2007/09/04
今日の妄想。長文注意。
マナーモードにしていた携帯が震え、ドミノにとっては芳しくない知らせが届いた。
そのときドミノは、ショッピングモールの一角にある雑貨屋の店先で、イーグルと
こんなティーセットでお茶を飲めたらいいな、などと考えていた。
グリーンアースの街は久しぶりで、真新しい店を歩き回るのが楽しかった。
今日は5日。7日の朝10時にこの場所で。
イーグルとの待ち合わせ場所を見つけたばかりでもあった。
明後日には会える。
そんなビジョンを浮かべて幸福に浸っていた。
着信に気づくと、ドミノはいま自分が待ち合わせ場所の近くにいることを話そうと
通話ボタンを押した。
するとイーグルが開口一番にこう言った。
「すまない。急に会えなくなったんだ」
えっ、と驚きがつい口から出た。そんなことを言われたのははじめてだった。
「会えなくなったって……どういうこと?」
妙な間があいた。
「都合が悪くなったんだ。君には申し訳ないが、滞在中には会えそうにない」
その事実の重さに、しばらく言葉が出なかった。
「……どういうこと? ちゃんと説明して」
「いや、今は……難しいんだ。すまない」
「むずかしいって……。それだけじゃ納得できないよ……」
気を落ち着かせる必要があった。ドミノは涙が浮かびそうなのをじっとこらえ、次に
こう言った。
「なにかあったの?」
「……いや、そういうわけではないが……」
また少しの間。
「じゃあどうして!」
「……キミだって分かるだろう。会うことができなくなった。それだけだ」
ドミノは憤りを隠そうともしなかった。
「分からないよ! どうしてそんな言い方するの?」
「そう言うしかないんだ」
「ちゃんと説明して」
「……もういいだろう。……忙しいんだ。切るぞ」
うんざりしている気配が声色からドミノには伝わっている。だが、だからといって
引くつもりはなかった。
「私には言えないことなんだ」
「いいかげんにしてくれ」
「どうして言えないの? 私になんで隠すの」
ため息が聞こえる。
「……やめてくれ」
「だって、約束したじゃない!」
「キミにだって分かるだろう!」
声を荒げるイーグルに、ますます苛立ちが募る。
「言ってもくれないのに分かってくれっていわれても無理だよ」
「……」
「イーグル?」
「とにかく、今回はだめなんだ。すまん」
電話が切れた。
ツーツーツー。電子音が耳に響く。折りたたみ式の携帯電話を乱暴に閉じて、強く
握り締めた。そして同じ言葉を繰り返し頭に浮かべながら歩き出した。
イーグルのバカ!
こんなのひどいよ!
気を抜くと泣いてしまうかもしれない。だからこそドミノはより強い駆け足で今夜
泊まるホテルに向かった。
ホテルのドアを開けると、二つの声があった。
「あ、おかえりなさい」
「あれ? なんで帰ってきたの~?」
ドミノは目を丸くした。
「こっちいる間、ずっとイーグルのとこに泊まるんじゃなかったんだ~」
「だからそう言ったじゃない」
呆れたようにアスカが答えた。
滞在用に予約した一室はツインルームで、アスカと宿泊費を割るつもりだった。だが
ドミノが今夜寝るはずのベットの上には携帯用ゲーム機に顔を落とすキャットの姿が
あり、当然のようにそこで寝そべっていた。
「なんでキャットが私のベットに乗ってるのよ!」
ドミノは抱えていたバックを放り投げた。
「あ! 怒ってる! キャハハ~」
ケラケラと笑うキャットを押し除け、ドミノはどしっと腰を下ろし、続けて上半身を
乱暴に倒した。並んだ隣のベットの上で本を読んでいたアスカがこちらを見ていたの
に気づいていたので、泣き顔を見られまいと両腕を目にかけて隠した。
「……なにかあったのね」
アスカは鋭く聞いた。
「けんか?」
「……」ドミノは答えなかった。
キャットはゲーム機から目を離さないまま、窓辺にある少し豪勢なイスに腰掛けた。
たっぷりと時間を置いて、ドミノは言った。
「イーグル、会えなくなったんだって」
「ふうん」
「さっき急に電話で言われた」
パタンと本を閉じる音が聞こえた。
「理由は?」
「知らない。言ってくれなかった」
「それでけんか?」
