井の中の蛙大雪原に消ゆ・後編
15:50天狗平
ぼーっと下りのバスを待ってると、ふと、上りのバスが来た。
停車する。
すると、わらわらと30人ほどのスキーヤーが降りてきた。
だいたいみんなリュックとかもしょわず、本当に滑るだけの軽装だ。
小さい子連れの親子までいる。
あれ?スキーヤーさん?なんで?
滑れるのって天狗平まででないの?
それにさっきまでほとんどスキーヤー見なかったのに。
なんでこんな大勢いるの?
しかもよく見ると、白い十字のロゴの入ったウェアを着てる人を発見。
上に文字が。PATROL・・・・パ、パトロール!?
パトロールの人まで?ええ?ここってそんな管理されてるの??
さっき俺が死にそうになったのは何!?
恐る恐る、話をすることにする。
けろ「あ、あのぉ、初めてここ来たんですけど、みなさんどこ行くんですか?」
パトロール「ここから下の美松や弥陀ヶ原に行くんですよ」
けろ「室堂から天狗平が滑れるって聞いてきたんですけど」
パト「いえ、スキーバスってあるんですよ。それ使うと、ここ天狗平からですね」
けろ「す、すきーばす??( ̄□ ̄;)」
パト「2500円で下の美松・弥陀ヶ原からここまでバスで登って来れるんです」
けろ「2500円で乗り放題になるんですか??( ̄□ ̄;)」
パト「乗り放題ですね。1日に10本近くスキーバスは出てます。」
けろ「今日みたくガスの濃いときは大丈夫なんですか?」
パト「ここから先は、ポールが立ってるんですよ。番号順に。」
けろ「ぽ、ぽーる!?( ̄□ ̄;)」
パト「赤色は弥陀ヶ原に。青色は美原へ。ポールに従って行けば、大丈夫です」
けろ「じゃぁ遭難するようなことはないですね・・・・・」
パト「私達パトロールも定期的に巡回してますし。楽しいですよぉ!!!(笑)」
そうして、パトロールの爽やかなお兄さんは、ニコニコと
笑みを浮かべながら、雪原へ消えていった・・・・
( ̄□ ̄;)
唖然・呆然とする俺。
死にそうになった俺は何だったの?
死を覚悟した俺は何だったの?
子連れでもおっけーな安全度なの?
息をぜーぜー言わせながら登山したのは何だったの?
スキーバスで楽をしちゃっていいの?
滑れるのは室堂から天狗平までである。って駅員さんに聞いたのは?
ざーーーーーーーーけええんなぁああああぁぁあぁあああぁぁ!!
ふーーーーざけんなぁぁぁぁ!(ノ-o-)ノ ┫:・'.::・
すでに帰り支度を終え、先ほど予約したバスを待つ状態であった。
その時刻までもうあと5分。
が。当然、スキー板を再びはく。
待てコラァァァァ!
猛然と30人の集団を追いかける。
さっきは気がつかなかったが、よーく見ると、転々と続くポールがあった。
約10m毎に、ガスが濃くっても大丈夫な間隔だ。
さっきまでは全然見かけることのなかった、大量の滑走痕をつけていく。
ポール沿いに進むルートは、さっきまでと同様、延々斜滑降の連続だった。
滑降っていうより、またしても半分歩きだけど。
とばしていくと、さっきスキーバスを降りた人達が、ちらほら見えるようになる。
しばらくして、ポールが二手にわかれる。
もちろん、行くのは一番下まで降りれる方、弥陀ヶ原方面。
このあたりから、モミや杉の木が生えだす。
その乱立する木々の中をぬっていく。
雪面の起伏はランダムにデコボコ。雪はあいかわらず重い。
ぐはっ!滑りにくい!
木にぶつかるっ!
たまにきわどくすり抜けながら、そうこしてようやく滑り降りれる
最終ポイント、弥陀ヶ原に到着した。
16:30弥陀ヶ原(標高1930m)
室堂から弥陀ヶ原まで約6km。標高差約500mのダウンヒルだった。
6kmの距離で500mしか下ってないんだから、大量に歩くわけだ・・・
弥陀ヶ原には小さなバスの待合室があり、そこでバスの席の予約をする。
ブーツをはきかえ、ベンチに座る。
なんともいえない疲労感だった。
充実感もあった。
ほとんど放心状態だけど(笑)
それから数十分待って、バスに乗り、美女平へ。
再びケーブルカーに乗り、立山駅。
駐車場の車に戻ったのは18時であった。
19:30宇奈月温泉
その晩。トロッコ電車で有名な宇奈月温泉に入る。
とってもいい湯加減。
そして、宇奈月麦酒館で地ビールを頂く。
嗚呼。うまい。
生きててよかった。
あとがき
もし、あのとき、ガスが晴れなかったら。今頃どうなっていただろう。
今回のスキーは、改めて自然に対する畏怖の念を、感じずにはいられなかった。
いかに文明のぬるま湯の中で育ってきたか、よくわかった。
自然の中では、自分の存在なんてちっぽけです。
どうやっても、何しても刃向かえない。
今回の事件で、ちょっと自然に対する考え方が変わりました。
自分を過信してはいけない。
装備はしっかりと。
事前に予備知識を。
無謀なことはしない。
さもなきゃ死ぬんだから。
わっはっはっはっは(泣)
〜オマケ〜
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