2006/08/22
今日の妄想。
棚から黒いファイルを引っ張り出し、中身を確認して元に戻す。
この基地にある資料庫はたいして量があるわけではない。部屋もさほど広くなく、
歩いて10歩へ届く前に壁にぶつかってしまう。ごちゃごちゃに並べられた棚が
整理されれば、もう数歩は進むことができるかもしれないが、それをするために
部屋全体を大掃除する羽目になるだろうことは容易に察することができた。
せめて棚の中だけでも整理してくれればこっちが助かるのに。ドミノは軽くぼやいた。
ファイルの並びからして、管理者の適当さが窺える。
「ん!」
青めいた灰色をしているファイルのタイトルが目に付いて、それを棚から引き出すと、
ドミノは資料庫の入り口付近にある小さな机に腰掛けた。
タイトルはこう記されている。
「グリーンアース軍内における独立空軍部隊の報告」
ドミノはこの空軍部隊と数日前に戦ったばかりで、そのときにできた腕の擦り傷が
10代の女の子にしては痛々しく見えるカサブタになっていた。ファイルを開く前に
そのカサブタが目に入り、あの時のことを思い出してしまう。
「イーグルって言ったっけ……」
小さく呟くと、ドミノはファイルを開いてその名前を探した。
イーグルショーグン、イーグルショーグン、イーグルショーグン……。
中は簡単な戦況報告と戦闘した地域の報告があるばかりで、名前が見つかりそうな
項目は無いように思われた。
「そーじゃなくて!」
ドミノは口に出すことで、いま自分がしていたことを強く否定した。
イーグルショーグンを調べてどうするのよ!そうじゃなくて、私が調べていたのは
あの部隊の行動パターンを知る手がかりでしょうが。
首を振ってファイルを閉じた。目の前には資料庫の棚が列を組んで並んでいる。
薄汚れた天井と相成って、このあいだの戦場を連想させた。
あいつ、なかなかいいやつだったな。
ドミノは以前に自分を小馬鹿にした嫌味な男を浮かべていた。その男はドミノに
演習で敗れた後、悔し紛れに悪態をついたのだ。歩兵の能力だけで戦場を生き残れる
わけがない。実力などなにもない。ただのまぐれだと。
あのときは本当に腹が立ったけど反論はできなかった。自分の力に自信がなかった。
だから、ナメられないように気を張るようになっていった。例え、まぐれだとしても
負けは負けだと言い放つことが癖になっていた。
だけどイーグルはあの男と違った。……私を、認めてくれたのだ。
「いいやつだったな」ドミノは口に出して考えた。顔も悪くないし。背だって……。
突然大きな音をたてて資料庫の扉が開き、ドミノは飛び上がるほどに驚いた。
「あら、ドミノ。何を調べているの」
キャサリンは複数のファイルを腕に抱えていた。
「あああの、このあいだ戦ったグリーンアースの部隊がまた襲ってきたときに備えて
過去の戦績を調べていたんです」
「それは感心ね。確かにあの部隊はもう一度襲ってきそうだわ」
抱えていたファイルを棚に戻しながらキャサリンが続ける。
「あのショーグン、なんでもグリーンアースの名家の生まれらしくてね、
父親も同じようなエースパイロットだったって話よ。とんでもなくプライドが高いのは
そのせいなんでしょうね。リョウが一度勝ってしまったから、おそらくその腹いせに
襲ってきているんだわ」
「イーグルはそんな人じゃありません!」
「え?」
二人は顔を合わせた。キャサリンが目を丸くしている。ドミノは思わず声を張り上げた
自分に驚いて、顔を赤らめた。
「……失礼します!」
ドミノは会釈をしてから部屋を飛び出した。
「ふむ。なにか理由がある、か」
残されたキャサリンが呟いた。
資料庫が見えなくなるまで廊下を走りぬいたドミノは、壁に身体を寄せて息をついた。
「ああ!貸し出し記録に残さないでファイルを持ってきちゃった!」
青めいた灰色のファイルと向き合った。タイトルが再び目に入る。
「グリーンアース軍内における独立空軍部隊の報告」
……もう一度、会えるような気がする。
キャサリンの言葉を聞いて、ドミノはその予感が確信に変わったことを知った。
・・・
GBWA1「特殊部隊長ドミノ」のサイドストーリーっぽく妄想してみました。
隆さん、ネタ提供ありがとうございまーす。
短いので起承転結がボヤボヤですが気にせずにw
イーグルの方を妄想しようかと思ったんですが、オトコノコの心情で書くのが難しそう
だったので妥協しましたw
つまりアレですよ。
イーグルはイーグルで「はじめて自分を負かせた女の子」みたいな印象で、
ものすごーーーーーく気にかけてるわけですよっ!
だけど今はそんなことを考えてる場合じゃないって、それを振り払ってる。
くはっwイーグルたんカワイスwww←バカ
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