2006/02/13


今日の妄想。





キャサリンが取り出した小箱を、素直に受け取っていいモノかどうか悩んでいた。
事情が飲み込めていなかったのだ。


「あら、すぐに受け取ると思ってたのに。いらないの?」
「なんなんだ、コレ?」
バレンタインデーという行事をすっかり忘れていたせいで、リョウは目前にした
チョコレートの箱をそれと知らずにじっと眺めていた。
いぶかしげに箱を見るリョウで一笑しキャサリンが答える。

「今日はバレンタインデーでしょ。いつも頑張っ……」
「チョコレートかあぁぁっっ!」
言い終わるのも待たずに小箱に飛びつき「ありがとう!」と同時に箱を開け、
中身を食べだしたリョウを見て、ため息をついた。やれやれ。私のチョコレートの
行き先なんてこんなものか。先ほどのマックスの様子とリョウの姿がダブる。



……リョウにだけは、見つからないようにしないと。



軍の施設の中をドミノは誰の目にも留まらないよう慎重に歩いていた。
手にはキャサリンがリョウに手渡したものよりも、もっと豪華にラッピングされた
箱を持っていた。中身はもちろんチョコレートだが、ケーキ好きのドミノが
いつも贔屓にしている店の「本命用」と銘打った特別なチョコレートである。
手作りをしようとも考えたが、自分がおいしいと感じる店の特別なスイーツを
味わってもらいたいという気持ちで、思い切って購入したのだ。せっかくの
バレンタインデーなのだから、特別においしいものを味あわせてあげたかった。
甘いものが好きかどうかは別として。

問題は、これをどうイーグルに渡すかだ。誰かに見つかって冷やかされると
渡すに渡せなくなるかもしれない。イーグルが受け取らないかもしれない。
リョウなんかに見つかったら、すぐに食べられてしまうだろう。
それだけはなんとか避けなければ。
ドミノは任務中のような身のこなしで、イーグルの元へ急いだ。


確かこの部屋でイーグルは報告書を作成すると言っていた。
周りに誰もいないことを何度も確認したドミノは、扉の前で深呼吸をし、
気持ちを落ち着かせてノックをする。……返事が無い。
じっくり間をおいてからもう一度ノックをしたが、やはり返事が無かった。
「困ったな……。イーグル、どこにいるんだろう」
期待を裏切られ、しょんぼりとうな垂れているとドミノは背後から声をかけられた。

「あら。……どうしたの?」
「ハンナさん」

振り返るとチョコレートらしき箱をいくつか抱えたハンナが廊下に立っていた。
ドミノの手元を見て察すると「イーグルなら、第1会議室の方にいるわ。今なら
モップしかいないから大丈夫よ。」と続ける。
何も言わずに通り過ぎるのも気が引けて、ドミノはハンナに
「あ、ありがとうございます。あの、ハンナさんもこれから誰かに?」
と聞くと「いえ。これは貰ったものよ」と答え、つかつかと歩いていってしまった。
しばらく茫然として後姿を追っていたが、再び周りに人の気配がなくなると
ドミノは会議室に向けて歩き出した。




つづく



・・・

ウォーズワールドにバレンタインのチョコなんて儀式があるのかどうかわかりませんが
それはそれ。
せっかくの時期なので、このまま妄想しまくりたいと思います。

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2006/02/14


今日の妄想。つづき。





せっかくのバレンタインデーだというのに、どうして簡単にチョコレートを
渡すことができないのだろう。いや、バレンタインデーだからこそ、渡したい人に
会うのが困難になるものなのだろうか。



この日のために用意したチョコレートの箱を持ったまま、ドミノは第一会議室と
札がついている扉で聞き耳をたてていた。なんてこと。一番避けたい事態だったのに。

どうしてリョウがイーグルと一緒にいるんだろう。

ひときわ大きい声でリョウが笑う。イーグルが何かを言っている。よく聞き取れない。
いつまでここにいるつもりなのだろう。リョウがいるところでチョコレートを
渡すなんて炎に投げ込むのと一緒だ。すぐに飲み込まれてしまうだろう。
イーグルだって受け取りにくいはずだ。
「早くどっか行ってよぉ~……」
チョコレートの箱を抱えたまま、扉に寄りかかり途方にくれてしまった。

「入らないの?」
急に声をかけられてドキッとすると、モップが不思議そうにこちらを見ていた。
「そんなところに立ってないで入りなよ~」
返事をする間もなくノブを回す。あわててチョコレートの箱を体の後ろに隠した。
会議室では机の上に座ったリョウが、チョコレートを食べていた。隣に立っている
イーグルと目が合う。
「ドミノ……」
「あっ!ドミノ!!チョコくれるのか!!!」
すでに食べかけていたチョコレートを手に持って、リョウがこちらへ走ってきた。
「今日はバレンタインだっけ~」のん気にモップが言う。ドミノはもう
箱を隠すことで頭がいっぱいになり硬直していた。

