14、司法に期待すること

 過去の悲惨な事実を知り、それを教訓としなばなければ、歴史はくりかえされるでしょう。過去と現在、未来は繋がっています。国の未来に関わる重大な問題と思います。
 戦争をしたがる人は負の遺産を残したくないようですが、被害事実を直視しなければ、また戦争になります。
 未来の子どもたちが、私たちと同じ境遇にならないために、戦争孤児がどのように生きてきたか、知る必要がありますが、もう語れる生き証人は少なくなっています。孤児たちは成長期の栄養不足から命が短く、私の周りからも次々に亡くなっていきます。私たちには時間がありません。これが最後の訴えです。
 私たちは「戦後」から戦争がはじまりました。戦争はまだ終わっていません。日本国憲法で定められている「平和的生存権」も「人権」もなく、放置されつづけてきました。私たちを人間として扱ってほしいのです。
 どうか裁判官は、しっかり事実の検証、認定を行ってください。その上で公平な判断をして、判決をだしてくださるよう願っています。
 私は最近、首から上(頭部)のない母の夢をみました。まだ、地下で苦しんでいるのだと思いました。あの世へ逝ったら、母に「私は頑張ってきたよ。もう大丈夫、安心してね」と報告したいのです。孤児たちも、私と同じ思いで提訴しました。一日も早く、安らかな気持ちになりたいと思っています。