2010/02/08
今日の妄想。番外編!
イーグル+女性キャラで妄想してみよう。
act3「キャサリン編」
小さな街の繁華街で二人が出会ったことは偶然とは言い難かった。
なぜならば、二人はレッドスター軍の基地ですでに顔を合わせていたし、そこは
基地からごく近い場所にある、この街で唯一の繁華街であるといえたからだ。
イーグルは暇つぶしに、読みかけの本の続刊を探して通りを歩いていた。
そもそもこの街の基地に寄ったのはほんの気まぐれで、空から見えたポインセチアの
彩りを地上でも眺めていこうかと思っただけに過ぎなかった。
偶然基地に居合わせたキャサリンが燃料補給を申し出てくれたのは、イーグルの
部隊にとって幸運だった。
おかげで、こうしてこの街をゆっくり歩くことができている。
「あら、イーグルくん。偶然ね。なにしてるの?」
イーグルはぎょっとして立ち止まった。
決して人通りが多いとはいえない路傍で、キャサリンがタバコを吸っていた。
基地にいたときは一貫して「イーグルショーグン」と呼んでいたキャサリンの口調が
妙に親しげなものへ変わっている。イーグルはその変化をいぶかしんだ。が、直後に
アルコールの匂いが鼻につき、その理由を察した。
時刻はまだ宵の口で、一体いつから飲んでいたのだろうと呆れ返った。
「ちょうどいい機会だから、一緒に夕飯を食べにいかない?」
「いや、俺は本を買いに来ただけで」
「もう夕飯すませてるの? まだでしょう? まだよね? 行きましょう」
断る理由が見つからない。
手をつかまれ、イーグルはそのまま引きずられていった。
5杯目のグラスが空になったとき、店員を呼びとめようとしたキャサリンをイーグル
が制止した。
「シレイ、もうそのへんで」
「あら。じゃあ次でやめるわ。もう1杯だけ。ね。いいじゃない」
呆れながらイーグルはミートローフを口に入れた。キャサリンはその様子を
嬉しそうに眺めながら、運ばれてきたシャンパンをちびちびと飲んだ。
「上品に食べるわね」
「……そうですか」
「あなた、女の子をフッたことないでしょ」
「ぐっ」
「色々とトラブルになるわよねえ。いつもどうしているの?」
キャサリンは肘を突いてこちらを見つめている。
話題を変えよう。戯言に付き合っていられない。
先ほどの質問には答えず、イーグルはずっと抱いていた疑問を投げかけた。
「なぜ、我々に燃料補給を?」
朗らかに笑っていたキャサリンの顔が、急に軍のシレイになる。
「気にすることはないわ。親切心よ。同盟国だもの。それに、こっちだって、いつも
ハンナショーグンの能力に助けられているわ」
「反対意見はなかった、の、ですか」
「……なかったとは言えないわね。正直、あなたの部隊の受け入れを拒否する意見も
あったわ。独立空軍をいつまでも信用することができない、ってね」
「ならば尚更だ。なぜ、我々に補給を?」
「あなたと話をしてみたかった、と言ったら、どうする?」
キャサリンの表情は真剣なままだった。
返す言葉が見つからない。イーグルは動きを止めて見つめ返した。
するとキャサリンは先ほどの緩んだ雰囲気を取り戻し、茶目っ気をたっぷり出して
ふふふっと微笑んだ。
「素直ね。話をしていて楽しいわ。最近つまらないことばっかり思い出して、嫌に
なっちゃうの。本当、独り寝が続くとよくないわねえ」
目の前にいる人物がひどく酔っ払っていることを思い出して、イーグルはため息を
ついた。
「ごめんなさい。子供にこんな話をするなんて、らしくないわね」
キャサリンはぐいっとシャンパンを飲み干してため息をついた。手元にあった
バターピーナッツをつまんで口に運ぶ。
子供。
イーグルはむっとして下を向いた。
もう限界だ。さっさと食事を終わらせて部屋に戻ろう。
レッドスターのシレイに、これ以上義理立てする必要はないだろう。
イーグルはその態度で憤りを示した。
「怒ったの? ごめん。ね、イーグルくん」
イーグルは何も答えない。
「ごめんなさい。怒ったわよね。でも、もう少し付き合ってくれない?
そう、燃料補給のお返しだと思って」
皿に残っていたポテトまですべて食べつくし、テーブルに札を置いた。
「失礼する」
そう言うとイーグルはさっと席を立った。
「あら。待ってちょうだい。ねえ」
すがるように言うキャサリンを無視してイーグルは歩き出だそうとした。だが、
がたん、という大きな音を背中で聞き、振り返った。
酔いで足元がおぼつかなくなったキャサリンが、椅子ともども床に倒れていた。
つづく
----------------------------------------------------------------------------
2010/03/09
今日の妄想。番外編!
