#2

V3とライダーマン
「どうした?俺を殺すんじゃなかったのか?」
『ば、馬鹿な……たかだか人間に……だと……!?』
それまで一件優勢なのは、異形の者の方だった。
が、その全ての攻撃は受け流され、希に当たったとしても、ダメージになるほどのものではなかった。
「そろそろいいか?飽きてきちまった……よけ続けるのも、結構だるいんだぜ……」
『ふ、巫山戯るな……俺が、負ける……?!巫山戯るなあぁぁーー!!』
叫びながら、それは先ほどビルにはなったような閃光を吐いた。
「散らすぞ……」
言った途端、先ほどと同じようにその閃光を蹴散らした。
「ウザイぞ……消せるだけで、結構痛いんだぜ」
『………巫山戯るなああぁぁーー!!!!』
同じように叫びながら、今度は閃光を連続して吐く。
「小賢しい……」
『そうかぁ、小賢しいかぁ……ヒャァヒャヒャヒャヒャ』
高笑いを上げ、閃光全てをFLASHが消し去った後、そこには一枚の紙だけが残っていた。
―― DEVIL・RYOHGIN(陵銀(りょうぎん))
紙にはそう書かれていた。
「チッ……」
舌打ちをしながら、それを拾い上げると、FLASHは変身を解いた。



「………そうかぁ、貴様がデビルか!」
『………貴様もか……だがなぁ、俺は倒せンぞ』
そう言う異形の者が立ち会っているのは、紺のワイシャツに白のベストの男だった。
風見志郎である。
「風見……こいつだ。いや、正確にはこいつと同様の姿をしたものだ。俺にデストロンは過去の組織だと言ったヤツは……」
「なるほどぉ……なら、少し話を聞かせてもらおうか?」
『話だと?下らんなぁ……死にたいのか?人間……』
「………解った。どうやら、聞くだけ無駄なようだ。ならば……フンッ……――」
風見は両腕を水平に合わせ右側に置いた。
『何だ?何をしたいんだぁ?』
「――変身………ブイスリャアァァァーー!!トウッ!」
ポーズを取り、飛び上がり着地した後……そこにいた者の姿は風見志郎のそれではなかった。
真紅の仮面に深緑の瞳を輝かせ、白いマフラーをなびかせるソレは――
『き、貴様……仮面ライダー!』
明らかにソレは動揺していた。
そう、それは、仮面ライダーV3!!
「どうした?仮面ライダーがそんなに恐ろしいか?」
『お、恐ろしい?冗談を言うな……俺は、冥界の猛者だぁぁぁ!!』
叫びながら、ソレは閃光を吐いた。
「ウッ!貴様ぁ……!」
V3は一瞬で後ろを振り返ると、そこが荒野であることを確認すると、それを即躱した。
『ほぉ、躱したかぁ?』
どうやら、ソレはただ躱しただけだと思ったようだ。
「貴様、名前は?」
『ン?名前……陵銀だ』
「陵銀……ここでお前を倒す。結城、手を出すな」
「……解った。だが風見、気をつけろよ」
V3が言う直前に、上に上げようとしていた手を下ろすと、結城は静かにそう言った。
「ああ」
『手を出すなだと?貴様一人で、俺と戦う気かぁ?ヒャァヒャヒャヒャヒャ……まぁ、もっとも、手助けが人間では、居ない方がましかもしれんがなぁ』
半ば狂ったとも思える高笑いをしながら、それはそう嘲笑うように言った。
「………行くぞぉ!トウッ!」
V3の右手パンチが陵銀の腹部に炸裂する。
『おお、さすがに人間よりは効くな……だが、初戦は旧型』
「何?」
V3は、陵銀の言った“旧型”と、言う言葉に一瞬動きを止め、後ろに飛び退いた。
「どういうことだ?」
『思い出したのさ。お前の姿をなぁ……確か、仮面ライダーV3。四十年ほど前の愚者の集団、デストロンを壊滅させた者だなぁ?と、言うことは……手を出すな、か……そっちのヤツは、ライダーマンか?』
「ッ!」
陵銀の言葉に、結城は両腕を上げようとした。
「待て、結城、手を出すな!」
『しかし妙だなぁ……ライダーは全員冥界へ行ったはず……』
「そうだ。この前あったヤツもそんなことを言っていた」
『あっただぁ?ン、そう言えば、堕斬(だざん)の姿がこのところ見えんなぁ……まさか、貴様かぁ!?』
「その、堕斬というヤツかどうか解らないが、何日か前に、お前達の仲間は倒させてもらった」
結城は、腕を降ろしながらそう言う。
『ほぉ、戯朱だけでなく堕斬も……だが何故だ?何故V3とライダーマンが居るのだ?』
「俺たちは、お前達の知っているV3とライダーマンじゃないからさ」
「なるほど、あんた達が、ライダーってのの本家か」
V3が言い終わるとほぼ同時に、そう若い男の声がした。
それは、V3達の真後ろから聞こえ、一瞬にして、前に出た。
『き、貴様!』
「おいおい、そう驚くなよ。せっかくブッ倒しに来てやったんだからよう……なぁ、RYOHGINっての……」
「………気付かなかった。俺が、真後ろを取られて……」
呆然とするV3。
「あぁ、あんた、悪いけど、こいつ俺が貰うぜ。うっかり逃がしちまってよう……すぐ消すから、あんたはもういいわ」
『ヒャァヒャヒャヒャヒャ……ヒャァヒャヒャヒャヒャ……まだ言うか?小僧。俺には、勝てンと、言ったはずだああぁぁぁぁーー!!』
言うなり、陵銀は地を蹴り、その鋭い牙をむき出しに、青年――杜若に襲いかかった。
「おっとッ」
それを、驚いた風もなく難なく躱す杜若。
「ははは、直の突進じゃあ、俺は捉えられねぇよ……もっとも、捉えても、効かねぇけどよ。さて、そろそろ消すぜ……変身……FLAAaaSH!!」
目映いばかりの光と共に、青年の姿が変わっていく……。
そして、そこに見えたのは、仮面ライダーFLASH!

