2009/04/25
今日の妄想。番外編!
イーグル+女性キャラで妄想してみよう。
act1「レイチェル編」
差し出された缶ジュースはコークだった。イーグルはそれを少し不満に思ったが、
厚意は素直に受けることにした。
オイルで黒ずんだ手袋を外し、バイクの持ち主に感謝してプルタブを引き上げた。
「バッテリーが上がっていた。セルモーターの異常はそのせいだな。そろそろ
換え時のようだ。タイヤの空気圧もよくなかった」
「ふうん」
駐輪場を覆っている鉄筋の柱に寄りかかりながら、イーグルはレイチェルが自身の
バイクの状況を確かめる様を眺めていた。
ちょっとした会議の間に見てくれないか、どうせ暇だろう、と半ば強引に任せられた
整備だったが、バイクを触るその行為を楽しんでいたことは否定できない。まあ、
レッドスターのシレイに貸しを作っておくのも悪くないか。思わず打算的になって
いる自分に嫌気がさして、イーグルはそれ以上考えることをやめてコークを飲んだ。
本当は断る余地がなかっただけなのだ。
春の午後にしては日差しが強く、銀色のマフラーに日光が反射して眩しい。
「ありがとう。助かったわ。まったく、ジョンったら整備サボって何をやっていたの
かしら。こんなになるまで気づかないなんて」
掃除して洗濯して書類を整理し任務をこなして、いつバイクの面倒まで見る余裕が
できるんだ、という言葉が出ないよう、イーグルはコークを飲み続ける。
「さてと。じゃあ行きましょうか」
「行く?」
「あ、片付けは手伝うから、早く準備してちょうだい」
レイチェルはバイク整備に使われた工具などをてきぱき片付けはじめた。
「ちょっと待て。行く、とはどういうこと……」
「道案内よ! 近くにカーヴィンレイクがあるんでしょう? バイクの調子も
戻ったことだし、天気もいいし! 悪くないじゃない」
「俺にも都合というものがある。ええと」
「あら。ハンナショーグンはどうぞ道案内によろしく、と言っていたわ」
「フン」
イーグルは苛立った気持ちの行き場を探しながら、缶に残ったコークを捨てに水場へ
向かった。
エンジンが無事にかかったことに安堵して、レイチェルは顔を上げた。隣に並んだ
青い車体を見ながら朗らかに笑う。
「なかなか良いバイクね」
「それは走ってから言うことでは?」
「それもそうだ」
爆音を轟かせながら、二台のバイクは湖に向かって走り出した。基地のまわりは
地平線いっぱいまで春の新緑で溢れていた。
小高い丘をぬけたところにアーヴィン湖はあった。湖を見下ろすことのできるカーブ
でイーグルがバイクを停めると、後から来たレイチェルが隣に並んだ。
風も無く静かで、湖の少しだけ波打った表面へ光が反射してきらきら輝いている。
観光客らしき車が数台だけ湖畔に並んでいるのが見えた。
「あれがアーヴイン湖。この先の三叉路を右に曲がれば下りることができる」
「ここは、ちょっと違うわね」
「は?」
「別の入り口があるでしょう。そこまで走るわ。案内してちょうだい」
「行ったことがあるような言い方だな」
「ないから案内を頼んでいるんじゃないの」
返す言葉が見当たらない。イーグルは文句を言う代わりに、無言でバイクを
走らせた。レイチェルはその後ろを黙ってついていく。
湖の輪郭に沿って道を行くと、先で数人が道を塞いでいるのが見えた。バイクが数台
並んでいて、若い男たちがそのまわりを不自然にうろうろしている。
「なんだか様子がおかしいな」
イーグルは直前でバイクを停め、レイチェルが来るのを待った。
「この先に入り口があるのだが」
「道が閉鎖されているってこと?」
「いや、そんなはずはない。あんな風に道を塞ぐのは」
「ああ。なんだ、ただ不良がいるってだけね」
そう言うとレイチェルはバイクを走らせた。置いていかれた形になったイーグルは
一体どうする気なのだろうと思いながらそれに続いた。
レイチェルは単刀直入に切り込んだ。
「どいてくれない? この先に行きたいんだけど」
近づくと、男たちは遠くで見たよりもぐっと年齢が若いようだった。おそらく皆