イーグル+女性キャラで妄想してみよう。
act3「キャサリン編」つづき。
閉店間近のマーケットでミネラルウォーターを手にすると、流れるようにレジを
済ませて自動ドアを駆け抜けた。
キャサリンは歩道の脇にあった店の非常階段でぐったりとしていた。
赤子のように身をかがめて表情は見えないが、金髪の隙間から見えたうなじが
錆付いた鉄骨の影と共になぜだか寂しそうな雰囲気をもっている。
どうしてこんな飲み方をしたのか。
今になって妙な好奇心がイーグルに湧いた。
「水を飲んだほうがいい」
差し出したペットボトルのむこうで、そろそろと顔が上がった。唐突に贈り物を
貰った子供のような、驚きと喜びが混じった表情をしていた。
「ありがとう」
キャサリンは髪をかき上げながら天を仰ぐようにごくごくと飲んだ。
「優しいのね」
「当然のことをしたまでだ」
「これが当然だと思えない人もいるのよ。私のように」
次に息をつくときにはボトルがもう空になっていた。
「あー。もう、燃料補給を受けた飛行機ってこんな気持ちかしらね」
下手なたとえだな、とイーグルは心の中で呟いた。
「ねえ。愚痴を聞いてもらってもいいかしら」
「嫌ならとっくに帰っている」
「ふふふ、やっぱり優しいのね。モテるでしょ」
「それ以上言うのなら帰ろう」
イーグルが背を向けると、ごめんごめん、おいていかないで、とキャサリンは
手をぶらぶらさせてねだった。その拍子に空のペットボトルが階段を滑り落ちて
ころころと鳴った。
足元に転がるペットボトルをイーグルが拾う。
「あいたいヒトがいたの」
キャサリンの顔が再び子供に戻ったような気がした。それは、ひとりぼっちで
ただ誰かの帰りを寂しく待っている過去と似ていた。
「このあいだそのチャンスがあったの。援護要請が急にはいって、でも上層部と
意見が合わなくって。基地に下りてくることはなかった。だからイーグルくんを
身代わりにしたのよ。こうやって飲んで、酔っ払って、一晩中一緒にいたかった」
イーグルは情報を整理するのに精一杯だった。
「私って馬鹿ね。職権濫用もいいところだわ。でも……」
「……会いたい人、とは、どこかのショーグン?」
沈黙が割って入った。
「ぶっ」
そっか、そうよね、もっともよ、とキャサリンはげらげら笑った。浮かべた涙を
拭きながら、その後に「でも今日は、イーグルくんでよかったわ」と言って、
ふらつきながら立ち上がろうとした。だが、それはうまくいかず、鉄骨に抱き
ついて動かなくなった。
「シレイ?」
イーグルが近寄るとキャサリンはそのまま抱きつく相手を変えた。アルコールと
甘い匂いがイーグルの鼻をついた。
「今夜は帰らないで。一晩中いっしょにいて」
「……帰ります」
「駅まで戻るのは面倒ね。タクシーに相乗りしましょ」
その後はなにも話さなかった。
タクシーはすぐ捕まった。沈黙の車内でイーグルは窓に映る街灯とキャサリンを
交互に見た。ときどき金髪が揺れることはあっても、こちらを振り向くことは
なかった。やがて、気にかけることをやめた。
レッドスター軍の合宿所がある門の前にタクシーが止まると、キャサリンは
さっさと全額を支払い、車から降りた。追いかけるように慌ててイーグルも
降りた。声をかけるべきか迷った一瞬のうちに「今日はお疲れ様」と言われた。
手を挙げて顔を見せぬまま、キャサリンはすたすたと門の奥へ消えていった。
イーグルはその姿が見えなくなるまでじっとしていた。吐く息が白い。
忘れたほうがいいのだろう。
遠ざかるタクシーのエンジン音が、イーグルの心と夜の闇に尾を引いた。
おしまい
オトナ~な雰囲気をかもし出す感じで頑張ってみました。後を引くイメージで。
いやあ、イーグルと大人の女性っていう組み合わせもいいですねえw
ドミノとではできないコトを色々と妄想してしまいますw
次回!
今日の妄想。番外編!
イーグル+女性キャラで妄想してみよう。
act4「キャット編」の、予定です。
TOP