「うん」
「ふうん」
とん、とベットから立ち上がり、部屋のポットからお湯の出る音がする。
「……ひどいと思わない?」
ドミノは真っ暗な視界のまま会話を続けた。
「私に絶対なにか隠してる。どうして隠すんだと思う?」
返答はなかった。
「一方的すぎるよ」
「はい」
顔を上げると、アスカが紅茶を差し出した。「熱いから早く自分で持って」
真っ白なカップを受け取り一口飲んだ。アスカが言うほど熱は感じない。アスカは
向かいのベットにゆっくりと腰掛けると、自分で注いだもうひとつのカップを口に
つけた。
「いいんじゃないの、けんかできるだけ」
窓のほうから声がした。見ると、キャットがイスに深々と座り、ガラスのテーブルに
足を乗せた格好でゲームをしている。
じっと見つめるドミノの方へは顔を向けようとしない。だが言葉は続いた。
「一方的なのはお互い様なんじゃないー。会うのだって、急な話だったんでしょ」
ドミノは言葉を待った。
「勝手に話決めて~、勝手に期待されて~、そんで謝ってるのにキレられちゃって、
イーグルも大変だよね~! キャハッ」
アスカは黙って紅茶を飲んでいる。
「……やっぱり見つからなかったの?」
呟くようにドミノが問いかけると、キャットははじめてその顔を見た。
「ホークが見つかったらこんなトコに来ないよ。第一、私に見つけられるようなヘマ
しないもん。ちょっと気になったから探してみただけだし。ね、アスカ。私にも紅茶
ちょうだいよ~」
テーブルの上にゲーム機を置くと、ぴょんと跳ねるようにポットの前に立った。
「どこを探してもホークがいなかったから、近くまで来てたあんたたちと合流した。
それだけ~」
コポコポと湯の注がれる音がした。
「でも、探そうって決めたのなら、あてがあるのかと思ってた」
「近くの空軍基地で騒ぎがあったの。それで見てきた~」
「ちょっとまって」
急にアスカが会話に割り込んできた。
「騒ぎってなに。初耳なんだけど」
「あ、アスカも休暇で情報がきてないんだ~。ま、グリーンアースのことだから、
あんたたちには関係ないのかもね~」
「茶化さないで。知ってること詳しく教えてよ」
音をたてながらキャットは紅茶を飲んでいる。
「最初は爆発騒ぎってことだったから、ホークに関係してるかな~とちょっと思った
んだけど、覗いてみたら違ったの。戦闘機の離着事故ってやつ?」
「イーグル……」
ドミノが口ずさんだ途端、三人は長く沈黙した。
つづく
・・・
さすがに漫画用のプロットだけあって、会話ばっかしw
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2007/09/11
今日の妄想つづき。
夜を迎えたこの街はどこか寂しい。転々と光るビルの明かりが薄暗く感じた。
時刻は17時半。それほど遅い時間でもないが、街のものは皆家で温かい夕飯を家族と
楽しんでいるのだろう。人の姿はまばらだ。
派手に遊び歩くような場所は見当たらない静かな街である。ホテルの周りにあるだい
たいのショップはもう仕事を終えていた。仕方なく駅の中を縦断して、商店街の方に
抜ける。飲食店街を目指した。
三人が見る限り、テレビのニュースでは報道が無かった。
事故はそれほど大きな被害ではなかったのだろうとアスカが推測した。死者などが
出ていないということだ。
イーグルからの連絡はない。
自分から連絡をとる勇気がドミノにはなかった。
三人が入ったのは古い木製の扉に赤い看板が特徴の、アスカいわく上手くも不味くも
なさそうな、キャットいわくホテルから適当に近い店だった。いかにも女性受けして
いそうな店構えの創作料理屋で、ホテルよりもリーズナブルに食事ができそうな雰囲
気があった。
お腹すいたからどこかへ食べに出ようか、と言い出したのはドミノだった。
「適当に頼んじゃうよ~」
と、キャットが断わりメニュー表を指して店員にあれこれ言う。そんなに食べれない
でしょとアスカがたしなめて、いくつかに絞り店員は去っていった。
「明日はどこ行こっか?」
突然、ドミノが明るく切り出した。
