「じゃあ、湧輝、改めて自己紹介でもするか?」
「必要はないと思うが……ま、そうだな……お互いあんま知らねぇ仲だしな……ンじゃ、龍、お前から」
「何でそうなるんだ……」
「いいからやれよ」
「お前なぁ、そもそも目上の者に対する言葉遣いってのがなってねぇんじゃねぇか?」
「それはお前の方だろ?俺はお前の上官だぞ」
「この際階級何ざどうでもいいだろ。大事なのは年だ」
「ンじゃあ、結城さんが一番上じゃねぇの?何つったって、50年前から来たんだからよう」
「そんなこと知るか、いいか――」
「あの、高木さん……済みませんけど、静戒さん、止めてもらえます?俺は、湧輝を何とかしますんで……」
「え、ええ……」
二人で言い合いを始めてしまった、杜若と静戒を呆れ顔で見ながら、奏魏と高木はそう言い頷いた。
その様子を、静かな目で、特に関心もないように結城だけが見えていた。
「龍!」
「湧輝……遊んでいるなら、お前は追いてくぞ」
「ほら、龍も子供じゃないんだから」
「まて幸香、こういう馬鹿なガキには教育が必要なんだ」
「誰が馬鹿だ、お前みたいな無駄に年だけ食ってる大人に言われたかぁねぇよ」
「ンだと、テメェ!」
「いい加減にしろ!!」
やめようとしない二人に、奏魏の一括が飛んだ。
「湧輝も、それに静戒さんもやめてください。ほら、湧輝、お前から自己紹介して」
「……双十……まぁ、いいや。下らねぇ言い争いしてもしょうがねぇからな」
「下らねぇのは――」
「龍!」
「湧輝……」
「ああ、悪い。ンじゃ、改めて……」
言いながら杜若は、黒い革の手帳を取り出し、表紙を開きながら自己紹介を始めた。
「警察のでいいよな……警視庁刑事部民間特殊機関捜査部科学捜査課、杜若湧輝、階級は警視だ。警察内の手の回らない部分をサポートするために設けられた民間を主とする機構の捜査員だ……これでいいか?」
「ああ、静戒さん達にはその方がわかりやすいだろう……じゃあ、次は俺が……杜若と同じ部署で、杜若の親父さんの残した研究所を一応管理してます。で、ちなみに階級は巡査部長です。まぁ、それも仮みたいなもんですけどね。ご存じの通り、一度入ったときの階級からは、厳密には公務員ではないので、上がりませんしね……」
「解った、じゃ、次は俺だな。警視庁刑事部捜査一課強行犯係、巡査部長、静戒龍。これでいいか?」
「はい。じゃあ、次は、高木さん……」
「ええ。龍と同じ部署の警部補です。簡単だけど、コレでいいわね?」
「はい。えっと、じゃあ、結城さんもいいですか?」
「そう言われてもなぁ……俺はこの世界の人間じゃあない……まぁ、構わないが……結城丈二……元デストロンの科学者だ……いいだろう、このぐらいで」
「あ、はい……」
デストロンという言葉に顔を強ばらせた結城を見て奏魏はそう言った。
「じゃあ、このメンバーでの今後の動きを決めます。いいですね?」
†
『遊びが過ぎるぞ……酷憐……早々に始末しろと言ったはずだが』
『惡紋様、お言葉ですが、赤と緑のライダー――V3は処分しました。黄色いライダーはいつでも消せます。より強い力を叩くのが先決かと……』
『……確かに……だが、FLASHの力を侮るではない……ヤツにはまだ何か隠された力がある……私の感に間違いはない』
『……ハッ……次こそは必ず……』
そう言うと、酷憐は気配を消した。
『相変わらず甘いのね、惡紋』
『朱離嘩……可愛い手駒を愛でて何がいかん?』
『別にいけないなんて言ってないわ。ただ……あの娘、消されるわよ』
『それならばそれだけの者というコト……愛で、誉めもするが……初戦コマはコマなので……』
『まぁ、それもそうね。あ、そうそう、あの娘が失敗したら、あたしの子を遣らせてもらうわ』
『私は構わんが、銀牙老はいいのか?』
『銀牙老にはちゃんと伝えてあるわ』
『そうか、ならば好きにするがいい』
そう言い終えると、惡紋もその気配を消した。
『ウフフ……楽しい遊び道具は、すぐに壊しちゃつまらないものね』
†
「奏魏君、悪いが俺は少し席を外させてもらう。何かあったら、連絡をくれ」
突然結城は立ち上がりそう言った。
