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第一回  羯諦ソンコ・マージュ・コンサート 2002.11.09   但馬国 出石 羯諦の間  
ええっ! 本当にソンコ・マージュがやってきた。   

 2002年2月、岐阜は長良川河畔、篠田暢之先生(私の哲学の師匠)宅の魚眠洞でソンコ・マージュ先生の演奏を聞き、自分が再び学生時代を思い出してギター演奏を再開すること、但馬の人々にもソンコ・マージュ先生の演奏を聞いてもらいたいこと、アタウアルパ・ユパンキもけっして日本ではメジャーではないが一度はその音楽をまたその心をユパンキの唯一の弟子であるソンコ・マージュ先生を通して聴いてもらいたい、などなどで篠田先生にお願いして拙宅でソンコ・マージュ先生のコンサートを計画しました。
 篠田先生とソンコ・マージュ先生との深い友情と、私と篠田先生との師弟関係で我が家で始めてのソンコ・マージュ先生のコンサートを開催することができました。コンサート当日、姫路駅新幹線改札口で待っていると、遠くからギターを抱えたおじさんが手を上げて「おおーい、先生」と大声で言いながら改札口に近づいてこられる。周囲の人々が振り返るのを気にしながら私も自然と手を上げていた。本当にソンコ・マージュ先生が来てしまった。姫路から一時間半、車の中でソンコ節(まったく休むことなく、人の話を聞いているかいないかわからないが、とどまることなくしゃべり続けることを私はソンコ節と呼んでいます)を聞きながら出石に到着。何故、コンサートが文章になるのか、疑問符を投げかけられる方も多いと思います。東京でも岐阜でもコンサートでこんなにおしゃべりになるソンコ・マージュ先生はみたことがありませんが、羯諦の間ではコンサート2時間のうち演奏時間は45分で残りはおしゃべりです。何故なのかは解っているようで解りませんが(多くの事を伝えたい、今の日本を何とかしたいというお気持ちからでしょうが)おそらく羯諦の間に来ていただける間はこのようなコンサートが続くと思われます。また、この辛口のトークが好きでお見えになる方もおられるようですが。初めて我が家のホームバーにお入りになって、1998年に撮った草柳大蔵先生の写真を見て、
「あ、草柳さんだね。ここに来たの」
「1998年と1999年に二度お出でになりました」
「俺、草柳さんと思い出あるんだよ。パブロ・カザルス知ってるでしょ。チェリストの」
「はい」
「そのカザルスの随想を一緒に書いたの。こんど送ります」
縁は異なものといいましょうか、世の中って狭いですね。草柳先生は私の兄と出石の静思塾の関係で年に一回は出石においでになっていました。我が家のホームバーにもお寄りになり、いつもバランタイン30年をロックスで2杯飲まれ、周りのものをその独特の語り口で楽しませていただきました。今は故人になられましたが、そのときの私が撮らせていただいた笑顔の写真が今もバランテイン30年の瓶に掛かっており、私たちを優しく見守って下さっています。

プログラム

第一部
トリステNo.4 TRISTE No.4 演奏
こおろぎのサンバ ZAMBA DEL GRILLO 演奏
インディオの挽歌 PASTRAL YNDIA 演奏
トリステNo.5 TRISTE No.5 演奏
愛のサンバ LA AMOROSA 演奏
マランボ        MALAMBO 演奏
ペレスカルドーソの祈り  ORACION A PEREZ CARDOZO 演奏
哀しいタバコ   演唱 POBRECITO MI CIGARRO 演唱
ガト GATO 演奏
夜の祈り         PARA REZAR EN LA NOCHE 演唱
さすらい者 演奏 PAISANO ERRANTE 演奏
第二部
おじいさんの歌No.1  CANCION DEL ABUELO No.1 演奏
おじいさんの歌No.2   CANCION DEL ABUELO No.2 演奏
主よ人の望みの喜びよ CANTATA DE BACH #.147 演奏
鳥の歌           CANTO DEL PAJARO 演奏