「あ、お城とか近くにあるんだっけ。見に行こうよお城。それから買い物して……」
「そんなことより、連絡取らなくていいの?」
真面目に問うアスカへ、ドミノははにかんで答えた。
「携帯、ホテルに置いてきちゃった」
「えぇ? どうして?」
目を丸くしている。
ケラケラとキャットが笑っているうちにサラダが並べられ、三人は食事をはじめた。
複雑な顔をしながらも、アスカはそれ以上問いかけてこなかった。思いついた雑談を
見境無く話し続ける。終始ドミノは努めて明るく振舞った。そうでもしないと、何かが
溢れて止まらなくなりそうだった。
「意外とおいしかったね~」
キャットは背伸びをしながら、夜の空気を吸った。店の外は同じように満足げな顔を
した人がぽつぽつと見える。
「デザートをあんなに頼むなんて思わなかったわ」
アスカは飽きれたように言った。
「ドミノもそう思ったでしょ? ドミノ。……どうしたの?」
ドミノは店の右手を向いたまま立ち止まっていた。視線の先には、同じような町並み
が同じように続いているだけだ。
「ドミノ?」
もう一度アスカが呼びかける。
ドミノは振り返ると、勢いよく駆け出しキャットの腕を掴んで引っ張った。
「わっ、何?」
「ちょっと!」
そのまま向いていた方向へドミノが走り出した。あっけにとられ、アスカはその場に
取り残された。走る、走る。
握られた腕はキャットの身体ごと強く引く。
「痛いよぉ! なんなの!」
「ホークがいた!」
キャットはドミノの言葉に驚くこともできず、ただ走った。
不自然な力で足が前に出る。自分のものでないような気がするほどに。
3ブロックほど二人で走った。三叉路に突き当たり中央でドミノは両側を見渡した。
キャットの息は途切れ途切れにしか出てこない。身体が熱い。心臓がありえないほど
ドクドクと脈を打っているのが分かる。
「なん……なの……」
「ホークが……いたの」
息を荒くしつつも、ドミノはキャットほど疲弊していないようだ。
「ホークだと思ったのに……」
こんなところでホークがうろうろしているわけないじゃん。
キャットの声は音にならなかった。
同じ時間帯では、イーグルが暗闇の中で滑走路に広がった黒い残骸を見つめていた。
現場検証のために触れることはできない。だが、触れられるほどにできるだけ近づく。
事故の現場を荒らさないよう、慎重を重ねた。懐中電灯はわざと持ってこなかった。
機体を照らしたくなかった。自分の目だけで見ていたかった。
滑走路の端に植えられた木にもたれかかるようにして、胴体は傾いていた。その先の
フェンスは破れ、土地からはみ出している。基地が都市部に無かった事が幸いだった。
片翼が欠けていた。散らばった破片は、その先端の部品であったのだろう。地面と
こすった跡が轍のように道路に刻まれ、片翼は摩擦で黒ずんでいる。
事故直後の黒い煙が上がった様を思い出し、イーグルの胸が痛む。
「父さん……」
夜空へ語るように言った。
傷ついた戦闘機は、イーグルに人間の身体を連想させた。
センチメンタルになっているのは疲れからか。昨日から寝ていなかった。
休まなければいけない。明日は、アイツを見舞ってやらなければ。
……ドミノはどうしているだろう。怒っているのだろうか。
連絡をとる気がおきなかった。彼女の怒りを受け止める余裕が、いまはない。
何よりも事故を目の当たりにして戸惑っている今の姿を見せたくなかった。
いや、事故を見てショックを受けたわけではない。
あの機体に傷がついたことが悲しかった。
自分のミスでは無いが、自分が傷つけたように思えた。
今日は5日。7日の朝10時にドミノと会う約束。翌日8日、出国を見送る。
電話のときには状況が見えにくかったが、今思えばドミノと会う時間は作れるような
気がしてきた。パイロットは軽傷で、事故後の処理も淡々と進んでいる。
だが明日になっても気持ちが落ち着きそうにない。
やはり断わってよかったのだ、とイーグルは考えた。約束を反故にしてよかった。
ドミノに会う気がおきなかった。
転がった金属片が、戦闘機の流した涙のようだ、とイーグルは思った。
つづく
・・・