「……あ、はい……」
その心情に何があるのかは判らないが、奏魏は快諾し、他に誰も声を上げなかったために、結城は中座していった。
「なら、まずは表立って報道もされてる、一課に回ってきたヤマから始めようぜ」
結城が家を出て行ってから、しばらくした後、龍は、先の人間蒸発事件のことを指し、方針をそう示唆した。
「ま、それが無難だろうな」
杜若もそれに同意する。
「なら、それでいいだろう」
「あ、すみません。先にこちらの戦力の確認をしたいんですが……」
奏魏は、より現状をしっかり理解しておくために、そう提案した。
「まぁ、そうね……あなた達の、変身能力。その力がどれほどのものか確認しておきたいわ」
「ま、そうだな。俺や幸香にはそんな力はねぇからな」
「そうか?なんなら、改造してやろうか?龍」
「いや、ご免被ろう。一応だが、人間の方がまだいいんでな」
「そっか。まぁ、いいや。って、いっても……戦力ねぇ……俺と、結城さん、だけだろ?」
「なぁ、50年前から何年かいた、他の仮面ライダー達はどうしたんだ?」
そこで、静戒がもっともな疑問を上げた。
「彼らは……今、冥界にいる……南極のブラックホール現象、知ってるますよね」
「あ、ああ……まさか、アレも奴等の仕業だって言うのかよ!?」
「ええ、そうです。その時に駆け付けたライダー達は、その穴に吸い込まれてしまいました……」
「マジかよ……」
一時、その場に暗い雰囲気が立ちこめた。
が……。
「まぁ、いいんじゃねぇの……俺等の時代だ。俺等でどうにかしようぜ……」
杜若の言葉で、沈黙が破られ、気持ちは、向上していった。
「そう、ね。と、他には戦力になるモノはないの?」
「ええ、一応は……しかしまだテスト段階でして……」
奏魏はそう言うと、アタッシュケースと一つ取り出した。
その中から取り出されてのは、大きすぎるバックルのベルトと、小型の無線機のようなモノだった。
「コレは?」
何の気無しに手に取った高木は、奏魏に尋ねる。
「FGコンバーターです……」
†
「風見……」
杜若の家の近くの人口の森――自然公園を、結城はその機械の右腕を握り歩いていた。
「どうせ一度失った命だ……俺が……俺が行くべきだったんだ」
『そう自分を責めることはないさ……逝くのが早いか遅いかだけの話だからな……』
すぐ真後ろ。
そこに、そうくぐもった声が聞こえた。
「クッ!」
振り向きざまに結城は拳を声の主に叩き込む。
『甘いな、ライダーマン……』
しかしそれは空を突くだけだった。
「デビル……」
『そう。我が名は獄憐(ごくれん)、酷憐の兄だ……』
「酷憐……?あの爆弾魔のことか」
『爆弾……そうだな。人間で言うところのそう言った物だな……ま、実際にはかなりの違いがあるが……そんなことはどうでもいいだろう……それよりも、話しの続きだ。殺すぞ!!』
獄憐の右手が結城の腹に向かい、その途中で爪が異常に伸びた。
「何っ!!」
驚嘆しながらも、それを紙一重で躱す結城。
『フ……まぁいい。どうせ一撃で殺ろうとは思わん……変身しろ、ライダーマン』
「…何…いいのか?」
『人間をつぶしても自慢にはならんからな』
「後悔では済まないぞ……」
『勝手に吠えろ』
「ヤアッ!」
両手を挙げて、掛け声を上げる。
結城の手の中にライダーマンの変身ツールであるヘルメットが現れ、それを装着したと同時に、ヘルメットの中から全身を覆う強化スーツが現れた。
それに身を包むと――そこにいたのは、ライダーマンである。
「行くぞ!」
ライダーマンの右手には、アタッチメント――ロープアームがセットされていた。
それを見た獄憐は、満足そうに笑みを浮かべると、戦闘体形に入った。
握られた片腕は判らないが、もう片腕の手の爪は指の倍程度も伸びている。その爪を地面に突き立てた。
「――ッグ!!」
獄憐の突き立てた爪を起点に地面に亀裂が走った。
と、同時にそこからまるでマグマのような赤い線が噴き出した。
「ッツ!!」
とっさに腕のロープを伸ばし、近くの木に体を飛ばした。
木に着いたと同時に、アタッチメントを交換し、獄憐に放つ。