インディオの道   CAMINO DEL INDIO 演唱
やるせない寂寞   LE TENGO RABIA AL SILENCIO 演唱
マラゲーニャ MALAGUENA 演奏
コンドルは飛んでいく EL CONDOR PASA 演唱
アンコール
恋する鳩の踊り    DANZA DE LA PALOMA ENAMORADA 演奏

第一部
 ○トリステ No.4 ○こおろぎのサンバ ○インディオの牧歌 ○トリステNo.5 ○ 愛のサンバ○マランボ
 ○ペレスカルドーソの祈り 以上七曲連続して演奏。
 歌を歌います。私の先生のユパンキはタバコが好きでした。そんなに吸わないほうがいいといいましたが、最後は心筋梗塞で亡くなりました。それぐらい好きで吸っていました。僕も吸っていましたが止めました。外国は健康に悪いと書いてありますが、日本は書いてないですね。肺癌の発生率は吸わない人の三倍だそうです。先々週も僕の親友が肺癌で亡くなりました。これでタバコは完全に止めました。○哀しいタバコ ○ガト ○夜の祈り ○さすらいの者
 いま世界は全面的にカオス状態になっています。世界を歩くと「平和はいったいどこにあるのか」と歌いたくなります。それで「夜の祈り」をやりました。日本は安穏で平和ボケと外国からいわれています。大陸では歩いて国境を行き来しますが、日本は島国で海があったために侵略をうけませんでした。蒙古の大群が来ても大風が吹いて飛んでしまいました。陸続きの国は簡単に侵略されます。これからますますテロは起きると思います。やはり異文化に対して大国が等価値であるという認識、それがないと確執が起きると思います。
 ここにおられる篠田先生とは長いお付き合いです。先生は哲学を専攻されておられますが、これから重要なのは宗教でも何でもなくて哲学です。哲学というのはなにも大学にいって学ぶことはありません。「人間がいかに生きるべきか」「人間が理性ある物体としていかに生きるか」これが哲学であります。僕は一昨年、富士通の富士システムの社長と雑誌でミレニアムの巻頭言を書きました。かたや富士通、かたやソンコ・マージュ。富士通はIT革命の騎士、ソンコ・マージュはアンチIT革命ですからね。その記事に、近いうちにアメリカに必ずテロが起きると書きました。そしたら翌年の9月11日にボカンとやられました。その記事の内容が当ったわけです。僕は知っていたわけではありません。やはり世界を俯瞰してみますと、必ず起きるのではないかと思っただけです。アーバンな世界が自分の価値観をおしつけるというのはいけないですね。別に僕はアフガニスタンを擁護しているわけではありませんが、砂漠には砂漠の生活があります。アーバンな都会的な生活だけが優れたものだと思っているのが間違いです。だから確執が生まれるのです。あれは宗教戦争ではありません。宗教は関係ありません。イラクは主権国家です。主権国家であるのにバクダッドの上空に自国の制空権がありません。アメリカが制空権を持っているのです。では、アメリカの上空にイラクの制空権があったらアメリカはどうするでしょうか。そのようなことでは世の中通りませんね。それで大量殺戮兵器はアメリカが一番たくさん持っています。それをイスラム圏は反対していますが、われわれも黙っているのはおかしいことです。この辺で休憩しましょう。 第一部終了

第二部
 ○おじいさんの歌No2 ○おじいさんの歌No1 ○主よ人の望みの喜びよ ○鳥の歌
 これ100円の眼鏡です。卸値35円。だからみなさんが何万円の眼鏡を掛けていても100円にしか僕には見えません。国際競争力、今おそらく日本は落ちているでしょう。この国はもうだめですから、文化力で対抗しましょう。我々のテクノロジーだけではだめで文化でね。僕はインド人をこう良く見ると浅黒い顔の奥に聡明さを感じるんですよ。頭がいいと思っていたら、やっぱりいいですね。ゼロという概念を世界で初めて持ったのはインドですからね。アメリカのIT産業の企業でもインド人が多いね。あまり上には出世できないけれど、テクノクラートはほとんどインド人です。シリコンバレーあたりですね。そのシリコンバレーのICも現在作れば作るほど赤字になっています。賃金の安いアジアに奪われてるんですね。いまやアウトソーシングです。
