#4

襲刀
「湧輝、デビルだ!」
「ッチ……俺は先行く。双十、悪いけど、DEVILのこと話してやってくれ!」
杜若は叫びながらヘルメットを手に取ると、外に飛び出した。
「おい、キミッ!」
慌てて後を追おうとする結城。
「あ、まってください。あなた方には、もう少しここで話を聞いてもらいたい。幾ら戦力になると言っても、状況も何も解らないままで、戦っては下手をすれば足手まといになるぐらいは判っているでしょう?そんなことも判らない方達とは思えませんから……」
「……解った。結城、もう少し話を聞こう。デビルとは何なのかを」
「………そう、だな。すまなかった」
「いえ。それでは、あまり時間もないので、手短に話します。デビルとは……」



古の時代。
世界は一つだった。
霊界、神界、生界(人間界)、魔界、冥界。
それらは、一つの世界に混同していた。当然、神や魔、そして生ある者も同じ世界にいた。しかし、それまで大きな力を持っていなかった生なる者の力が増大した。人間の誕生と進化である。
そのため、一計を案じた神々や魔物は自分たちの世界をそれぞれへと隔離した。
そして、その五界が生まれた。
しかし、その為に、その後の争いは絶えなかった。他の世界も手中に収めたい。そう思う輩は次々と現れ、その都度戦いが行われた。
神と魔、霊と冥、神と冥、魔と生………。
そして、その中の一つ、冥界が、生界に戦闘を仕掛けた。



「まるで、聖書のような話だな」
「はい。しかし、これが真実です。デビルと名乗る集団は、冥界の者達です」
「冥界、か……解った。それじゃあ、行くか結城。この世界のライダーと共に戦う為に」
「そうだな」



「ライダァーパァーンチ!」
FLASHの拳が相手の胸部にめり込んだ。
が、それでもそれは動じることなく、ただFLASHを見ているだけだった。
「はぁはぁ……なんで、何もしてこない。しかも、何も効かない……」
『まぁ、所詮その程度と言うことなのだよ。仮面ライダー』
その声は、FLASHの攻撃した相手の者ではなかった。
空間の何処かから響く声。
「だ、誰だ!?」
『そういきり立つなよ。早死にするよ』
「うるせぇ、姿見せヤガレ!」
『あぁ、はいはい……』
そう言いながらまるで空間を割ったように現れたのは、やはり異形の者だった。
紅く見開いた目の中によどんだ黒い瞳。
本来口があるであろう場所には、何らかの発声機関だろう。真横に線が一本通ってる。
声もそこから発せられているようだ。
全身は、筋肉が限界まで膨れあがったように膨張している。
そして、それは、漆黒の闇に染まっていた。
「やっぱ……DEVILだよなぁ」
『いかにも……』
「なら、死ぬか?それとも、今回だけは、コイツの倒し方教えてくれたら見逃してやってもいいぜ。どうする?」
FLASHは先ほどから攻撃していた者を指さし、そう言った。
それは、相変わらず黙って突っ立って居るのみ。
『くだらんなぁ……死ぬのはキミの方だよ。まぁもっとも、キミが私を倒すことが出来たらそれでいいけどな。ま、その場合は、そこの木偶の坊にも手伝ってもらって、キミを消すけどな』
「ほぅ……が、御託は、いらねぇ!!」
地を蹴ると、FLASHはその拳を新たに現れた者に突き立てようとした。
『あまいよ。キミの速さでは私に追いつくことは出来ない』
その声は、FLASHの真後ろから聞こえた。
「い、いつの間に……!?」
『ゆっくり動いただけだが』
振り返ったときにはその姿は既に無く、声は再び後ろから聞こえた。
「テメェ!」
『ああ、そうそう。自己紹介がまだだったなぁ。私は、襲刀(しゅうとう)。そして、そこのは沈玄(ちんげん)。見知っておいてくれ。もっとも、死ぬ者に覚えてもらっても仕方ないかな……?』
「死ぬのは、テメェ等だ!」
『くだらん強がりだな……そろそろ、死ね……』
「待てぇい」
『ン?』
声のした方を振り向く襲刀。
『………仮面、ライダー?………貴様は?』
「仮面ライダーブイスリイィー!」
『V3?そうか、お前が陵銀を……いいだろう。お前から殺してやる』
「……ブイ、スリィ……」
「大丈夫か?」
FLASHの呟きにそう言いながら、後ろに立ったのは……。
「ライダーマン」
「行くぞ……」
そう言うライダーマンの腕には、幾つかの注射器のような物が持たれていた。
「あ、ああ」

「トウッ!」
V3はその崖から飛び降りると、襲刀を凝視した。
「行くぞぉ!」
地を蹴るV3。マフラーがなびく。
しかし、その攻撃はFLASHの時同様に躱された。
『二対三か……分が悪いわけではないが、沈玄があのままでは覚醒させるのに時間がかかってしまうなぁ……仕方ない。ここは引くか……』
そう言うなり、襲刀は沈玄の元に移動し、その体に触れながら、空間の狭間に消えていった。
「逃がすか……」
『無駄だ……確かに我々はこの世界にいる。しかし、場所が判らなくては追っても来れまい』
空にただその声が響くだけ。
「それはどうかな……ブイスリィホッパーー!」
V3は腰から抜き取った棒状の物を高々と掲げるとそう叫んだ。
と、それは大空に舞い上がり、まるで蜻蛉のような形に羽のような物を広げた。
「結城、FLASH、南東に約八キロだ……先に行くぞ、ハリケーーン!」
下りてきたホッパーを再び手におさめると、V3はそういい、愛車ハリケーンに乗り、そのまま駆けて行った。

「い、今のは?」
目の前で起こったV3の行動を理解できず、ただそう立ちつくすFLASH。
「あれはV3ホッパー。上空に上げることで半径十キロ以内の敵の位置を知ることができ、それをV3のOシグナルがキャッチする。だから、今V3は奴等の移動した位置が判ったんだ。それよりも、行くぞ。V3を追う」
「あ、ああ、そう、だな……」



「この辺りのはずだが……」
そこは、既に廃校となった小学校だった。
その周囲を見回しながらそう呟くV3。
と、その時、Oシグナルが反応した。
「近いのは……確かだな」
更に数歩足を進めると……。
『な、貴様はV3。何故この位置が判った!?』
驚きの声を上げ、建物の中から姿を見せたのは襲刀だった。
「お前達のいる位置など、知るのに造作もない!」
即座に戦闘隊形をとり、応える。
「行くぞぅ!トウッ!!」
ガラスに体当たりをしながら建物内に入り込むV3。
『グッ!沈玄、まだか!』
室内にそう叫ぶ。が、そこからは何の応答もなかった。
『少し時間を稼がなくてはならないか……いいだろう。相手をしてやるよ』
言うが速いか、襲刀はその瞳を一瞬光らせ、V3の真横に移動した。と、ほぼ同時に手刀を首筋に入れる。
しかし、それを予期していたかのように、V3はその両手を胸の前で組んでいた。
それにより、細胞強化装置が働きその攻撃は無効に終わった。



「FLASH……アレを見ろ。V3のハリケーンだ」
「どうやら、近いらしいな」
V3が戦闘を始めた頃、二人もその付近まで近づいていた……。