特定非営利活動法人日本インディーズ音楽教会
music style Interview 2007 11月号
インタビュー ソンコ・マージュさん
△いつもお元気で健康でいらっしゃいますが、健康法を教えていただけますか。
ソンコ 僕は、あと少しで73歳です。健康なのは、食事じゃないでしようか。肉は食べずに、魚を摂るようにしています。
 それと大切なことは、自然のものを加工しないで食べるということだと思います。例えば、納豆や豆腐は醤油をかけて、山芋は擦って、何でもそのまま食べるということです。だから、手を掛けた調理なんてしないんですよ。まあ、子供の頃からそういう食生活が習慣になっていますから、私の母親もそうですね。地方の貧しい田舎に住んでいましたし、それがしっかり身についています。食生活を変えろと言われても、変えられないですよ。外国人に向かって、納豆を食べろと言っても、なかなか食べられないのと同じで、そうして育った人はそれで十分なんですよ。
 日本人は草食人種でしたから肉食ではない分、欧米人より癌になり難くいって言われてましたけど、今は違いますね・・・。
△そうですね。そう言われると日本人の食生活は変わりましたからね。それでは、アマチュアのアーティストにメッセージをお願いいたします。
ソンコ 僕は、アマチュアというよりプロに言いたいことがります。プロ全体に、ということではありませんが、「プロとしての資質」の欠如した人が増えてきたということです。
 僕は、アマチュアの万が一般的に優れていると思っています。精神面においてもそうです。というのは、プロよりアマチュアの方が哲学を持っているように思うからです。
 芸術全般そうですが、音楽の根底には変わらないものがあると思います。
 人間が理性のある生き物である限り、絶対にその本質は変わらないのと同じです。僕は、音楽の本質を追求し続けたい、そう思っています。
 これまで私自身、有名になる機会はたくさんありましたが、それには乗っかりませんでした。なぜなら有名になることより、もっと大切なことがあると思ったからです。それは、自然からのメッセージを受け止めて、それを発信していかなければいけないということです。音楽家は発信する義務があるんじやないかと思います。
 「こんなのを作ったら流行るんじやないか」などと、商業ベースで音楽を作っていたら、いずれ流行らなくなります。そこに、哲学が必要ではないでしょうか。
 自然が発するメッセージを翻訳して発表するのが、アーティストの役割、義務だと思います。自然はいつも無言で発しでいます。それを感知できない人は、しょうがないですけど。
 一生懸命技術的なスキルを磨いても、それは雑用に近くなり、音楽からは遠くなります。要は、心のアンテナを磨かなくてはいけないのです。
 僕は、多くの国に行っていますが、こんなに殺人や自殺が多くある国は珍しいです。この国は、愛が薄れてしまっているのではないかと、嘆かざるを得ません。
 僕は、音楽家という立場で生きていますから、音楽を通して、愛とか寛容性とか、平等性を特に訴えています。心のなかで思っているだけでは駄目で、体現しなくてはいけないのです。形に表さなければいけないのです。音楽で人々の心に訴え、愛で満ちた世の中になればと、精力的に音楽活動を続けています。
僕は、あえて「芸術家」といいます。芸人じゃないです。芸人とは、プロダクションのいいなりになっている、プロダクションが有利に働くように活動するのが芸人だと思います。芸術家は違います。芸術家は自分で考え、自分で判断し、自分で行動します。これができなかったら、またできなくなってしまったら、芸術家ではなくなり、芸人になってしまいます。ですから、まず「自分」、「個」というのがないといけないのです。そういう意味でも、常に自分自身を磨かなければいけないと思っています。
 これは、僕の言葉ではないのですが、ある哲学者が「アーティストは時代の現象に敏速に反応して、それを伝える義務がある。だから極めて政治的な存在である。」と言っています。
 しかし、この言葉を商業ベース主義の音楽家に言っても、なかなか理解してもらえないのではないでしようか。ただ、それはそれで娯楽性があっていいとは思います。しかし、音楽芸術とは少し距離があるように思います。精神性においてもまた、大きな違いがあると思います。
 いずれにしても、アーティストは音楽の持つ本質的な部分で、芸術性を追求していかなければならないと患います。
 娯楽のなかの音楽、芸術のなかの音楽。この世の中にあって、アーティストは今、真剣に考えなければならない時ではないでしょうか。
 僕はユパンキから難しいテクニックをもちろんたくさん教わりましたが、技術というよは、“ユパンキのヒューマニズムの弟子”だとも思っています。
どうもありがとうございました。ソンコ・マージュさんの音楽た対する考え方や取り組み方がよく分かりました。これからも頑張ってください。
※5時間にも及ぶインタビューで、音楽の持つ力と芸術について熱く語っていただきました。書き切れないことがたくさんあり、改めて掲載する予定です。