1983年「アシュラ」(年賀版画) | |
桜の板に始めて彫った年賀版画はあの興福寺の阿修羅を模したもの。 私の一番好きな日本仏像と言ってもいい。 細身でスマートだがよく見れば非常に短足で胴長である。 あの腰から下のズボンのようなものを取ったらあまりの脚の短さに驚くことだろう。 ところが、その短さがこの像の一番の魅力ではないか思うのだ。 全体からみたら、この短足のバランスが実によく、とても美しい。 短足だから重心がより下にあり、安定感がある。静で気品のある安定感だ。 上半身に六本の手と三面の顔がありながら、あの安定感は あの下半身があってのバランスだ。 以来私は短足も好きである。 要するにバランスがよければ、長かろうか短かろうが太っていようが 痩せていようが関係ないということだ。つい彫刻を見る目になってしまった。 阿修羅とは怒りの神と言うが、それにしては、余りにもこの像は静かだ。 わずかに額にしわを寄せた顔に怒りの表情があるが六本の手は左右対象で暴れてもいない。 もしこの像に怒りを込めたのなら、それはどこにあるのだろう。 もしあるとしたらこの像の下半身、お腹の内にあるのかも知れない。 それほどに凛として静な美しい像である。以上は興福寺の阿修羅について思うこと・・・ |
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