もう少し先までやるつもりでしたが、まとまらなかったので一拍おくことにしておきました。
色々と広げたい方向があって楽しいですw
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2007/10/12
今日の妄想つづきのつづき。
翌日は気持ちいいほどの快晴だった。
地下鉄の階段を上がり終えたイーグルの目に、光が眩しい。
空をしばらく眺めてから、病院に向かって歩き始めた。通り行く人も、町並みも今の
イーグルには目に入らない。きいいいんと航空機の飛ぶ音が聞こえて顔を上げた。
別部隊の飛行訓練がはじまっている。
前に目をやると、一組のカップルがすれ違った。
ドミノはどうしているだろう、と、ようやくイーグルは思い始めた。
「きゃあああああ!」
アスカが大声を上げた。それでもマシンは止まらない。スピードにのって、機体を
くねらせて進む。勢いに身体が飲まれそうだ。
「さいこおおおおおおおお!」
大喜びでキャットが叫ぶ。
いくつかのうねりと山を越えて、コースターは乗り入れ場へ静かに戻った。
出口からすぐそばにあったベンチにアスカが弱弱しく腰掛ける。
「……だから、私はお城が良いっていったのに……。もう絶叫マシンはこりごり。
昨日覚えた公式が全部頭から飛んじゃったわ」
「城見学なんてつまんないー」
隣に座ったキャットが言った。
「遊園地の方が全然いいよ。超楽しいじゃん。キャハハ!」
ドミノは思わず腕組みをした。
「悪かったわね。デートコースしかチェックしてなかったから、お城ぐらいしか頭に
なかったのよ!」
クチをとがらせている。
「フラれて遊園地……」
「キャット、何か言った?」
ドミノとキャットの追いかけっこがはじまった。同じところをぐるぐると走っている。
その景色を見てアスカはため息をついた。
今日一日、あの二人のお守りをしなきゃいけないのか……。
ますます頭痛が酷くなった気がした。
受付を済ませて階段を上がり始める。こつん、こつん、と足音が響く。病院の空気は
清らかなようでもあり、不吉なようでもあった。点滴をガラガラと転がしながら、
子供がすれ違う。
病室を確認すると、中に入った。イーグルは見知った顔を見つけたあと、その隣に
座っていた赤毛の女性に目がいった。
「あ! ショーグン!」
ベットの上にいた隊員がイーグルに気づき叫んだ。静かに歩み寄る。
「調子はどうだ?」
「だ、大丈夫です。ジェリー。イーグルショーグンだ」
ジェリーと呼ばれた赤毛の女性が椅子から立ち上がり、イーグルに一礼をした。彼の
不自由な手の代わりをしているのだろう。ウェーブのかかった長い髪に、低い鼻を
している可愛らしい女性だった。
「私、飲み物を買ってきますね」
そう言って立ち上がり、部屋から去っていった。
「ジェリーは……あ、失礼しました。彼女は、僕の、ええと」
「言わんでもわかる」
「失礼しました。彼女はレッドスターからたまたまこちらに遊びに来ていまして、
こんなことになってしまって」
「レッドスターの人間なのか?」
「はい。軍には関わっていません」
「そうか、どうりで……」
ドミノによく似た赤毛をしていると思った。
病室から澄み切った青空がよく見える。日光がシーツを照らして眩しいくらいだった。
「すいませんでした」
隊員が先に沈黙を破った。手を震わせている。
「自分がふがいないばっかりに」
歯がゆそうにうつむいた。イーグルと目を合わせようとしない。
「ご迷惑をおかけしました」
「命を失っていなければ、それでいい」
「ですが」
「早く怪我を治せ。今はそれだけを考えろ」
「ですが」
イーグルは言葉を待った。
「……あの機体は、どうなりましたか」
「両翼を損傷。片方は完全に欠けた。胴体は焦げたが、大破はしていない」
「すいませんでした」
「もう言うな」
「自分はあいつを自分で傷つけた事が許せません。整備のときも傍で見ていました。
名前もつけていたんです。先の戦いでエースパイロットとして名を残した」
言葉が詰まる。
「ショーグン……。すいません。自分は」
「いい。過ぎたことだ。それより、再発を防ぐ事を考えろ」