未成年だろう。
「だめだ。この先は通せない。湖ならあっちにも入り口があったろ」
「こっちから行きたいんだけど」
イーグルはその様子を一歩下がった所から黙ってみている。
「姉ちゃん、聞こえてないのか? ここは通れないって言ってるんだよ」
「理由は? 納得したら了解してもいいわ」
「理由? 理由はな、ええと」
「偉い人が来てるって言ったら納得するだろぉ?」
黒いジャケットを着た男が腰にぶら下げたチェーンでちゃらちゃら音を立てながら
レイチェルの正面に立った。
「それでなんであんたたちが道を塞いでいるわけ?」
「俺らが頼まれたんだよぉ。俺の兄ちゃん軍人なんだぜ。しかも結構偉いやつ」
「ふうん。そうなの」
イーグルは口元が上がるのを抑えられなくなった。面白くなってきたな。
「それでよぉ、なんかレッドスターからシレイっていう偉いのが来てるから、俺の
兄ちゃんがこの先でグリーンアースを案内してんだよぉ。んでよ、邪魔すんなって
ことなんだよ。分かったか?」
「よく分からないわね」
目でレイチェルが合図をした。横に来い、と言っているのだろう。イーグルは黙って
レイチェルの指示に従った。
反撃がはじまるのか。イーグルはわくわくする気持ちが抑えられない。
「姉ちゃんよぉ、いい加減にしろよ。邪魔したらぼこぼこに殴られんぞ。レッド
スターのシレイっなんつったらすっげえ筋肉の大男だぞ。姉ちゃんなんか相手に
したらひとたまりもないぜ。忠告してやってんだぞ」
「すっげえ筋肉の大男ねぇ」
「ぶっ」
噴出したイーグルの顔をレイチェルが睨んだ。
後半につづく
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2009/04/28
今日の妄想。番外編!
イーグル+女性キャラで妄想してみよう。
act1「レイチェル編」の、つづき。
なぜこんなことになっているのだろう。
イーグルは、右腕に刺青を入れている隣の男が、自分を睨んでバイクを呻らせている
様をまじまじと眺め、己の不運を嘆いた。
刺青の男のバイクは、ごてごてと着飾ってはいるが横並びになるとイーグルのバイク
と同じサイズであることが分かった。
黒いジャケットを着た例の男がおかしな口調で説明をする。
「コースはアーヴィン湖に沿ってまっすぐ行くだけだからなぁ。ゴールはあそこ。
見えっだろぉ? 道にチョークで線が引いてあるからよぉ、分かると思うぜぇ」
どうやらもう競争をすることは決定してしまったらしい。バイクの調子がいいこと
だけが唯一の救いだ、とイーグルは顔を落とした。
「頑張ってね! イーグルショーグン!」
元凶が横で自分に笑いかけるのを見て、イーグルは心底腹をたてた。
「おい、どうして自分で走らないんだ」
「あら。あなたの方がドライビングテクニックがありそうじゃない。それに、彼は
相手がイーグルショーグンの方が都合よさそうよ。ほら、男の子なんだから
しゃきっとしなさいよ! 絶対に勝つのよ! これは命令だからね!」
なぜ俺が命令をされなきゃならないんだ、と言い返そうとすると、刺青の男が
イーグルに対して挑発的に叫んだ。
「おいてめぇ、俺が勝ったら土下座するって約束しろよ!」
「なぜ俺が貴様に土下座をしなければならないんだ」
「俺はなぁ、前に少しだけグリーンアース軍にいたとき、てめぇの隊に迷惑してた
んだよ! ずっとぶん殴ってやろうと思ってたんだ!」
「フン。それで、貴様が負けたときはどうするんだ?」
「裸で踊ってやらあ!」
「くだらん」
イーグルは形見のゴーグルをはめると、バイクに集中し始めた。アーヴィン湖の外周
は何度か走ったことがあった。道の形は知っている。
レイチェルがスタートの合図をするために布を持って振り上げた。
事の始まりはこうだった。
道を塞いでいるこの不良たちが、レイチェルに対して嘘をついていた。
レイチェルはその嘘を否定するために、イーグルの身分証を突き出した。
「げっ、本物ぉ?」
「それと、私がその、相手にしたらひとたまりもないレッドスターのシレイよ!