 フランス、ドイツ、イギリスの国会議員の年収は700万円前後です。日本2300万円とその他で3900万円。アメリカは日本の半分。アメリカより日本のほうがお金貰っています。アメリカでは社長が莫大な金をとっている。そのかわり社長だと威張っていても成績があがらなかったら翌年は平社員です。今まで日本は完全雇用制で伸びてきました。カナダの優れた社長は日本の完全雇用が一番いいと言い始めています。日本はそれ止めていこうとしています。日本を見習って、靴脱いで家に上がる習慣もできてきています。日本の良さが外国で見直されてきています。見直してください素晴らしい日本の文化を。僕みたいに西洋にいっているから西洋かぶれだと思われるでしょうが、向こうへ行くと日本の良さが本当にわかるのです。だから行ってみたほうがいいと思います。でも三日や四日じゃだめだよ。三日や四日では、パリは素晴らしいといって帰ってくるだけです。少々長くいってください。
 皆さん新宿あたり歩くと頭が痛くなって帰ってくるでしょう。こっちに帰ったら二、三日で治るでしょう。それぐらい排気ガスで大気が汚染されています。排気ガスの除去装置がありますが100万円ぐらいします。そんな値段ではだれも買いません。それを石原都知事が全部つけろといったけれど、100万円じゃ誰もつけてくれません。ディーゼルを廃止したことはいいですが、もう我が家も環八なんかもディーゼル車が、ガガッーと来て女房の頭がおかしくなってくる。ほんとに空気が悪いのです。何回も言うようですけど自然秩序を良くしないと社会秩序は良くなりません。水の濁っているところは人間も濁っています。
 このような混乱期になったらば見直すべき一つの思想があります。アニミズム。アニミズムというのは樹でも何でもすべての物に精神が宿るということを考えて生きないと人間だけが優れているものではないという思想です。みんな生物ですから、みんな生きてるわけです。だからたとえば医療の問題でもウイルスをたたけばたたくほど、向こうだって生命体ですからね、ウイルスだって殺されてたまるかって強くなる。その悪循環でどっちが強いかといったら絶対ウイルスのほうが強いから、薬の乱開発はやめたほうがいい。そうすれば土壌菌とか何億年もかけてできたものを今薬で破壊してるんですからね。そういうものが何10億年もかけたこの食物連鎖とか循環を人類があっというまに、ここ何10年間で壊してしまいました。だからエイズやエボラ出血熱のウイルスは、アフリカの一部分にあっただけで、ほんとに狭いエリアで生きている生物です。そこを荒らしてはいけない。ひいてはアメリカがアフガンを攻撃する。こないだアフガンの映像を見ました。屋根もないところに住んでるのをぼかぼか蜂の巣のように攻撃して大山鳴動して鼠一匹とれないんですよ。オサマビン・ラディンを逃がしました。この愚かさ。
 インカ帝国、「演歌に似ているのでエンカはインカだ」これは当てになりませんが。五音階。ペンタトニクスといいます。音階が五つしかない。これがインカの歌なんです。かなりこれはヨーロッパ的になっています。インディオというのは、最初は南米の下のほうに住んでいましたが、だんだん北上して、最後はエクアドル、ペルーあたりまでインカ帝国が支配しました。南米はほとんど席巻しました。でその初期のインディオの歌を歌います。インディオの道。これはパチャママという大地の神。これはもうアニミズムです。神様は大地なんです。偶像は崇拝しないんです。偶像なんか崇拝するから、生き神さんがとんでもない悪い事をする。アニミズムというものを台頭させないと、この世の中はますます加速度的に悪くなります。いま風前の灯だけど、世の中を良くしないとほんとにとんでもないことが起きます。みんなわかんないんですよ。何故か。