「そういえば、ショーグンに最初にお話しようと思っていたことがあります」
「言ってみろ」
「実はあの機体を持ち上げようとしたときに、滑走路に人影があったような気がして
それに気をとられてしまったんです」
「人影?」
「はい。体格のいい、こう、黒づくめのコートを着たような男の影が」
イーグルの脳裏にある男の姿が浮かんだ。
ガタン、と突然音がした。音の方へ向くとジェリーが床に落とした缶を拾っている。
「あ、お話中にごめんなさい。あの、飲み物を買ってきたのですが」
慌てるジェリーの赤毛が揺れた。
「邪魔をしたな」
「あ、ショーグン」
「その話は事故原因を調べている連中に話すといい」
足早に部屋を出た。すれ違う際、ジェリーがイーグルに一礼をした。
病院を出てからイーグルはまずドミノに電話をかけた。呼び出し音が1回、2回、3回
と増えていく。ドミノは電話に出なかった。携帯電話をしまう。
そもそも、ドミノは携帯電話を持ってきていなかった。
「だから別行動できないの。ごめんね」
「なんで置いてきたのよ」
「そうだよ。それじゃ携帯電話の意味ないじゃん。バカ?」
「……そこまで言うことないんじゃないの? キャット」
紙コップのコーラが、ストローの先でずるずると鳴った。オープンスペースでは人が
溢れている。隣のテーブルで同じように休憩するカップルの姿が、ドミノの目についた。
「持ってたら、イーグルと連絡をとりたくなっちゃいそうだったから置いてきたの。
それに、期待しちゃいそうじゃない。イーグルが連絡くれるかもって。だから」
「バカ」
「なによぉ。アスカまで」
キャットが立ち上がって言った。
「よし、じゃあアレに乗ろうー」
「えええ? もう絶叫はいらないわ。二人で行ってよ」
アスカが不満げに答えても、キャットの意志は変わらなかった。
「別行動はできないからダメー」
「私は携帯を持ってるからいいの」
「付き合い悪いわよ、アスカ」
ドミノがアスカの手を引っ張って歩き出した。
「イーグルの分まで、しっかり付き合ってもらうからね!」
「キャハハ~!」
頭痛の次は目まいがしそうだわ。
逆らう事を諦めて、アスカは次なるコースターに向けて歩き出した。
つづく
・・・
まとまるのか? コレ……w不安になってます。
次回あたりで完結する……かな? しないかもしれませんw
遊園地で、はしゃぐ女の子たちは良いですねw
病院とかでヘコむイーグルは、もっと良いですねww
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2007/12/11
今日の妄想つづきのつづきのつづき。
ドミノはホテルへ戻って愕然とした。携帯電話に着信が2件入っている。どちらも
イーグルからの着信だった。時間は昼の14時頃と、夕方の17時頃。時計はもう夜の
20時を表示している。ふっと罪悪感がこみ上げてドミノはひどく悲しくなった。
柔らかなベットの上で携帯電話を見つめ続ける。
「今からでも遅くないじゃない」
うん、とアスカと頷きあう。
「ロビーでかけてくる」
勢いよくドアを開けた。オートロックのドアはガチッと音を立てる。
ホテルのロビーは更けていく夜を示すように静まり返っていた。手短な椅子に腰掛け
ボタンを押し、イーグルへの通話を試みる。
トゥルルルル。
鼓動と耳元が連動する。なぜだかドミノは緊張していた。
イーグルへまずは何を言おう?
自室でパソコンに向かっていたイーグルは、着信に気づくと飛び上がるような気持ち
で携帯電話を取り出した。
マナーモードで震える電話を見ながら、言葉を探す。
……明日、会えそうなんだ。
少し息を吸い込み、用意が整うとボタンを押した。
「……もしもし」
「イーグル」
ドミノの懐かしい声。言葉が詰まり、沈黙が入った。
「……あの」
「どうしたの? なにかあったの?」
「明日なんだが」
「無理しなくていいよ。いま大変なんでしょう?」
「いや、その」
そこへ閃光のように、ドミノが割り込んだ。
「ホーク!」
「ドミノ?」
「ごめん、あとですぐかけ直すから!」
電話は一方的に切れ、耳障りな均一音がイーグルの元へ残った。
……なんだって?