嘘もたいがいにしなさい!」
「うわぁマジかよぉ」
「さあ道をあけてくれるわね」
「ま、待ってくれよぉ。今リーダーがタイマンやって帰ってくるからよぉ。勝負の
邪魔したくねぇんだよ」
どうやらロードレースまがいのことをやっているのが本当の理由らしかった。
「まさか本物がでてくるとは思わなかったよぉ。でも兄ちゃんが軍にいるってのは
本当なんだぞぉ」
「そんなことどうでもいいわよ」
事故を誘発しないよう、仕方なくイーグルとレイチェルは一緒にリーダーの帰還を
待つことにした。
リーダーらしき男は思っていたよりもすぐに来た。大きめなエンジンの音が聞こえ
まわりの不良たちが立ち上がる。二台のバイクが道の奥からこちらに向かってくる。
「やっぱりスヴェインさんの勝ちだな」
先にゴールした男に皆が駆け寄った。右腕に波のような炎のような刺青をしている。
スヴェインと言われた刺青男はバイクから降りるとイーグルを指差してこう言った。
「おい、なんでソイツがここにいるんだよ」
「なんかよぉ、急に来て、ここを通せって言ってきたんだよぉ」
黒いジャケットの男が経緯を説明している。
レイチェルは親指を立てて遠まわしに刺青男を指しイーグルへ問いかけた。
「知り合いなの?」
「まさか」
「でも向こうは知っているみたいだけど」
イーグルには覚えがなかった。
「おい。お前らなんかにここを通すわけにはいかねぇよ」
刺青男が二人の前に立った。こちらを見下げようと顎を前に突き出している。
だがレイチェルはその態度に微塵も動揺せず、むしろ強気に答えた。
「ここは公道のはずよ。納得できないわね」
「うるせえ。姉ちゃんはすっこんでろ」
「わかった。じゃあ勝負で決めるってのはどう?」
「は?」
刺青男とイーグルの言葉がダブった。
「バイクで勝った方の言い分を聞くの。いいアイデアでしょう」
風が出てきた。アーヴィン湖の水面に波紋が広がる。周辺の木々がざわめき、
心地の良い音が身を包む。
「これよ、この景色が見たかったの」
レイチェルが独り言のように呟いた。イーグルはそれに気づいてはいたが、返答は
しなかった。離れた場所に腰掛け、黙って湖を眺めた。
ポケットを弄り、レイチェルはカードのようなものを取り出した。
それは写真つきのハガキだった。空白部分に、姉であるキャサリンのメッセージが
書いてある。
「この写真とおんなじ景色。お姉ちゃんもこれを見たんだ」
レイチェルは写真を目と水平の位置に置いて、景色を何度も見比べた。
「いつか一緒に見たい……」
いつか一緒に。
思い浮かべたのは別の人物であったが、イーグルも同じように感じた。
日が西に傾いてきた。イーグルはバイクの側に立ち、離れていたレイチェルに声を
かけた。レイチェルはログハウス風の売店から出てきたところだった。
「では俺はそろそろ失礼する」
「あら。それは困るわ。帰り道が分からないじゃない」
「来た道を戻ればいいのでは?」
「来た道が分からない場合は?」
イーグルは頭を抱えた。
どうやら、この災厄はまだ続きそうである。
おしまい
友人らのススメではじめた、今日の妄想。番外編はいかがでしょうか。
バイクレースの部分は知識が無いのでばっさりカットしてしまいましたが
まーイーグル好きの私が、雑魚に手こずるイーグルを書くわけが無いwと
察してくだされば幸いですw
次回!
今日の妄想。番外編!
イーグル+女性キャラで妄想してみよう。
act2「サーシャ編」
お楽しみに~w
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