ソレは、3年前のこと……。
「神谷さん!できましたよ!」
少年はそう言いながら、一人の白衣姿の男の所へベルトのような物を持って走り寄った。
「ン?ああ、双十君、また何か作ったのかい?」
「はい!」
少年は奏魏双十、白衣の男は神谷一郎。杜若朋春の経営する科学研究所の所員である。
「コレは……まさか、君は……」
「何か?」
神谷は奏魏の手渡したそれを手に取ると両眼を見開いた。
「ま、まさか……“ライダーベルト”!?」
「え、神谷さんも知ってるんですか?30年以上も前から続くのに決して表に出ない歴史の“彼等の闘い”を」
生き生きとした―― しかし、何処か影のある目をして奏魏はそう言った。
「……それじゃあ……君も……だが、どうして……アレは、彼等のことは封印された歴史のはずだ」
「ああ、そうなんだ……じゃあ、封印は解かない方がよかったか?」
そう言うと、部屋に一人の少年が入ってきた。
杜若湧輝である。
「湧輝君、君が……?」
「ああ、俺がな……ちょっとオヤジの資料見てたらあったんだよ。人じゃねぇモノと戦う兵器がな……面白そうだから双十に造ってもらったんだ」
「面白そうって……まさか、まだ実験とかしてないだろうなぁ?」
「え、ええ……まだそこまでは……」
「そうか。ソレは良かった……なら、今すぐにコレを壊すんだ。こんな物は此の世にあっちゃいけない……君たちはコレをどんな物と思っているか知らないが、コレは人間の人体改造の核となる物なんだ」
†
「そう、父がそんなことを……」
「はい……」
「だけど、君は結局その人体改造を行ってしまった。湧輝君という親友の身体を使って」
「………なにが……」
「え?」
「何が言いたいんですか?」
「別に……ただ単に、あたしも知っていたのよ。ライダー達の歴史を。でも、父に止められ、ライダーを造ることは出来なかった。ソレを君がやったのが少し悔しくてね。その上、人体改造をしなくても変身できるこんな装置まで作っちゃって……ホント、脱帽よ」
「そんな、俺は、ただ……」
「昔話はそのくらいにしておいて貰おうか」
「龍……」
「静戒さん」
「作戦会議を始めるぜ、日本を、いや、最終的には世界を救うためのな」
†
「――以上が、内容だ。質問はあるか?」
「あの……」
「何だ、双十」
「静戒さんが戦うって……“霊力”って、言うのでですか?」
「当たり前だ」
「でも、ソレじゃあ……」
「不服か?確かに俺はライダーじゃねぇ……だがなぁ、湧輝の改造や、お前のツール以外にも変身する方法はあるんだぜ」
「へ?」
静戒の言葉に、思わず声が出た。
「ま、論より証拠だな。着いて来いよ」
そう言うと、静戒は部屋を出て屋上に向かった。
ソレに続く奏魏。
「いいか、よく見てろよ」
言いながら、静戒は空中でリボンのような形を描き出した。
「神・両・烈・流・界……面聖、四肢変臨!」
呪を唱えると、辺りの空気が熱くなり静戒の周りを赤い空気が包んでいく。
「ハァァァァーーーー…………変身ッ!!!」
叫ぶと同時に赤い空気が一気に凝縮し静戒の元に集まっていく。
「どうだ?コレが、俺の………変身だ」
次の瞬間、声と共に見せた姿は、FLASHやFGのソレに類似するものだった。
「か、仮面、ライダー……」
暫く沈黙が続いた。そして、ソレは奏魏によって破られた。
「そう。コレが俺の変身したライダーだ。もっとも、コレは単なる鎧だ。守備は上がるが戦闘能力そのものには特に大きな変化はない。まぁ、つまり俺はこの姿をしなくても、もっと動きやすい鎧も作れるって言うわけだ。具現化って言う手法、解るな?」
ソレに黙って頷く奏魏と神谷。
「つまりはそう言うことだ。精神力である霊力をイメージを元に身体の周りで定着させる。コレを応用すれば俺が普段使っている剣が出来る。それに、こんなコトもな……」
そう言うと、印を組み、ゆっくりと空気を揺らした。
と、静戒の全身が黄金に輝きだし、光が止んだとき、ソコにはFLASHがいた。
「湧輝!?」
思わず叫ぶ奏魏。
「いや、俺だ」
再び印を組み、そう言うとFLASHの装甲は静戒のソレへと戻っていった。変身を解いたのだ。
「コレが、霊能力さ」
ニヤッと笑ながら静戒はゆっくりと立ち位置を変えながら言った。
「さて、それじゃあ……行くか?双十……バカ共を殺りによぅ!」
言うが早いか、静戒はそこから飛び降りた。
場所は警視庁の最上階 ―― 屋上である。
†
捜査本部は、事実上の凍結状態にあった。
「斎藤さんは?」
「南極」
「は?」
「南極にいっちまったんだとよ。で、この捜査本部も事実上の解散。まぁ、名目上の形は残しておくらしいけどな」
そんな捜査員達の会話が幾つもの箇所で聞かれた。
「それじゃあ……」
「普段通りの……所轄の仕事をしろって」
「身勝手にも程があるんじゃねぇのか?」
「文句は本店に言えよ。もっとも、言っても一切聞き入れられねぇだろうけどな」
「そりゃな……」
「けどよぉ、事実上解散なのに、なんで実質は解散しねぇんだ?」
「お金……みたいよ」
そう応えたのは高木だった。
「高木さん……」
「ウチの上がね、余計な出費は出せないんだって……だから、所轄にって。ホント、悪いとは思うんだけど」
「い、いえ、高木さんに言ってもらわなくても……」
「………あ、そうだ。そんな状態だけど、会議室だけは使えるようにしておいて。龍も私も残るし、何よりも敵がいるんだから」
†
「着いて来いよぉ、双十ぃ!」
ニヤッと笑ながら静戒は地上めがけて真っ逆さまに落ちて行っている。
「まったく……それじゃ、神谷さん……俺も、行ってきます」
「ええ。私も出来るだけのことは調べておくわ。冥界だかに捕らわれている戦士達のことを」
「はい………変身ッ!」
ベルトをはめ、ポーズを取り叫ぶ。そして、その全身からまだ光が引かないうちに奏魏も飛び降りた。
†
『何だ、この邪魔者は?』
『霊能者だそうだ……』
『霊能者……祠祭師ではないのか?』
『二千年の昔に我等の邪魔をした者達か……』
『そうだ、祠祭師……“ヒミコ”』
†
爆音が連続して起きている。
「――ったく、冗談じゃねぇぜ……」
静戒は毒づくと爆煙をかいくぐりながらマシンを飛ばした。
爆発を起こしているのは………?
「静戒さん、いったい何が起きてるんですか!?」
後を追うFG。
「あのなぁ双十、お前が解んねぇことを俺が判るわけねぇだろ?」
「そりゃ……そうかも知れないですけど……」
「けどよう、敵がやってるパーティーの始まりってのは……確かだろうな」
嬉しそうな声が聞こえる。
『そうさ!』
どこからか声がした。
「来たか?」
「そのようですね」
「殺るぞ」
「はい!」
『パーティーは嫌いじゃなさそう、だな』
「ああ、大好きさ。派手なほどにな」
言う龍の手には既に真紅の剣が握られていた。
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