ロビーの自動ドアを押し広げるように開け、ドミノは走り出した。ガラスの向こうに
見えた人影を追いかけて石畳を蹴る。
「待って!」
シンとした街に声が響き、震えた。
「ホーク!」
目の前の人物が器械のように振り返った。無表情で冷ややかにドミノを見つめた。
人のいない街の片隅で、それは溶け込んでいるようだった。近づくことが憚れて
ドミノは思わず足を止めた。顔見知りと言うには遠すぎる距離があった。
身体を向けたままホークは何も言わない。
一瞬躊躇しかけたが、ドミノは声を張り上げた。
「キャットに会ってあげて! 会ってあげなさいよ!」
ホークの表情はびくともしない。
「私は追われる身だ。そんな時間は無い」
「どこへ向かっているのか教えるぐらいなら」
「どこへも向かっていない。私は生き残るために進むだけだ」
冷徹な返答は金属を思わせた。
「なら、せめて、約束してあげてよ!」
ドミノははじめてホークの顔が曇るのを見た。それでも怯むわけにはいかなかった。
「何年後かに戻るとか、待ち合わせをしようとか、その場だけでいいからキャットに
約束してあげてよ」
「……守る気の無い約束など、無駄だろう」
「そういうんじゃない。信じさせてあげてほしいの。いつか会えるって。生きている
証拠がほしいの。望みがあれば、約束をいつまでも待っていられるでしょう。生死も
分からないというのにキャットはあなたを探しまわっているのよ。キャットが可哀相
だわ」
「ずっと待っているのよ、ホークと会う瞬間を。あなたは会おうとも考えていないのに」
目を逸らしたホークをドミノは睨みつけた。
「せめてそのぐらいは、してあげてもいいじゃない!」
一段と声が大きくなる。余韻が残った。
「それが最良だとは、私は思わない」
ホークの一言は糸のように細い声だったが、ドミノを突き刺した。
遠くで車の通る音がした。
再び背を向けて歩き出したホークを、呼び止めるチカラが起きない。ドミノはただ
呆然としていた。夜の闇に姿が溶けていく。
ああ、ホークが行っちゃう。止めなきゃ。キャットを呼んで……。
身体が動かない。なぜだか泣き出しそうになった。
手に持っている携帯電話がふいに鳴りだした。力無く耳に当てる。
「ドミノ! 一体なにがあったんだ!」
「イーグル……」
「どうした? 大丈夫か? 今どこにいる?」
「イーグル……ごめんね」
「どうした?」
嗚咽が漏れそうになり息を呑んだ。ドミノはそれ以上何も言えそうになかった。
「ドミノ」
流れた涙が頬をつたい、身体が熱を帯びる。自分の抱く約束というものの軽さが身に
沁みて、憤りが出口をさ迷う。イーグルはかけるべき言葉に迷った。
「ごめん。へいきだよ。キャットに話すことがあるから……切るね」
心配させじと声を搾り出す。
「待て、ドミノ」
イーグルは迷った。
「まだ話すことがある」
「ごめん。私は大丈夫だから。すぐキャットに知らせなきゃ。ごめんね」
少し大きな声で、イーグルは切り出した。
「明日、10時に会おう」
「……いいの?」
突然の申し込みに驚いて、ドミノはもう一度言った。「本当に、いいの?」
「ああ。約束しただろう」
それはドミノの萎んでいた心へ優しく響いた。
「いいの?」
「ああ」
「じゃあ、待ってる」
「では明日」
「うん、明日」
見下ろした電話を片手でぱたりと閉じた。さきほどまでホークが立っていた場所を
ぼんやりと見る。姿はない。けれど、確かにそこで立っていた。
それが最良だとは思わない。そうかもしれない。それでも、キャットにはホークが
確かに生きていたという事実を伝えなければとドミノは思った。
「……ごめん、ね」
ドミノは言うべき相手の分からないまま、呟いた。いま言っておくべきのような気がした。
ホテルへ戻ろう。石畳の上を歩き出す。
夜道を引き返すその一歩一歩を噛み締めながら、ドミノは染み入るように考えていた。
約束をする相手がいることの、なんて幸せなことなのだろうと。
・・・
長文と長時間のお付き合い、ありがとうございました。
続きをアップするのにずいぶん時間がかかってしまって、すいません。
あー。長かったねぇ~wホークいいねホークw
いつもはスタンダードに
イードミの現状→問題提示→トラブル→トラブルの解決と起承転結を振っていたのですが
友人に「たまにはそれを壊してはどうか?」と言われ、冒険をしてみたのが、この妄想です。
ファミコンウォーズDSの次回作にはショーグン達のその後も無いと聞き、ちょっと
それらしくしてみた部分もありましたが、所詮自分の妄想なのだからwと、あえて
ゲームには無い部分のショーグンの生活を妄想しています。
イーグルいいねイーグルwww
ええと、それから。
この「つづきのつづきのつづき」の妄想を構想中に、先の文章で描いた戦闘機の
離着事故が妄想と同じように、航空自衛隊で本当に起きてしまい、ニュースを見て
非常に驚いています。
それなのでこのお話はボツ作品にしようかとも思いましたが、ラスト直前までもう
アップしてしまったこと、登場するキャラクターがフィクションであること、
妄想の内容の中心は事故ではなく別の部分にあることを考え、ボツにはしないことに
いたしました。
それでも、こういった不謹慎な妄想をアップしてしまったことを深く反省しております。
こうした事情にご理解いただけますよう、宜しくお願いいたします。
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