「モップはチョコ食うか?いらないって言うんで、イーグルがくれたんだ」



頭が真っ白になる。

「イーグルはそういうの、いつも嫌がるからね」


「ドミノ。チョコ……」


「 チ ョ コ な ん て 持 っ て な い わ よ ! ! 」



突然に大声を出したドミノにたじろいで、リョウは口をつぐんだ。
目をぱちくりさせて様子を窺いながら「ナニを怒っているんだ?」と聞く。
「別に怒ってなんかないっ!」
吐き出すように答えると、ドミノは走ってその場を離れていった。

イーグルはチョコレートを渡されるのが迷惑なんだ。

喜んでもらいたい一心で用意したチョコレートだったが、それを望んでないと
知りドミノは悲しくなった。
「……おかしいなぁ」
モップがイーグルのそばで呟くように言う。
「チョコレートっぽい箱を持ってたのになぁ」



つづく




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2006/02/21


今日の妄想。つづき。





よくよく考えてみると、プライドの高いイーグルがチョコレートを貰って
喜ぶはずがない。たとえバレンタインデーだとて、受け取りはするものの
心の中では迷惑に感じているのかもしれない。



ロビーに並んだ長椅子の隅でドミノは落ち込んでいた。
手に持っているチョコレートの箱を見てはため息をつく。その姿を見つけた
一般の隊員たちが期待して何度も声をかけてきたが、その声はドミノには届かず、
かえって暗い気分になって立ち去っていった。
「……食べちゃおうかな、自分で」

どうせ渡すことなんてできないんだ。迷惑に思われるくらいだったら最初から
なかったことにしてしまえばいい。
「美味しいのよね、ここのケーキ。きっとチョコも美味しいだろうなぁ……」
ドミノの脳裏に好物のショートケーキが浮かび上がる。ヤバイ。
すごく食べたくなってきた。

でもイーグルに食べてもらいたかったのに。
いいや、イーグルと一緒に食べるつもりだったのに。

悲しみがじわりと体の底からこみ上げてくるのを感じた。涙がこぼれてこないように
グッと力を込めて箱を握る。切ない気持ちを振り払うように包装紙に手をかけると、
留めているセロハンテープをゆっくり剥がした。
ためらいから、ときどき手を止めつつも、破れないように包みをほどき箱を開けた。
区切られた箱の中でチョコレートたちが高貴そうに身を潜めている。
カカオの甘い香りが漂う。

「……食べる、つもりなのか?」


イーグルが突然、隣に腰掛けてきた。

「あっ。いーぐる……」
驚きのあまりドミノは戸惑った。イーグルの存在感が体を硬直させる。
「あ、あの。こ、これはね、えーと。このチョコは……」
弁明するつもりで、たどたどしく話し出したドミノの前に箱が差し出された。



それはイーグルの片手で隠れる程度の小さな箱。持っていたチョコレートを
膝の上に置くと、差し出された箱をドミノは両手で受け取った。
覚えのあるラッピングだった。

「これ、あの店のザッハトルテ……?」



贔屓にしている店のチョコレートケーキが入っている箱だとすぐにわかった。
あの店のザッハトルテは5センチほどの小さいもので、好評すぎて売り切れが早く
ドミノは一度食べてみたいとずっと思っていたのだった。
「私が、食べていいの?」
「ああ」
目を合わせないまま照れくさそうにイーグルが答えると、ドミノは嬉しくなって
顔いっぱいに微笑んだ。

「ありがとう。あの」
イーグルに話そうとした瞬間、あー!という叫びと共にリョウが現れ、こちらを見て
立っていた。



「やっぱり!!チョコ食う気だな!ドミノ!イーグルの分くれよ!!」


声を張り上げてリョウが二人に駆け寄ると、ドミノの膝の上にあったチョコレートの
ひとつをつまみ上げ口に入れた。
「おー!うまいなコレ!」
もうひとつ食べようと手を伸ばすよりも早く、リョウの頭にドミノの拳が飛んできた。
怒号がロビーに響く。


「 リ ョ ウ の バ カ ! ! 」





・・・

伸び伸びの割には、くだらねーオチですいません。(笑
しかも締まらねー。
うわい。まいったな、こりゃ。

ヨーロッパではバレンタインデーに男性が女性にお菓子なんかを
プレゼントする場合もあるとか。チョコに限らず。
てわけで男性諸君、貰うことばかり考えないように。←オマエモナー
お返しも忘れずにねー。ノシ

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