてヘイトは反乱をおこした。
なぜだかわかるかい。ダークはカーズを失った悲しみから支配欲に取り付かれ闇に落ちた。・・
とヘイトは思いダークをこの手で打つことがダークへの友情を示すことだと考えている。だが実
のところダークは、ダークネス・ロードと組んでいる。カーズを殺した奴と・・・。
それをヘイトが見たら、どうなる。彼は怒り狂い奴にとっては理想の肉体となり、究極の力と憎
悪を持った闇の神が再誕する。』
『じゃあこの戦いは意味がないじゃないか?』
『そうだすべては奴の手の内だ。そのために君には働いてもらいたい。真の平和を望む君に。
そのための力を得させるために、エウドウとグリンの親子、に会わせるために。』
そこにはトーアとツラガがいた。
『よう、俺は岩石のアブソリュート・エビル。おまえの親父だ。グリンって言ったほうがいいか。』
『は・・・?』
『だから俺はのろいであんな姿にされたけど、ヘイトをごまかすにはちょうどいいからそのまま
でいたの。』
なにいってんのこいつ・・?
『どうやらお客のようじゃぞ。』
そとはてきにかこまれていた。



雑感
闇の大王を無理やりやくした話
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