「ネットアーム!!」
アームから発射されたネットは、獄憐の頭の上から覆い被さり、その動きを封じた。
『……下らんな……』
呟きが聞こえたとき、ネットは獄憐の周囲で炸裂した。
「――ッ――!?」
何が起こったか解らないライダーマン。
『我に酷憐と同じ力がないと思ったか?』
「……そう言うことか!」
獄憐はネットが全身に着く途端に、全身から爆発物のような物を出し、ネットを微塵に爆発させたのだ。
『お前達の言うところの火薬量は勿論調整してある。我に被害は来ないようにな』
「……面白い技だな」
ライダーマンはうっすら笑みを浮かべながら、アタッチメントを交換する。
『面白い、か……』
「ならばコレはどうだ!ライトアーム!!」
ひょうたん型のその先端から光線のように光を放射した。それは言ってしまえば発行ライトのようなものだったが、目つぶしには十分だった。
『グッ!!』
思わず両眼を閉じる。それは一瞬でもあれば十分だった。
その隙に、アームを取り替える。
「マシンガン・アーム!!」
僅かな間に獄憐のすぐ前に近づき、その顔に銃口を密着させる。
「消し飛べ……」
トリガーを一気に絞ると、銃弾が開かれていた獄憐の口の中を中心に発射された。
『――情けないね、アニキ……』
「ぐわっ!」
声が聞こえたと共に、吹っ飛んだのはライダーマンの方だった。
そして、獄憐の顔には傷一つなかった。その代わり、もうもうと煙がその周囲を覆っている。
それが晴れたとき、そこには、獄憐、そして酷憐の姿があった。
『アニキ、このくらい防ぎなよ』
『ああ、少し遊びすぎたな』
『ところで、この前のボウヤは?』
「き、貴様……酷憐!」
『フフフ、何を焦っているの?……まぁ、いいわ。貴方と遊んであげる。本当はあの赤と緑のライダーがよかったんだけど、死んじゃった見たいだからね』
「V3は、死にはしない!仮面ライダーは不死身だ!」
『そう?なら、また逢う時を楽しみにしてるわ』
「黙れ!」
再びトリガーを引こうとしてその銃口を見たライダーマンの顔が一変した。
「コレは!?」
その銃口は先の爆発に巻き込まれ既に原型はなくなっていた。それはただの不可思議に変化した鉄の塊だった。
「まだだ!」
暴発を閣議の上か?
ライダーマンは走りながらトリガーに指を当てた。
その瞬間は、敵二人の直前に来たときである。
「ダメだ!結城さんッ!!」
その声に、ライダーマンは、トリガーから指を放し、魔物二人は振り向いた。
『何処だっ!!』
月並みなことを言いながら、獄憐は声の主を探す。
「ここだぁ!」
声は上から聞こえた。
「トウッ!」
掛け声と共に、地上に飛び降りたのは、見たこともない姿の者だった。
しかし、顔の中心の大きく付けられて複眼が、それが仮面ライダーであることを物語っていた。
が、全身がカラフルに配色されたそのボディは過去の戦士のどれとも当てはまらない。
『仮面ライダー……?』
『なの?』
獄憐、酷憐は疑問を上げている。
しかし、ライダーマンの頭の中には一人の戦士の名が浮かんでいた。
その名は――
「FG(エフ・ジー)!」
ライダーマンの言葉に、そのすぐ横に向かって跳びあがる。
「結城さん、大丈夫ですか?」
「……ああ、済まなかった……が、いいのか、杜若君達は?」
「アイツは今家で静戒さん達と戦況を整理してます」
「そうか……しかし、FGはまだテスト段階のはず……装着して大丈夫なのか?」
「はい。問題ありません。それよりも……今は……」
言う、FGの視線の先には二人の悪魔が立っていた。
「そうだな……なら、殺るか……」
「はい!」
「チェーンジアタッチメント!スウィングアーム!!」
「フォームFG・青龍!!」
ライダーマンの腕には、サッカーボール程度の鉄の球体が。
FGの全身は蒼い光に包まれ、次の瞬間、金の角を持つ、蒼き龍の力を持った戦士になっていた。
「仮面ライダーFG・青龍!」
構えを取るその型から素手を主体とする戦士のようだ。
「行くぞッ!!」
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