6、国の戦争孤児対策のあり方

 さまざまな孤児対策をたてながら、予算をつけず、国は実行しなかったのです。親は子を国が必ず護ってくれると信じて死んだのです。国が予算をつけ、実行していれば、浮浪児にもならず、孤児たちはあれほど苦しい生活をしないですみました。
 盗みをしなければ生きられなかった孤児に罪はあるのでしょうか。子を残して死んだ親は、我が子の悲惨な姿に、まだ成仏できずに地下で嘆き苦しみ、国を怨んでいるでしょう。
 子どもは国の宝です。戦争中は天皇の赤子といわれてきました。孤児のすべて、未来のある子どもの救済を優先し、国の責任で孤児を養育すべきでした。
 また、「戦没者遺族年金法」制定のときに、「孤児年金法」を制定していれば、社会からも軽蔑、差別をされずに、周囲からも蔑まれることもなく、胸を張って生きていけたと思います。
 
 戦争のため死亡した子どもたちの碑を建立してください。どの子も「お母ちゃん」とよびながら、だれの介護もなくひっそりと亡くなり、何万人もの孤児たちが闇に葬られてきました。死んだ孤児たちは闇に埋もれ、魂はまだ浮かばれていません。子の怨念、そして我が子を棄てられた親の怨念もあると思います。
 現在、日本は子殺し、子の虐待、自殺が目立つようになりましたが、これは戦後から継続しており、今、表面化したにすぎません。日本は少子化で未来が危ないといわれていますが、子どもを棄てた報いがきたのだと思います。