あの震災孤児たちは、これからどうなるのでしょうか
 2011年5月15日の東京新聞に「震災孤児、厚労省調査」記事が載っていました。
「厚労省によると5月14日現在、岩手、宮城、福島三県の震災孤児は141人。このうち、宮城の2人が児童福祉施設に入所したほかは、139人全員が一般家庭に引き取られ、大多数は親族が養育することになった。児童福祉法で親族里親は、三親等内と規定され、子どもの年齢によって毎月47、680円〜54、980円の生活費と、修学状況に応じた教育費が支給される。『親族里親は金銭的なものより、親族に育ててもらうことを優先させたい』(厚労省)としている」と書いてありました。

  
親戚で孤児の心は癒やされるでしょうか
 日本も最近になり、ようやく「心の傷(心的外傷)」について研究されるようになりましたが、孤児の心的外傷については、まだ充分な研究がされていないように思います。
なぜなら、子どもは大人と違い、表現能力がなく、思ったことを伝えられない、言葉にして訴えられない、大人のいう通りにしなければならなかった。など様々な理由から、正面から取り上げられることがなかったために、世間からは「親戚へ預けるのが、一番」という誤った説が横行するようになったと思います。
 戦争孤児の中には、親族に育てられさほど生活の苦労がなかった人もいましたが、孤児調査22名の内2名の1割しかいませんでした。他20名の9割以上は、親戚へ預けられ、周囲の孤児心理の無理解から、心に大きな傷を負って生きてきました。
 私たち戦争孤児(平均年齢77歳)は、震災孤児の救済について話合いました。
現在は平和な時代です。私たちのように戦争で食べ物はじめ、あらゆる物がなかった時代ではありません。毎月親戚へ養育費が国から支給されるとのことです。学校へも通わせてもらえるでしょう。これも国から何一つ援助のなかった戦争孤児と大違いです。
 しかし、「心にうけた傷(最愛の両親がいない傷)」は、私たち孤児と同じです。心因性外的障害があると思います。心の傷を治すには「親戚より全寮制孤児施設が一番」という結論になりました。
 震災直後は同じように家族を亡くした人が周りに大勢いました。支援者やボランテァの人たちから声をかけられ、自分ひとりでないという気持ちで張り詰めていたでしょうが、ほんとうの孤児の苦しみは、これから始まるのです。

◇ 全寮制の利点は仲間がいることです。親戚では孤立してしまいます

 同じ境遇になった孤児同士だと気持ちが通じあえます。同じ仲間がいるだけで勇気づけられます。あっちの子が元気なら「同じ境遇なのにあの子はがんばっている。私もガンバロウ」という気持ちになり、こっちの子が落ち込んでいれば、側へいき「大丈夫よ。私がついているから心配とないで」と優しく声をかけてあげよう、という気持ちになります。慰めたり、励ましたりと、心の通じる仲間がいるだけで支えられます。
 団体で生活すれば心理療養士やボセンテァの人たちに、心のケアが受けられます。親戚では孤児の所在がわかりにく、ケアが受けにくくなくなります。

  次ページへ→