 これディテールを申し上げましょう。60代の人は少なくとも5、6千万円の金を持っていると思います。みなさん持ってますね。東京の人は1億ぐらいはみんな持っていますよ。こちらに携帯電話、もう一方にタバコを持っている若い10代の女の子に、「電話代いくらかかる」と聞くと5万から6万、ひどい人は10万ぐらいといいます。どっからお金がでているか?親から5万、足らない分は全部売春ですよ。濟先生が専門医だから聞いてください。若い女の子が、クラミジアとかゴノコッケン淋病を持っている。もう僕なんかいろんな町を歩いて女が「おじさん」「俺は、おじさんじゃない、まだ38だ」というんです、もう頭へきているからね、もう全部誘いです。若い10代の女の子が金がないから電話代が払えないんですよ。親はリストラにあって途中で職を失う。そんな人が、毎日一人づつ電車に飛び込むんですよ。飛び込むところは決まってるんですよ。そこで中央線で1日に1人づつ死んでいる。自殺です。ぜんぶ50代。借金して家を買った。会社首。会社潰れた。東京はそんなのばっかりですよ。
 こっちは自然があるからね、芋食っていたって生きてられますけど。私のところは猫の額の土地ですからね。もうお金がなかったら明日死ななければならないんですから。東京はそういう貨幣経済で生きているんです。だからやはり自然は重要だと思います。人間も自然の一つですからね。それほど大きな存在でないと思って生きないと、こういう結果になるんですよ。罰が当たったんですね。みなさんには当たってないけど、都会に住んでいる人はみな罰があたった。年間3万4千人の人が日本では自殺するんですよ。それも50歳代の人が子供を残して自殺するんですよ。世界一。第三世界だって死にませんよ。この間、中東の人に聞いてみたら、「そんな死ぬ暇はない、一生懸命働かなくちゃならないから」「もともと貧乏だから死ぬなんてそんなこと国民全部死ななきゃならない」って怒られました。日本人は精神力も弱いんだろうけど、いままで過保護だったことも影響しているんでしょう。それで結論つけますと、日本の国はもう終わりました。この国は御名御璽。では皆さんどうしますか。デフレはますますはびこります。土地や家は買わない。僕は近所に不動産屋が一杯あるから、濟先生のとこみたいに50人ぐらい入れるような広間が欲しくて家を買い換えようと思っていったら、ソンコ・マージュさん今買わないほうがいい、家が二軒買えるぐらい土地の値段が下がるといっていました。野菜なんかみんな向こうから来る。今、政府ガードしたから来ないけれども、いつまでも抑えていられないから来るでしょう。そして百姓は干上がる。そしてまた土地は余る。余れば土地は安くなる、土地が安くなればますます不良債権は増える。そういうロジックの悪循環でしょう。もう終わりだからね。せめてソンコ・マージュのギターでも聴いてあの世へいってくださいね。
 それともう一つ大事なことは資本主義の終わりが今始まったんです。もう資本主義は終わりました。では社会主義になるか。なりません。社会主義がだめでロシアも崩壊しました。中国もかろうじて標榜していますが、やはり体制は資本主義です。資本主義も、社会主義もだめ。じゃあなにがあるか?それに代わるものは人間中心主義です。しかしそれができるのに50年はかかる。その前に地球が滅びるか、人間が滅びるか、どちらか。
 ○インディオの道○やるせない寂寞 ○マラゲーニァ ○コンドルは飛んでいく
アンコール
「恋する鳩の踊り」DANZA DE LA PALOMA ENAMORADA。これを僕が「さかりのついた鳩の踊り」と訳したらレコード会社に怒られました。ENAMORADAという形容詞がついているから、さかりがついたとなるのですが。外国語はちゃんとダイレクトに訳さないとだめなんです。そんな綺麗ごとではすまないんです。それが外国語のいいとこなんですよ。日本はきれいすぎますけどね。さかりがこないと鳩はクックルクックル鳴かないんですよ。伴侶を呼んで、伴侶を求めて、ククルククククルククパロマ、パロマククルククククルククと鳴くんですね。日本にはいろいろな擬声語があります。日本の鳩はどんな風に鳴くのかといわれたので、ぽっぽっぽと鳴くといいましたら、ばかこけといわれました。だから日本と外国とでは物の泣き声はみんな違うんですね。 ○恋する鳩の踊り               コンサート終了