1999年「風−V」
数年前都内から狭山に引っ越した。
茶畑と野菜畑が見渡せる。 冬の寒い朝は富士山がくっきりと見える。
都会で生まれ育った義母が「私をこんなところへ島流しにして・・・・・」と嘆いた新天地・・・・・・。
ある日、そんな畑の中の狭い道をあるいていた時のことだった。
両脇の畑には人の背丈を越すほどの、トウモロコシの様な葉が生い茂り、細い道をふさがんばかりだった。
でも私はそこを通るのがとても嬉しかった。
田舎育ちの血が騒いでいたのだろう。
風の強いある日のこと、葉っぱのトンネルをくぐると、突然頭の中に、風小僧がやってきた。
顔は見えないが後ろ姿の風小僧はとってもかっこう良かった。
髪をなびかせ、風を前進に浴び喜んでいた。
私はますます嬉しくなった。その風小僧さんには版画では、
郷里のれんげ草畑へと行ってもらってこの3点となった。
いつか顔を見てみたいが、後ろ姿のままの方がかっこういいかもしれない。
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