「か、仮面、ライダー!?それに……その姿……!?まるで、V3ではないか」
そう驚嘆の声を上げたのは、結城だった。
「そう。コイツが四日前に俺が見たライダーだ」
「ン?四日前?ああ、俺が戯朱を殺った日か……へぇ、あんた、あそこにいたんだ。気付かなかったよ。ン?ああ、あんた、色こそ違うが、そういや似てるなぁ……あんた、蜻蛉の改造人間か?」
「………そうだ……」
FLASHの言葉に応えるV3.
「ま、そんなことはいいとして、そろそろRYOHGINには、消えてもらわねぇとなぁ……邪魔すんなよ。あんたら……」
『か、仮面ライダーが、三人だとぉ!?』
さすがの状況が不利と見てか、陵銀はそうたじろいだ。
「心配するな、俺一人だ。今言ったよなぁ……邪魔すんなって……」
振り向きもしないでFLASHはそう言った。
「………バカな…」
呟くV3。
「バカで結構。それになぁ、あんたら、関係ないんだろ?コイツは……DEVILはこの俺の敵だ!」
言うが速いか、FLASHは地を蹴り陵銀との距離を一気に詰めた。
「速い!」
それに驚嘆の声を上げるV3。
「うおりゃあぁぁーー!」
叫びと共に、FLASHの拳が陵銀の頬を薙ぐ。
そう、それは当たったわけではなかった。
陵銀に当たるすれすれをFLASHが狙ったのだ。本来ならばかすったと言ったところだろう。しかし、その超人的な速さの拳は、かすることで、刃物の切れ味を示した。
『グワッアアァ!?』
叫び声と共に吹っ飛ぶ陵銀。
「オイオイ、RYOHGINっての、まだ終わりじゃねぇだろう?DEVILの、冥界の者の力を見せてみろよ?」
「おい、挑発するな!何をするか解らんぞ」
FLASHを制しようとするV3。
しかし、それを素直に受け入れるはずもなく、FLASHはゆっくりと陵銀の元に近づいた。
「ったく、五月蠅ぇなぁ……」
と、その時 ――
「――チェーンジアタッチメント、ロープアーム!」
声と共に、陵銀の身体にロープが絡まり、それは高速でFLASHの横を通り過ぎ、V3の目の前まで引き寄せられた。
それは、いつの間に変身したのか、仮面ライダー4号 ―― ライダーマンの仕業であった。
「チッ」
舌打ちをしながら振り向くFLASH。
それとほぼ同時に ――
「ブイスリーーー反転キイィィーーック!!」
V3の26の秘密の一つ、V3反転キックが、引き寄せられてきた陵銀の頭部に炸裂した。
『……グッ……』
それまでロープから逃れようとしていた陵銀の全身の動きが止まり、呻きが聞こえる。
「……そんな蹴りじゃ、こいつ等は倒せねぇぜ」
それを見ながら言うFLASH。
『グガアァァァァァ!』
が、FLASHの言葉に反して、陵銀の身体は悲鳴と共に跡形も無く消え去った。
「………なるほどな」
それは、ライダーマンの引き寄せる力が反動になり、更なる力を持ってる。そのことを悟ったのだろう。
FLASHは変身を解きながら頷くと、V3とライダーマンを見ながら言った。
「あんたら、家来ねぇか?」