B 空襲死者数は?

 これまで述べてきたように空襲は軍、アメリカ占領軍、東京都、国によって隠ぺいされてきた。そのため実態が判明していない。空襲はマスコミからも見放され、戦後50年の節目のときにも何ひとつ報じられなかった。すっかり忘れさられ、空襲を知る人は少ない。世界最大の空襲が、国内はじめ、世界に知られていないのだ。
 「空爆の下で何がおきたか」私たち体験者が語らなければ、空襲は闇に葬むられれる。また戦争が美化され、戦争になるかもしれない。現に田母神氏のような人が現れている。
 50年すぎてから出てきた空襲関係資料や書類、解禁された米軍資料などで、少しずつ実態が解明してきた。その後、遺族、空襲体験者、関係者の努力によって語られるようになり、調査され、ようやく60年過ぎに、マスコミに取り上げられるようになった。
 しかし、戦争を知らない世代から「昔のこと。関係ない。今さら何をいう。」といわれる。私たち遺族にとって決して昔の話ではない。昨日の出来事なのだ。目を閉じれば親の
顔や姿が見える。忘れられるはずがない。60年以上も苦しんできたのだ。国に何回も訴えてきたが取り上げられなかった。遺族も年をとりつぎつぎに他界していく。私たち残された遺族は最後の手段として裁判に訴えた。