秋風が窓を叩いている。
何枚かの落ち葉が風と一緒に窓に当たり、そして、落ちていく。
あたしは、窓から外を見ていた。



見ると、その瞳はうっすらと濡れていた。
「どうした?何か怖い夢でも見た?」
あたしはわざと子供に言うように言ってみる。
「ねぇ、そっとでいいの。ボクの手を、握って……」
放課後の保健室で、彼女はそう言って布団の中から片手を出した。
「………」
あたしは黙って頷くと、彼女の手を取り、包み込みように両手で握った。
熱い。
そして……。
「で、満足した?」
「えっと……う、うん……一応」
少し顔を伏せながらそう言うと、布団を頭から被った。
まったく……可愛いなぁ(^^
手を放すと布団から出ている彼女の頭を見ながらあたしは立ち上がった。
「やっぱ、冷えてきたなぁ……もうじき冬、か……」
保健室を出ると、冷たい風が廊下を駆け抜けていく。

教室に戻る途中でふと両手を見た。
「まだ、あったかいなぁ……」
握った手の温もりがまだ手に残っている。
自分でも何でか分かんないけど、笑みがこぼれた。
「よしッ!」
勢いを付けると、あたしは教室までの廊下を走り出した。
途中、廊下を走るなと言った先生の声が聞こえた気がしたけど、まぁ、気にしないことにしよう。
僅かに切る風邪が気持ちい。
そんな秋の何でもない一日。
だけど、なんだか、なんでだか、気持ちはうれしがっていた。何かを。