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有効薬室容積とは、
ブライマーが発火された時に薬室内に存在する総合計の空間の容積で、
装填された薬莢の内側と外側に存在する。 従って、ケース内容積は、有効薬室容積や薬室容積とも一致しない。 有効薬室容積は、薬室内に入り込むケースの金属体積量や弾頭侵入体積量の変化に左右されるので、
一発一発が常に一定ではない。
薬室容積とは、 その名の通り銃身に加工されているタマを込めるところの薬室部内の空間容積。
どの部分が薬室部に相当するのか、については、 一般的なボルト式ライフルでは、ネックとショルダーの境目あたりからボルトの先端までの円筒状空間とおもいますが、
本件の場合はネックの部分にも空間が広がる場合が起こるのが特徴で、いままでの一般的装弾では起こることが少ない
形の事も通常起こる形であり、
有効薬室容積は同じケースでも弾頭の取り付け方によって変わってきます。
薬莢金属部体積 薬莢(ケース)を構成する金属の体積。(重量ではない) 同じ種のケースの場合、金属成分が同じなら、 軽いケースの方が有効薬室容積が増加するという事になります。
弾頭侵入量 ネックに取り付けられる弾頭底部がネックを通り越してショルダー部に入り込み、さらにボディー部にまで押し込まれる 等の事は、弾頭の仕様やスロートの状態や取り付け方により、さまざまな量を伴って起こってきます。 このネックとショルダーの接点からボディー内に侵入してきた弾頭体積の事です。
一例として、 3006で同形のソフトポイント弾頭を採用したとした場合、150グレンの弾頭と180グレンの弾頭では長さが異なり、 180グレンの方が当然長くなり、ライフルランドの位置は一定なのでケース内に押し込まれる量が多くなり、 その増加分だけ有効薬室容積が小さくなるという関係になります。
有効薬室容積を取り上げる意味。
火薬の発生圧力は、同質の同じ火薬量でも発火時点での入れ物の容積の大小で異なる圧力変化を起こす関係にある事に理解を
進めたいためです。
例えば5ミリリットル程度の小さな密閉容器にがちがちに詰め込んだ火薬を発火させると、行き所の無くなったガスで一瞬にして 爆発状態になりますが、その同じ同量同質の火薬を200リットルのドラム缶に入れて火を付けても発生ガスが圧力を大きく 上昇させるまでに至らずシュッと燃えてしまうだけで終わってしまいます。
この場合、発生圧力は発火時点での入れ物の内容積との関係が有ることがわかります。
銃の場合は、薬室容積との関係で発生圧力変化がきまり、弾頭を送り出す時がどの圧力なら適当なのか、 という関係から火薬量を選定する事になります。
また、弾頭のお尻も発火時点では容器の壁の一部ですし、ここの壁のみが外に向かって移動出来る 容器ですから、同じ火薬量でも弾頭の侵入量の変化は容器の初期容量の変化になりますので、これが変化すると 発生ガス圧の時間的変化が変わり、弾頭を押し出す圧力が変化しますので、加速条件がかわり、結果として初速 が変わる事につながるという事になります。
大ざっぱに云うと、 同質同量の火薬で、少しではあるが、小さな方の容器から弾頭をスタートさせる場合と、 大きい方の容器から同じ弾頭をスタートさせる場合とでは送り出すガス圧に違いが出るということです。
この事は、弾頭の侵入量と発生ガス圧との関係を考慮しなければならない重要な要素となります。
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